○○の時代 アメリカと中国の戦争行方

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 アメリカと中国の関係はどうなっていくのだろうか。現在、世界一といわれる大国・アメリカだが、その力は衰えを見せ、失速し始めている。イラク、アフガニスタンでは大変な悪循環に陥り、経済危機も重なり、アメリカ国内では混乱をもたらし、それは世界にも大きな影響を及ぼしている。
 一方の中国は、最近の経済発展の勢いもあり、軍事力の急速な拡大が目立ち、周辺国との関係も中国自身がイニシアティブを取ろうとすることから、緊張状態が目立ち始めている。
 アメリカと中国の激突が始まり始めている。サイバー面では戦争は始まっているとされるほど、深刻な問題となっており、アメリカはサイバー戦略を第5の戦略と位置づけるほどになっている。

アジアで衝突が多発していく

 それでは、アメリカと中国は戦争する可能性が高いのだろうか。今現在、考えられるのは、戦争の可能性は低いだろうが、中国の対アメリカにおける衝突は多くなっていくだろう、というものだ。
 現実にアメリカの軍事力と中国の軍事力の差は大きく、中国がアメリカに挑んでもまだ勝ち目はない、という。ただし、中国が脅威に感じられる原因として、アメリカの存在があるということだ。そこで、中国が最終的に意識する相手はアメリカになる。ただ、東西冷戦のアメリカとソ連のような関係にはなりにくい。なぜなら、アメリカと中国は経済的にも結び付きが強いことが挙げられる。
 しかし、それでも中国による対アメリカの戦術としては、正面衝突ではなく、いかにアメリカを混乱させるか、が重要な要素になっている。それは、非対称の戦争として米軍のシステムへのサイバー攻撃、宇宙での衛星攻撃、攻撃型潜水艦の増強、対艦ミサイルの配備などで米軍の対中抑止、戦闘の能力を減らすことを目的としている。
 このようなことから、アメリカと中国の戦争は低いとみられる。しかし、アメリカが中国側の危険な行動を抑止する能力を保持することができるという条件が求められると指摘する声もある。

中国の拡大…制海権の挑戦…中国内部の変化

 ただし、今後の中国によるイニシアティブや混乱させる行動は強くなっていく模様だ。つまり、アジアの中での中国は覇権争い、影響力拡大といった形で、局地的な衝突が増えるとされる。
 アメリカとの戦争を避けながらも、なお軍事の威力を発揮しようとする中国の戦略が、今後さらに強くなっていきそうだ。中国軍は今後10年から20年の間は近隣諸国への威嚇を意図するとの指摘がある。軍事力の増強によりアジア地域の諸国が、中国に反抗や朝鮮ができない状態を保ち、地域的な制覇とまではいかないが、第2列島線の日本からグアム島に及ぶ海域で、他国が軍事行動をとることを難しくするだろうという。
 問題は中国のこうした影響拡大がどこにいきつくのかということだ。その答えの一つに考えられるのが、アメリカとの正面衝突(戦争)だろう。現に中国は軍事力の急速な拡大を進めていること、そして、周辺国との影響力のぶつかり度が高くなってきている。
 その周辺国とのぶつかり度が高くなってきていることは、周辺国だけではなく、アメリカにも大きく影響し、緊張状態が高まりつつある。つまり、制海権の問題が浮上しているのだ。中国がアメリカ海軍からアジアでの中国への海洋接近路コントロールを奪おうとしているとみられ(特に西太平洋)、東アジア全体に大きな余波を広げることになる。

 こうした中国の戦略は国内の中国共産党指導部が深く関わっているとみられる。つまり、指導部の目標は、中国の海軍、空軍、宇宙軍のパワーの増強は、全て自国をアジア地域で支配的な軍事大国にするという目標があるとみられ、アジア諸国を手始めに、やがては全世界に対し主導権を発揮することが大目標になっている、という。
 さらに、この流れが今後、強くなると指摘されている。つまり、中国の次期最高指導者の習近平国家副主席や李克強副首相らは文化大革命中に成人になり、イデオロギーの危険性や貧困の重みを知っていることから、専制で独裁だが、慎重さを持っているという。しかし、その次の世代は、文革の間に生まれ、鄧小平による改革の時代に成人となったことから、イデオロギーは後退し、経済は高度成長を続けていることなどから、中国政権の内外での政治パワーの威力を当然とみなすのではないか、と指摘されている。

 これらのことから、今後の中国の動向はますます注視する必要にあり、アメリカの動向が重要な要素になってくる。現に今でもアメリカは世界的に大きな存在感を示していることから、アメリカの中国対策、そして、日本や韓国などといった国々の、対中国の対策も必然となってきそうだ。

【参考資料】

・「古森義久のワシントン報告 「アメリカの中国研究」 最終回 米中戦争の行方」
古森義久(ジャーナリスト)(SAPIO 2011.12.7)

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