インターネットのルールはどこへ行くのか?

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 今後のインターネットのルールを決めようと、各国がしのぎを削り出した。今後のネットの在り方を国際的にするためだ。

 ネットのルールを巡るそれぞれの主張を大まかに挙げると、
・米国:規制は最小限にとどめ、ネットは政府や市民社会、産業界、学会などが共同で運営すべき
・日本:米国に近い立場
・欧州:米国の実質統治に不満を抱いており、緩やかな規制導入を求めている。運営に関する主張は米国に近づきつつある
・新興国・途上国:米国主導ではなく、国際機関に管理権限を移すべき。規制の大幅強化が必要
・一部途上国:ネットの国境遮断も検討

といった、それぞれの立場を取っている。
 既にネットの権益を確保し、規制導入に反対の立場の米国。国家管理する中国などの途上国。そして、緩やかな規制で仏企業の利益拡大を目指す中間派のフランス…といった勢力が、主導権争いを繰り広げている。
 米国は、これまでのネットを牽引してきた土台から、事実上統治する現行の枠組み維持を狙っているが、仏は米ネット企業の独り勝ち状態を崩したい模様。
 一方の新興国や途上国を見ると、急速に経済力をつける中国やロシア、インドなどは米国の支配を嫌い、国家によるネットの管理強化を狙って国内法の整備を進めている。また、新興国や途上国の一部は、ネット社会を国連で管理・規制することを提案している。イランはネットを国境で物理的に遮断し、独自の国内ネットを構築する計画を進めようとしている。
 それでは、日本はどうだろうか。日本はネットや情報流通の技術面などインフラは高いが、国際的な枠組みづくりでは出遅れている。先進国の立場は米国の主張に収束しつつあるという状況だ。

 ネットの国際ルールはどうなるのだろうか。ネットに対する見方もそれぞれ違い、一部の新興国や途上国のネットの脅威に対する見方が背景にあり、米国のネットのあり方が進むとはいえない。
 その代表的な存在が中国だ。中国はネットを国家管理している。しかし、そんな中国でもネット上の書き込みで、政策変更を迫る民衆の突き上げが強まっている。
 浙江省温州市での高速鉄道事故では、国内メディアへの批判規制を敷いても、ネットでの批判は続いている。遼寧省大連市が8月14日、化学工場の即時操業停止を決めた件でもネットを通じたデモが当局の背中を押すなど、ネットの存在感が強まっているからだ。
 中東地域の民主化運動の波がネットを通じて中国に及び、中国当局は民主化集会の呼びかけを徹底的に削除し、言論統制を強化した。しかし、国民の権利意識が向上し、汚職や失政への批判や情報開示要求が強まる中、生活や命にかかわる問題でネット統制を強めれば批判は逆に強まりかねない状況だ。当局はネットをどこまで規制すべきかで揺れている。

 ネットの国際ルールでも各国のそれぞれの国内の背景が絡んでくる。ネットの存在は中国でもイランでも無視できない存在になってきたため、これだけ中国やイランでもネットの体制を規制しようとする動きになっている。
 しかも、ネットは国際間の犯罪といった事件も生んでおり、国を越えた対策が必要になってくるため、こうしたネットの国際ルールをつくろうとする動きが強くなってきた。ただ、主導権争いの現実から分かる通り、国際ルールの行方も波乱に満ちそうだ。先進国主導でこれまでは牽引してきたが、中国といった新興国が経済的に勢いをつけていることから、そう簡単に中国の言い分をきかないわけにはいかなくなってきている。

【参考資料】

・「ネットの国際ルールづくり 国益かけ主導権争い 米国→規制反対 中国→管理狙う 仏、自国企業有利に誘導」
古谷 茂久(パリ)(日本経済新聞 2011年8月16日(火))
・「中国、高まるネット世論 高速鉄道事故 大連工場停止 荘手以外の圧力、当局動かす」
品田 卓(北京)(日本経済新聞 2011年8月16日(火))

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