FITはどうなるのか

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 固定価格買い取り制度FIT)の行方が厳しくなってきた。
 電力会社5社(北海道、東北、四国、九州、沖縄)が、FITに基づく再生可能エネルギー発電電力の新規受け入れの買い取り停止を発表した。2011年3月11日東日本大震災による原子力発電所事故で、電力事情が一変。原発に替わる電力の候補に再生エネが急速に浮上し、再生エネ普及に一役買ったFIT。しかし、ここにきて大きな壁にぶつかった。

 FITがスタートしてから主に太陽光発電設備が急速に伸びたが、それらのコストは最終的に消費者にまわってくる。つまり、消費者の電気代にそれらのコスト分が上乗せされるからだ。そうした家計や企業の負担が問題になる中、今度は設備的(技術的)な問題が出てきた。
 このままFIT認定を受けた再生エネ電力を買い取れば、電力供給が需要ピーク(最大需要)を超える可能性が出てくるという。需給バランスが崩れ、限界量を超える電力が送配電設備に流れたり、電力の急激な変動が起きる可能性もあり、故障といったトラブルにつながる恐れが出てきた。
 さらに太陽光発電の特徴として、夏に電力増が見込めるが冬には減少になりやすく、天候に影響しやすいため、電力会社の電力供給の調整が重要になってくる。これに加え、先の問題が深刻になったため、電力買い取りを停止することになった。

FITの見直しが始まるが、その策にはコスト負担がネック

 このため、FITの見直しが始まっている。
 再生エネ設備の認定量に上限を設ける総量規制や買い取り価格の算定方法の見直し、再生エネの電力を全国の各電力会社が融通しあったり、受け入れる地域の送電網を強化したりするなどといった案が出ている。
 しかし、東日本と西日本では周波数が違うことから、電力のやり取りには周波数を調整(変換)することが必要で、その周波数調整(変換)も限界量がある。電力大手をつなぐ連係線も流せる電力量が決まっており、それらを拡充するにしてもコストがかかる。

 このFIT、スタート時から課題を抱えていた。2012年7月からスタートしたが、再生エネ事業者を認定する審査に落とし穴があったりして、その制度の抜け穴が利用される問題が生じている。
 3・11での大規模停電による電力問題で急遽、原発に替わる発電方法が必要になったことから火力発電を動かすことになった。しかし、環境問題が注目された中、再生エネ普及が急遽動き出した形だ。対策に大きな課題を残しつつの急なスタートだったこともあり、問題はこうした形で出てきたわけだ。
 日本より先に制度がスタートしたヨーロッパでも、コストの問題などが生じて壁にぶつかっていた。そうした問題は日本にも同じ影響が出る恐れがあったのだが・・・・・・。

 今後、再生エネはさらに重要な存在になってくるだろう。しかし、環境と経済、社会問題と様々な分野に影響してくる問題を、クリアしなければどこかに歪が生じることになる。

【参考資料】

・「九電、買い取り中断 再生エネ 固定制導入で需要超え」
(毎日新聞 2014年9月25日(木))
・「九電が買い取り中断 再生エネ 送電ネック 国・電力、問われる本気度 太陽光拡大 国の想定以上」
(毎日新聞 2014年9月25日(木))
・「再生エネ 5電力 受け入れ停止 経産省、制度抜本見直し」
(毎日新聞 2014年10月1日(水))
・「なるほドリ 再生エネ買い取り なぜ停止相次ぐ? 電力総需要超えると調整困難に」
(毎日新聞 2014年10月1日(水))
・「再生エネ政策 仕切り直し 事業者急増、家庭負担1000円の試算 高値買い取り裏目」
(日本経済新聞 2014年10月1日(水))

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