環境と発電による温暖化問題

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 昨年末、南アフリカのダーバンで第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)が開催された。その内容はもちろん、環境問題で、京都議定書の延長問題だった。日本はアメリカや中国が参加しない枠組みではその効果は高くないとして、延長には反対。結果、京都議定書は日本などに義務が生じない程度の延長という流れになった。

 日本は「京都議定書」で2008~12年の温暖化ガス排出量を年平均で1990年比6%減らす義務を負う。08~09年の平均排出量は90年比1.3%減程度。しかし、昨年の3月11日の東日本大震災による原発事故で、電力供給に大きな問題が浮上した。火力発電から原発発電に移行しようとする国の政策は、環境対策としても注目されていた。しかし、原発事故でその環境・安全対策に大きな問題が生じ、今後の原発政策にブレーキがかかった。
 日本国内の原子炉は全部で54基。その中で43基が停止中(2011年11月15日現在)。これらが再稼動せず残りも定期検査に入れば、今年4月に稼動原子炉はなくなる。原発による電力供給が今後は難しくなることから、火力発電を動かすことになる。しかし、その火力発電は二酸化炭素(CO2)排出の面では大きな問題がある。LNG火力の発電量1キロワット時あたりのCO2排出量は約600グラム。建設時などのエネルギーを含めて20グラム程度の原子力発電よりはるかに多い。各地に設置した電源装置は大型設備よりも発電効率が劣り、一層の排出量の増加を招く。
 日本はこれまで環境問題に取り組んできた。国内産業はCO2の排出量を1990年度から09年度まで、19年かけて19.5%減らしてきたが、電力量あたりの排出量が増えれば、削減は厳しくなる。

 現在、原発事故により電力供給が火力で賄おうとしていくことに対し、温室効果ガス排出量の増加が懸念されている。今後の節電状況にもよるが、京都議定書の義務達成は「海外からの排出枠買い取りなどを加味しても、ギリギリ可能かどうか」の綱渡り状態。それに、「20年までに90年比25%削減」の国際公約達成は極めて厳しい。
 もし、原子炉を寿命40年で原則廃炉にし、新増設もしないと20年に36基に減ることになる。政府のエネルギー基本計画の想定との差を全て火力で代替えするとCO2排出量は1億2,651万トン増えることになり、90年の温暖化ガス排出量に比べ、約10%増にあたる。

今後の環境対策は、様々な視点と発想と地道な取り組み

 地球温暖化問題が駆け巡る中、電力発電という分野だけでも、温暖化ガス排出量を下げようとしてきた。しかし、原発事故はさらなる害を及ぼすことになってしまった。現状での現実度では、火力発電が有力だが、今後の電力供給としては、環境面を考慮した発電体制は極めて重要であることから、再生可能エネルギーが注目されている。風力や太陽光などだ。
 そういった解決策の一つが多くの議論を呼んでおり、地球温暖化を食い止めようという声が大きい。しかし、地球温暖化に対し、こんな声・説もある。

 これまで気温が下がるにつれ、サハラ砂漠は拡大していった。世界的な寒冷化に伴い、大気中の飽和水蒸気量が減少して降雨量が減り、乾燥地域が増えた。しかし今、気温が上昇するにつれて、サハラ砂漠などの乾燥地域の周縁部で緑化が進んでいるという。
 つまり、気温の上昇によって世界の幅広い地域で降雨量が増え、植物がより繁殖し、何世紀も荒れ果てていた地域に植物が生えてくるという可能性があるという。アルプスでは樹木の限界高度が徐々に上昇しているという。
 地球温暖化の影響は悪いことばかりではないのかもしれない。国連主催のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が予測した気温上昇とCO2から考えると、北米の大草原では植物の成長が促進される見込みだという。世界の陸地の3分の1を占める半乾燥地域の草原は、より肥沃になっていく可能性があるそうだ。

 IPCCの報告では、アフリカの広範な地域で降雨量が減少し、ソマリアで起きているような飢饉が珍しいものではなくなるかもしれないと予測している。
 地球温暖化による環境問題は深刻だという声は強い。ただし、こうした視点も取り入れて、今後の環境対策に生かしていく必要はあるだろう。
 そもそも地球温暖化は、「地球全体が活動するサイクルの中で自然なものだ」から、心配する必要はないという声もある。そうかもしれない。ただし、環境悪化の可能性もあるのだから、今後の対策として、再生可能エネルギーによる発電など、自然環境を考えた取り組みは行っていかなくてはならないだろう。

 これまでは火力発電や水力発電、そして、原子力発電といった発電方式を実現させてきた。その恩恵を得てきたわけだが、次はもっと環境に配慮した再生可能エネルギーの可能性を実現し、選択の道を広げて、対策を練らないといけない。
 発電分野だけでも環境対策の取り組みはなされ、他の分野にもそれぞれの環境対策があるだろう。そうした取り組みの方法を広げていくことで、私達が陥る環境悪化による生活悪化が少しでもよくなることに繋がるからだ。

【参考資料】

・「エネルギーを問う 第3部 ベストミックス 4 削減目標 赤信号 増えるCO2に手詰まり」
(エネルギー問題研究所)(日本経済新聞 2011年11月15日(水)))
・「地球温暖化で緑化が進む? 常識を覆す楽観論が登場」
シュテファン・タイル(ベルリン支局長)(Newsweek 2011.9.14)

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