人口問題 環境と人口

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 国連人口基金は2011年10月に世界人口が70億人を超えたという推計を発表した。先進国では人口の減少と高齢化問題が深刻になっているが、新興国ではその逆で人口増となっている。現在の人口世界一は中国。しかし、国連は今後数十年もすれば、インドが中国を抜くと指摘している。ただし、人口増は問題も生み出している。

 人口問題は環境問題から食糧問題、経済問題から人権問題など様々な問題に影響している。一見、人口増は経済成長の勢いがあると見られるが、人口の規模そのものは重要ではなく、その構成が重要な点になる。
 経済成長の一つの原動力となっているのは、「人口動態のボーナス」という状況である。労働者が多く、それに依存する若者と高齢者が少なければ、必然的に力強い経済が誕生する。現在のアジア諸国の多くは、これを追い風にして勢いをつけているが、20~30年でその勢いが失速すると見られる。つまり、アジアの経済成長の3分の1は経済生産に適した人口の構成が一つの要因だといえる。

 人口の増大は、出生数、死亡数、移住など様々な要因に左右され、その国の環境からも影響される。そのため、適した人口の構成にはならず、「人口オーナス」という先進国が抱える問題にも陥ったり、人口増が加速し暴走したりする。
 人口増が加速すればどうなるのだろうか。この12年間で10億人が増大したという。1960年代以降でみれば40億人が増加したことになる。人口増が急に拡大すれば、それに伴いいくつかの影響が出てくる。
・増加に伴った環境整備が追いつかないこと
・環境問題が深刻になること
・食糧問題が深刻になること
などが挙げられる。もちろん、この他にも影響は出るだろう。

 人口が増加することによって、地球が人口増に耐えている。つまり、人口増が拡大すれば地球がもたないのではという疑問がこれまであった。ただし、グリーン革命による食糧増産などの技術革新に負うところが大きいが。しかし、人口増は環境に大きな負担をかけることにもなる。
 環境問題は現在、深刻な問題となっており、地球温暖化による海面水位の上昇や穀物の生産量低下、自然災害の増加などの問題が引き起こされやすくなっている。人口が増加することで、生きていくための食糧増加が必要になるが、食糧を生産する農地が不足しているという問題が出ている。増加する人口に十分な食糧を供給するには、食糧と家畜用の飼料の生産を今後20年で倍増しなければならないというが、それは環境にも影響する。

「家族計画」と「女性」がポイントに

 人口増加の対策の一つとして、自発的な家族計画が重要なポイントになってくる。途上国では、望まれない妊娠が非常に多く、その数は年間7,500万に達するという。問題は女性の地位と権利が最低限しか認められていないことだ。そこで、現状から病気や性行為への知識や、教育、識字率改善が重要な要素といえる。女性は子供を出産し、自身の健康も重要になってくる。それに、男性より家族生活を気にかける傾向にある。
 こうしたことから、女性の環境を整備することで、望まれない妊娠などの防止に繋がり、適切な家族計画が進められ、人口問題改善への一つの道が示されそうだ。

 ただ問題なのは今後、新興国が人口オーナス期に入れば、現在の先進国で深刻な問題となっている高齢化問題が深刻になってくる。現在の先進国の対策はまだまだ不充分であるだろう。人口が急拡大して、若年層が増えることは、経済といった勢いがつき、メリットもあるが、不安定化する恐れもある。不安定な状態を対処できなければ、政治・社会的混乱が起きやすくなる。
 人口問題はいろんなところに影響する問題といえる。

【参考資料】

・「70億の人口を地球は支えきれるのか――環境問題、食糧問題、家族計画と女性への投資」
ジョン・ボンガーツ(人口評議会副会長,人口統計学者)(FOREIGN AFFAIRS REPORT 2012 NO.2)

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