環境大国アメリカに!?(From Newsweek 2009.3.18)

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「ロシアは経済危機で蘇る」
オーエン・マシューズ(モスクワ支局長)

 金融危機で世界的に不況の中、ロシアの影響力が増している。
 ロシアの「今年の経済成長予測はマイナス2%だが、マイナス10%のウクライナを筆頭に旧ソ連の国はどこも大打撃を受けている。ロシアはこの好機を逃すまいと、融資をしたり金融支援を申し出たりしている」という。
 そうして、「その政策は実を結びはじめ、十数年ぶりにロシアはこの地域での影響力を取り戻しつつある」という。「ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は2月、ロシアから20億ドルの融資を受け入れた後、ロシア主導の防空防衛システムを国内に構築することに合意した」。さらに、「ロシアから20億ドルの融資の申し入れを受けたキルギスも2月、NATO(北大西洋条約機構)軍のアフガニスタン派兵の物資供給拠点となっているマナス空港の米空軍基地を閉鎖すると発表」した。
 こうしたことから、ロシアの戦略、ロシア側の策がうまくいっているように見える。

 ロシアのこうした戦略は他の国にも影響を与えている。

 「モルドバのウラジーミル・ウォロニン大統領は2月末、EUの東方パートナーシップは「対ロシア包囲戦略」だと批判し、参加を拒否。ベラルーシーのルカシェンコ大統領は、ロシアから融資を受ける一方、グルジアの南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を認めるよう迫るロシアの要求には抵抗。EUの要請の応じて野党勢力と面会し、主要グループ「フォー・フリーダム」の活動を認可」した。しかし、「ベラルーシー経済はロシアが供給する安価な天然ガスに依存し、対ロシア債務は150億ドル以上に」。ロシアの存在は大きなものになっている。
 ウクライナも影響下にある。「経済は破綻に瀕し、ロシアの国営天然ガス独占企業ガスプロムに対する多額の債務を抱え、少なくともあと50億ドルの金融支援が必要」だという。「ロシアが2月に金融支援を申し出たが、EU加盟を望む国民の多くはロシアの干渉に警戒感を示した。政府は今のところこの申し出を拒否しているが、EUからの支援の見通しが立たなければ誘惑にあらがえなくなるかもしれない」。
 どのケースも現実的なところで、重要な部分をロシアに握られているようである。

「キューバ封じ込めが終わる日」
リチャード・ハース(米外交評議会会長)

 アメリカはキューバを快く思っていない。だけど、互いに必要なのかもしれない。
 「アメリカはキューバという国の崩壊を望んでいない。さらに抑圧的な政権が誕生したり、麻薬や犯罪、テロや人道危機などによる情勢不安を招き、結果として何万人もの難民がアメリカに逃れてくることになるから」である。
 そうしたこともあり、「アメリカもキューバもすでに、相手国の首都に「利益代表部」(小型の大使館のようなもの)を設置している。また両国は、気象に関する情報を交換している」という。
 アメリカはキューバありきで考えているのではないだろうか。その逆(キューバ)もしかり。

「オバマの大いなる二枚舌」
ロバート・サミュエルソン(本誌コラムニスト)

 「国防費の減少はイラク撤退による大幅な節約と、今よりはるかに安全な世界を前提としている。世界情勢が予想どおりにならなければ、財政赤字は膨らむ」という。
 これから先、果たして今より安全になればの話だろう。前提条件が狂えば、予測や予想は狂ってくるもの。

 不況を脱するのはいつになるのだろうか。
 景気刺激策を実行したとしても、評価は難しい。
 「7870億ドルの景気刺激策にも額面どおりの効果は期待できない。そのうち2000億ドル分の効果が出るのは来年以降になるから」だという。
 すぐには効果が出ないということである。効果が出ない間をどう乗り切るかにかかっている。

「元祖エコ大国の復活が始まる」
シュテファン・タイル(ベルリン支局)

 アメリカの環境に対する勢いが加速している。
 「アメリカは昨年、ドイツを抜いて世界最大の風力発電大国になった。テキサス州には過去3年間で計5000メガワットの風力発電施設が設けられた。風力発電量ではテキサスとカリフォルニアに次いで3位のアイオワ州でさえ、日本の発電量を上回っている」という。
 アメリカは環境大国になりつつあるのだろうが、しかし、汚染大国でもあるのは事実だろう。
 そのアメリカであるが、実はアメリカは元々、環境に対して力を入れていた。
 「80年代には、世界で新規着工された風力発電施設の90%がカリフォルニア州に造られた」という。

 環境大国ドイツを超えるのがカリフォルニアだという。
 「人口約3700万のカリフォルニア州は、GDP1ドル当たりのCO₂排出量がドイツより20%少ない」という。さらに「風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、総発電量の24%を占めている(ドイツは15%、日本は11%)」といい、これには、アメリカのイメージからは意外に感じる。
 そうしたカリフォルニアには、「太陽光、風力、地熱を使った発電施設も、世界最大のものはすべてカリフォルニアにある」。クリーンな州であることはわかったが、これをどう他の州、アメリカ全体に活かせるかが、大きな課題になるのだろう。

 幸いオバマ大統領も環境に対して力を入れている。
 「オバマは就任してすぐに、州は独自の環境政策を取ることを容認」。これは、「世界で最も厳格な排ガス規制を目指していた」カリフォルニア州にとっては背中を押すことになるだろう。
 「オバマは、アメリカのCO₂排出量を2020年までに3分の1減らし、2050年までに80%削減するという野心的な目標を掲げている」のだが、この目標は現実的に可能なのか。

 明るいニュースはまだある。
 「人口1950万人のニューヨーク州は、CO₂排出量がカリフォルニア州より少ない」という。「ドイツよりも環境汚染度の低い州が、全米には11州ある」そうだ。
 ただ、これには疑問がある。それは、人口が少ないといったことなどといった比較するときの土台・基本的な部分が一緒なのかということである。

 ただ、ここには加太があるのも事実。
 「アメリカでは州によって、環境保護への取り組みに大変な差がある」という。一体感はないが、アイデアをすぐに活かせる臨機応変なメリットがあるが。

 もちろん、アメリカにも環境への整備が整っていないところもある。
 「テキサスやフロリダ、重工業地帯のペンシルベニアやミシガンなど、CO2排出量の多い「茶色い州」がある」のも事実だろう。
 だが、それもアメリカだけではなく、EUにもあてはまる。「EU加盟27ヵ国のうち23ヵ国は、カリフォルニアより環境汚染がひどい」という。ポーランドやチェコなど数カ国は、GDP1ドル当たりのCO₂排出量がペンシルベニア州などよりも多い」という。
 これは、環境を考えるEUというイメージだったのを覆された。

 アメリカ人は「物価や時代の変化に応じて身軽に生活を変えられる」特性を持っている。臨機応変な性格であるが、これを悪く言えば、変化しないと変わらないといえるのかもしれない。

 超大国アメリカが、環境に対して力を入れることは世界に大きな影響を与えるだろう。

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