環境問題のニュースは前より少なくなったように感じるのは私だけだろうか。
しかし、環境問題は依然として続いているのが現実だ。そして、地球温暖化の脅威は減少しておらず、二酸化炭素排出による脅威は取り除かれていない。
2009年時点で、「地球の気温が4℃上がってしまったら?」というニュースが紹介されていた。その世界は驚愕の世界だ。
沿岸部では海水面が現在より2mほど上がるという。さらに、グリーンランドの氷原と南極の氷の一部も溶ければ、海水面はさらに上昇。もちろん、これだけではない。今、人間が定住し、耕作している土地はいずれにも適さなくなるという。
地球の陸地面積の半分は、南北の緯度30°線に挟まれた熱帯地域に属しており、とりわけ気候変動に弱い。インド、パキスタン、バングラデシュは今日よりも短期で激しいアジア・モンスーンに見舞われ、破滅的な高波に襲われることになり、アジア中が旱魃に悩まされることになるという。
さらに、水問題も深刻になる。気温上昇により土中の水分が失われ、水資源は世界中で枯渇。世界中の主要な砂漠は拡大し、サハラ砂漠は中欧にまで達することになる。
さらに、氷河が消えると、ドナウ川やライン川といったヨーロッパの河川は干上がり、似たような影響はペルーのアンデス山脈、ヒマラヤやカラコルム山脈にも及ぶ。その結果、アフガニスタン、パキスタン、中国、ブータン、インド、ベトナムに水が供給されなくなる。
充分な水が確保できるのは緯度の高い地域だけとなり、それ以外はところどころにオアシスが点在する砂漠になる。
そして、人口も世紀末には、10億もしくはそれ以下になるという。
人類が生き延びるための、大きな多くの課題の一つ
この悪夢のような世界を阻止するためには、炭素排出量を15年後までに70%も減らさなければならないという。しかし、毎年3%ずつ排出量を増やしているのが現実だ。
果たして、人類は生き延びることができるのだろうか。もしかすると、土地と生産手段を再分配すれば可能かもしれない。つまり、土地、エネルギー、食料、水を効率的に使えばの話だ。ただし、同時に環境悪化要因を減らさないといけないことに変わりはないだろう。
それに、資源を効率的に使い、再分配するためには、資源争いや国家間の紛争など、乗り越えないといけない壁は数多くあるのが現状だ。
それらの問題に対し、今世紀中に世界中で平均して1.1℃から6.4℃の気温上昇が起きるという。各種の試算では2100年までには気温が4℃上がるという。さらに、中には2050年までにそうなってしまうとする声もあるそうだ。(2007年に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が発表した報告書)
現実問題として、環境問題は刻一刻と迫ってきている。問題が立ち止まってくれるのは、私達が環境悪化への行動を起こさないことには実現しない。
【参考資料】
・「気候変動シミュレーション「地球の気温が4℃上がったら…」」
ニュー・サイエンティスト(COURRiER Japon 2009.11)