自然エネルギーへの転換は可能か(3)

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 自然エネルギーに注目度は高まっているのは事実。環境問題にも大きな影響を与えるこれまでのエネルギーに対し、自然エネルギーは環境に優しいとされているからだ。そして、これまでの太陽光や風力といったエネルギーではなく、他にもさらなる発想が展開されてもいる。

 それは、「藻類」から得るエネルギーだ。藻類など単細胞生物は光合成を行い、水面に浮かぶことができるよう小さな袋状の油を作り出すという。こうした単細胞生物はトウモロコシやヤシ油よりも石油に近いそうだ。
 この藻類だが、他にもメリットがある。食糧生産とも競合しなければ飲料水も犠牲にしない。さらには、土地も必要がないため(海が必要だが)、CO2排出量も少ないため、環境にマイナスの影響が少ないという。
 メリットばかりで今後のエネルギー展開に大きな光にもなりそうだが、課題も多い。
・現在、遺伝子操作による品種改良を進めている段階であるということ
・数千km2の広さでいかにして藻類を栽培するかという問題
・遺伝子操作された穀物に不快感を抱く人々の不安をあおる可能性があるとういうこと
・いかにして最高の藻類を繁殖させるかという問題
・コメのように栽培した藻を市場に出し、流通させることが可能かという問題
・藻類燃料の生産から発電までを全て、ガソリンに近いコストで実現できるか
などといった問題・課題がある。
 他にもアフガニスタンのアヘンの原料となるケシの問題が、エネルギー問題に一役買えるかもしれない。ケシの実からバイオ燃料を生産するということだ。ケシの実は油分が45~50%と比較的高く、オーストラリアのタスマニア島では既にバイオ燃料として実用化されている。アフガニスタンでは年間10万tのバイオ燃料が生産できると見込まれ、これは世界のバイオ燃料消費量の2.5%に相当するという。今、米国企業が開発に乗り出しており、実現すれば、違法な薬物の流通を阻止し、タリバンの資金源を断ち、アフガニスタンの人々の生活さえも改善できるかもしれない。
 それと、もう一つ。これは藻類だけの問題ではないのだが、自然エネルギーが環境に優しいという面があるのだろうが、果たして副作用はないのだろうか、ということだ。自然界はあらゆる面でバランス性があり、どこかを刺激すると、バランスが崩れたりすることもある。刺激によりサイクルされるといいが、無理なサイクルになると、どこかに負担がかかり、悪影響が出てくる。そうしたことから、いかに自然エネルギーといえども、その副作用についても注目しないといけないだろう。

スマートグリッド

 自然エネルギーへの注目は高まっており、様々なエネルギー源の発想が飛び交っている。太陽光や風力といった一般的に知られているものから、藻類といった新たな発想のものまで、今後も様々な議論がされ、取り組まれていくことだろう。
 そこで、もう一つ。エネルギーを活用する方法として、「スマートグリッド」が注目されている。スマートグリッドの目的は、電気を余ったところから足りないところへ自動的に融通することで省エネを図ると同時に、1日を通じた電力需要を平準化することだ。これにより、停電をなくすことが可能になり、ピーク需要に合わせて巨大な設備を造る無駄も削減できるという。
 こうしたスマートグリッドが今、注目をあび、日々様々な展開を進めている。これが実現すればどうなるのか。スマートグリッドの目となるスマートメーターを家で活用する場合、屋根のソーラーパネルの発電量や用途別の電力消費量、電気料金などが一目で分かり、そこから省エネ活動にも結びつきやすくなるだろう。
 それに、電気が不足する事態に陥る場合、通信ネットワークとスマートメーターを通じて、冷暖房の設定温度を変えるなどして消費量を調整するといったことも可能になるかもしれない。つまり、このスマートグリッドは、多様なエネルギーをつないでも、送電網が不安定にならないように制御するものとなりそうだ。
 このスマートグリッドだが、オバマ米大統領も再生可能エネルギーの実用化の切り札として推進。今後、新興国で都市化が進むと局地的に急増する電力需要に対し、限られた電力供給で効率的に応えるためのスマートグリッドも不可欠になるだろう。
 一方の日本はどうなるのだろうか。道筋は微妙だという。なぜなら、スマートグリッドは電力自由化が大前提なため、企業の電力小売りしか認められていない現状では、太陽光発電で電気が余っても家庭は自由に販売することができない。電力料金も規制されており、市場メカニズムで電力時調整することは不可能だという。

 これらのような新たな発想をどう活かしていくか。世界では様々な展開がされており、日本も取り組んでいかないといけないだろう。そこに大きな壁があるだろうが、どう活かしていくか、が今後の大きなカギを握りそうだ。

(つづく)

【参考資料】

・「石油大手BPの元重役女性が目指すクリーンな藻類燃料」
Anya Kayamenetz(Fast Company)(USA)(COURRiER Japon 2011.7)
・「栽培が禁じられている あの植物が「緑の燃料に」!?」
(COURRiER Japon 2011.7)
・「電力自由化で話題 スマートグリッドって?」
千葉 香代子(本誌記者)(Newsweek 2011.6.15)

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