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米オバマ大統領が誕生 「チェンジ」は達成されるか (3)

 バラク・オバマ次期大統領が、ここまでの躍進した理由は様々にあるだろうが、なんといっても、「ウェブ・オブ・パートナーシップス」(*1)が重要な要素になった。これは「クモの巣状の協調関係(*1)という。それは、「あらゆる国の指導者と喜んで会う。友人とも、敵とも」(*1)ということだ。オバマ氏が公約に掲げた各国との対話路線をイメージで表したのが、「クモの巣を広げる外交」(*1)であり、世界と話し合って問題を解決していこうとする姿勢につながる。
 そして、オバマ氏は選挙戦で躍進を遂げたキーワードが、インターネットを使った口コミ。その効果を今後も活用していくようだ。
 オバマ氏は、史上初のテクノロジー担当の高官ポストを創設するほか、メールやネット上に掲載するビデオ映像を国民との「対話」に最大限活用する方針で、「顔の見える政府」を目標に掲げている。高官ポストの役割は、ネット上に関する政府の戦略や公的間の設備拡充、セキュリティーの強化などを指揮(*2)するという。
 具体的には、「オバマ新政権」は動画共有サイト「ユーチューブ」のビデオなどを活用することで、「顔の見える政府を目標にしている」という。その手始めとして、「政権移行チーム」は14日、大統領就任後にオバマ氏が始める米国民向けの大統領演説(毎週土曜放送、約4分)をビデオに録画。ホワイトハウスのウェブサイトに公開する方針(*2)だという。これは、民主党のフランクリン・ルーズベルト大統領(1933~45年)が世界恐慌後の混乱の中で始めたラジオ演説を「顔の見える」メッセージに変える初の試みで、注目を集めている(*2)という。さらに、ビデオやメールを駆使し、国民と質疑を交わす「双方向」の対話システムも構築する(*2)。
 オバマ氏が政権移行に向けて始めた専用サイト「チェンジ・ドット・ゴブ」(http://www.change.go.v/)では、政権移行チーム幹部が今後の方針などを語るビデオが掲示されている。新政権への「アドバイス」コーナーもあり、早くも多数の市民が意見や希望をメールで寄せている(*2)という。

 そんなオバマ氏が「変革」を掲げる上での課題として、
イラク、アフガニスタンでの戦争(*3)
地球温暖化対策(*3)
金融危機対策(*3)
新エネルギー問題(*3)
同盟関係の修復(*3)
などを位置づけており、外交は国際協調路線、内政では超党派路線を基軸に政権運営にあたる(*3)もようだ。

 オバマ氏は、民主主義や希望といった「理念のソフトパワー」を再生、世界と和解することを目指している。協調路線には「敵との直接対話」が含まれる。核開発を進めるイランとの対話にも積極的で、オバマ陣営の中東政策スタッフ、デニス・ロス氏は「イラン最高指導者ハネメイ師との接触がカギ」だと語る。それは、同師が核開発の決定権を持つ人物と見ているから(*4)。
 この直接対話路線は、核問題を抱える北朝鮮に対しても進める意向(*4)。
 さらに、具体的なものとして、オバマ氏は09年1月の大統領就任後16ヵ月以内にイラクから戦闘部隊を撤退し、主戦場をアフガニスタンにシフトさせる方針。アフガンについては北大西洋条約機構(NATO)にも積極貢献を求める(*4)という。
 環境対策に関する公約では、米国の温室効果ガス排出量を「50年までに1990年比で80%削減する」という意欲的な長期目標を掲げた。京都議定書を含む国連気候変動枠組み条約を重視し、その下で「建設的な役割を果たす」とも表明(*5)。
 国内の状況に関して、22日、オバマ氏は全米向けラジオで演説し、2011年1月までに250万人の雇用を確保・創出することを柱とした経済対策の立案を政権移行チームに指示したと発表。09年1月の大統領就任後、予算措置した法案を策定し、早期の成立を図る方針。オバマ氏は演説で「全米規模の雇用活性化を促すきっかけとなる」と強調。道路や学校、エネルギー関連施設の整備など大規模公共事業の実施を表明(*6)。

 そんなオバマ氏のこれからの方針であるが、果たしてうまくいくのだろうか。
 8年前にジョージ・W・ブッシュが大統領に就任したとき、世界はおおむね平和で、米軍には余裕があった。原油は1バレル=23ドルで、米経済は年3%超のペースで成長。為替相場は1ドル=116円で、米国債の発行残高は6兆ドルを下回り、連邦政府は大幅な財政黒字。9・11テロによってアメリカは大きな損害を受けたが、同情した世界はアメリカと協調路線を強めた(*7)。
 新大統領は、イラクとアフガニスタンにおける戦争、疲弊した軍隊、そして世界的な対テロ戦争を引き継ぐ。原油価格は最高で1バレル=150ドルにまで達し、ドル安が進行し(100円を切っている)、世界各地で反米感情が高まっている。財政赤字は大統領就任の年に1兆ドルに達しかねない。連邦政府の債務は約10兆ドルにふくらんでいる(*7)。
 アフガニスタン情勢は、イスラム原理主義の反政府勢力タリバンが再び勢力絵を拡大し、治安は悪化し、麻薬と腐敗が横行している。米軍とNATO(北大西洋条約機構)軍の増派が必要だが、現地でのナショナリズムの高まりを考えると、増派は暫定的なものにしないといけない(*7)。
 最も力を入れるべきは国軍と警察の強化。アフガニスタンの動向に利害関係をもつイラン、パキスタン、インド、中国、ロシア、NATOとの定期協議も必要(*7)。
 イラクの現状はといえば、米イラク両政府による地位協定交渉では11年末までの撤退とされており、前提となる治安部隊の育成は訓練の主眼はゲリラ戦への対応に置かれ、戦車や装甲車、重火器などの装備も欠いたまま。米軍に依存している兵たん業務の確立には「3~4年が必要」とされる(*8)。
 ロシアの動きも気になる。米国によるMD施設の東欧配備には新型ミサイル配備で対抗することを表明しており、8月のグルジア紛争や世界的な金融危機の責任も米国にあると指摘(*9)している。

 アメリカ国内を見ると、人種問題となった黒人の問題。黒人の社会進出はまだ途上であり、大手企業の経営者は少なく、失業率は白人の2倍以上(*10)というのが現状だ。
 アメリカの人口比率は、白人66%、ヒスパニック15%、黒人13%、アジア系5%、白人の割合は下がり続けており(*11)、人種の多様性を残す「サラダボウル」化の傾向を強める。国勢調査局の予測では白人人口は2042年に5割を切り、ヒスパニックや黒人など非白人層が多数派に転じる見通し(*12)だという。2050年までに白人比率で5割を切り、少数派に転じる(*13)という見方もある。

 バラク・オバマ次期大統領の思い描く、アメリカの姿、世界の姿は、オバマ氏の思いと戦略が、どこまで功を奏すのだろう。
オバマ氏のリーダーシップで取り組んでいく策は、問題をどこまで変革させていくのだろう。各国の立場、世界の人々の思いと重なり合い、協力していけるだろうか。それと同時に、アメリカ国民自体が変革を成し遂げるために協力できるだろうか。

つづく

<参考資料>
*1 日本経済新聞 2008年11月9日(日)『オバマの米国と世界 下 「クモの巣」の外交 同盟強化、日本に試練』
*2  毎日新聞 2008年11月16日(日)『オバマのアメリカ 新政権への移行 ネット駆使し国民対話 「顔の見える政府」目指す』
*3 毎日新聞 2008年11月6日(木)『内政・外交を大転換 米大統領選 オバマ氏勝利宣言 「この国の真の力は武力ではなく、民主主義に由来する」』
*4 毎日新聞 2008年11月6日(木)『米大統領にオバマ氏 変化の期待一身に 多難な「対話路線」 「強い米国」との相克 課題』
*5 毎日新聞 2008年11月6日(木)『温暖化対策も転換に期待感』
*6 毎日新聞 2008年11月24日(月)『雇用創出促せ! オバマ氏「250万人分増やす」』
*7 Newsweek 2008.11.12 『第44代大統領が直面する世界』
*8 毎日新聞 2008年11月7日(金)『イラク 米軍早期撤退に懸念 オバマ氏公約 治安に不安も』
*9 日本経済新聞 2008年11月6日(木)『米新大統領に期待と警戒 ロシア、早くも揺さぶり ミサイル配備表明 対米批判明確に』
*10 日本経済新聞 2008年11月6日(木)『米国社会 成熟 初の黒人大統領 移民急増が背景に』
*11 毎日新聞 2008年11月8日(土)『西川恵のGLOBALEYE オバマ氏と米社会の変容』
*12 毎日新聞 2008年11月6日(木)『オバマのアメリカ 変革への選択 草の根から頂点へ 白人票分け合う 人種問題 根は深く』
*13 毎日新聞 2008年11月7日(金)『記者の目 人種の壁に風穴あけたオバマ氏 「夢想家」ではなく「開拓者」 強固な精神で苦難克服』

<参考記事>

・「オバマ大統領のリーダーシップやいかに」/言語分析未来予測

・「勝手にアメリカ大統領候補者を分析」/アメリカ記者修業奮闘記

・「オバマ大統領でどうなるんだろう?」/ちょっと気になるキーワードとニュース

米オバマ大統領が誕生 「チェンジ」は達成されるか (2)

 アメリカの大統領選が盛り上がり、民主党のバラク・オバマ上院議員(47)が次期大統領に当選した。そして、09年1月20日にアメリカの第44代大統領に就任することが決まった。
 これを受けて、アメリカ国内の反応、そして、世界の反応はどうだろうか。

 ヨーロッパの反応はこうだ。
 欧州連合(EU)のバローゾ委員長は11月5日、「新しい世界には新しい政策が必要。オバマ氏が欧州とともに世界の利益のため協力することを望む」(*1)。
 イギリスのブラウン首相も同日、「世界経済の困難な時期を乗り越えるため、人々を助ける決意をオバマ氏と共有している」(*1)「多くの価値観を共有する真の友人」(*2)、フランスのサルコジ大統領は「フランスと欧州に膨大な希望を与えた」(*1)、ドイツのメルケル首相は「世界は大きな転換点を迎えている。欧米が信頼感を持って緊密に連携できると思っている」(*1)「米欧が緊密に協力し、相互信頼の精神で共に危機に立ち向かえると確信する」(*2)という反応だ。ちなみに、フランス大統領府はオバマ氏への祝意を示した上で「米国民は変革と楽観主義を選択した」「仏と欧州は、世界の繁栄と平和維持のための新たなエネルギーを米国から得られるだろう」(*1)などと反応。
 アジアの反応はどうだろうか。中国のコキントウ国家主席は「米中の建設的協力関係を新たなレベルに押し上げるため共に努力した」(*2)という反応。韓国の大統領官邸報道官は11月5日「韓米の未来志向的同盟関係が一層高い次元で発展することを確信する」(*3)とした。
 しかし、辛口な反応もある。
 ロシアのメドベージェフ大統領は米大統領選の結果判明直後の11月5日、年次教書演説で米国に対抗し新型ミサイルを配備する方針を明らかにするなど米国と真っ向から対立。「急速な関係改善は期待できない」(マルゲロフ露上院国際問題委員長)(*2)とし、「米新政権とは本格的につきあうことを期待している」「グルジア紛争は北大西洋条約機構(NATO)拡大の口実として利用された。米国のわがままな外交政策の結果だ」(*4)などメドベージェフ大統領は述べた。ただ、12月4日のプーチン首相が国民からの質問に答えるテレビ番組では「米国との関係改善を望んでおり、前向きなシグナルを受け取っている」と語った(*10)。
 キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長(82)は11月14日、論評を発表し、「世界が変わると信じるのはまったく無邪気なことだ」(*5)と、現時点では米国の政権交代に過大な期待を抱くべきではないと指摘。「(米国が)より寛容になり、より好戦的でなくなるだろうと多くの人が夢を抱いている」とし、「現在の指導者(ブッシュ大統領)に対する軽蔑が、幻想を抱かせている」と分析(*5)した。
 南米のベネズエラの反米左派のチャベス大統領はオバマ氏の勝利を祝福する声明を発表(*6)。

 一方のメディアの反応はどうだろうか。
 まずは米国メディアの反応をうかがう。
  ニューヨーク・タイムズ紙は11月5日付で「オバマ圧勝で人種の壁崩れる」(*6)、イラクから撤退しアフガニスタンのテロとの戦いに集中すべきだ。代替エネルギー開発を急ぐ必要がある。ちぐはぐな金融機関救済策の早期立て直しや移民政策も重要だ(電子版)(*7)。
  ウォールストリートジャーナル紙は社説で、「黒人と白人を両親に持つ」一人の男が(公共施設での黒人分離を認めた)ジム・クロウ法の終えん(64年)からわずか2世代で権力の頂点に立った」と歴史の重みを伝え、「米国を『人種差別主義』と呼ぶ西欧の民主主義国では起こりえなかったこと」を成し遂げたとつづった(*6)、民主党は議会選でも大勝した。オバマ氏が「労働者の95%」向けの減税を約束したことに注目する。(公約と対照的に)税金が増えると考える有権者は70%に上り、うち55%がマケイン候補に投票した。米国民は民主党が国を統治するすべを学んだかどうかを目にするだろう(電子版)(*7)。
  ワシントン・ポスト紙は「オバマ氏はブッシュ大統領の(負の)遺産を消し去ることはできないが、世界における米国の立場を好転させうる」とした。シカゴ・トリビューン紙は同氏の勝利が金融危機を追い風にしたもので、「新大統領は結果で判断される」との反応だった(*6)、有権者はオバマ氏に、ブッシュ政権やマケイン氏よりも優れた経済政策を期待している。地球温暖化など現政権が失敗した課題に対処できると考えている。ただ、米国で差別は残っており、黒人大統領が機能するかどうかは未知数といえる(電子版)(*7)。

 英国のメディアの反応は、タイムズ紙はオバマ氏の当選に関する「米国は言われるほど変化していない」(*6)、と同時に、米国民は再び独特の自己革新能力を発揮した。初の黒人大統領選出は歴史的だ。経済再建などオバマ氏の挑戦も歴史的になる(*7)。
  デイリーテレグラフはコラムで「いずれ新大統領は外交政策の危機に行き着く」。安全保障問題などで米国の国益と欧州の見解が衝突し、オバマ氏への「大いなる幻滅」が広がり、「6カ月もあれば反米主義が息を吹き返す」(*6)。

 仏のメディアの反応はというと、ルモンド紙は、米国民は二十一世紀の世界で米国が要する候補を選んだ。黒人は自分たちが米国民だとさらに強く考えるようになる。米新政権は同盟国との関係強化だけでなく、イランのような対立する国々との対話も進めるだろう。オバマ氏当選は世界にとってチャンスだ(*7)。

 ロシアのメディアの反応はというと、ブレーミャ・ノボスチェイ紙は「米国に変革が訪れた」。コムソモリスカヤ・プラウダ紙は「米国人はペレストロイカ(立て直し)を支持」、イズベスチヤ紙は「米大統領選でサーカシビリ(グルジア大統領)が敗北」との見出しで、マケイン氏を反露サーカシビリ政権に重ね合わせた(*6)。

 アジアでは、中国の中国共産党機関紙・人民日報が発行する11月6日付の時事情報紙が「環球時報」は中国人指揮者5人のインタビューを一挙掲載し、オバマ氏の対中政策について「楽観を許さない」。オバマ氏個人の評価については「理想主義者であると同時に現実主義者であり、中国の敵にはならないだろう」(*6)。
  新華社は、米議会は民主党が優勢になる。同一政党がホワイトハウスと議会で優勢になると、民衆の警戒心を引き起こすため、世論の抵抗などに直面するだろう。オバマ氏が大統領就任後に第一に着手するのは経済の立て直しだ。危機を克服できるかを世界が注目している(*7)。
 韓国の朝鮮日報は「上下両院を掌握する民主党も保護主義の意向が強く、アジア諸国がやり玉に挙げられる可能性が高い」(*6)。

 中東では、イスラエル最大紙イディオト・アハロノト(11月6日付)は、笑顔で娘を抱きかかえるオバマ氏の写真を1面にあしらい、「希望」の大見出しを掲げた。特にイランの各開発問題を巡る同氏の「対話路線」には、「オバマ氏は依然、謎だ」などと警戒感を隠さない(*6)。
 イランの保守有力紙レサラトは社説で、「イランに爆弾投下を」と叫んだマケイン氏に対し、対話重視のオバマ氏の対イランが意向に期待を表明。「現実のイラン」と向き合い、「イラン打倒」を目指しえ失敗した歴代大統領と同じ轍を踏まないよう求めた。オバマ外交は「私たちの対米戦略に左右される」とも指摘(*6)。

 南米ベネズエラでは、チャベス氏の声明について反チャベス派の有力紙ウニベルサルは11月6日、「声明には明らかに和解姿勢のトーンがあり、外交儀礼以上の意味がある。対話を開けるというサインをオバマ氏に送ったものだ」との識者の分析を掲載(*6)。

 アフリカのエジプトの政府系紙アルアハラムは11月6日付の社説で、オバマ氏の勝利によって「米国は変革する能力を証明した」と褒めたたえる一方、「(現)政権が作り上げたイスラム教への敵対停止」と「他国への内政干渉の終了」を図る機会だ、とも指摘(*6)。

 このような各国の反応、メディアの反応があり、オバマ次期米大統領への期待と警戒がうかがえるわけですが、現在、中東の問題となっている、イラク周辺の現地の反応はどうなっているだろう。
 イラク国民は、母国の荒廃を招いたブッシュ共和党政権に反発する人々は、オバマ氏が約束した駐留米軍の早期撤退を歓迎する一方、同氏が唱える「イランとの対話」によってイランの影響力が増すことなどを懸念(*8)しているという。
 一方のイランの反応は、当選当初の歓迎ムードが、やや現実的な見方に変化してきたそうだ。核問題などで対立するイランとの「直接対話」を表明していたオバマ氏が、その後、慎重な姿勢を見せ始めたことで、イランのモッタキ外相は11月19日、「米大統領の姿勢は、選挙期間中と就任後では変わるものだ」と指摘、「我々は米国人の(イランに対する)発言を精査しているが、オバマ氏が来年1月に大統領に就任し、対イラン政策が発表されるのを待っている」とも述べ、新政権の出方を慎重にうかがう姿勢(*9)。
 中東での歓迎ムードは「歓迎ムードはブッシュ政権の罪があまりに大きかった反動」(*2)との分析もある。

 このようなことから、次期大統領にオバマ氏が当選したことに対して、多くの反応と期待と警戒がうかがえた。このことは、毎回の米国の大統領選挙に対して、注目されることであるが、今回の注目度は眼の見張るものがある。
 その注目度に対して、オバマ氏はどう答えるのだろうか。「チェンジ」を掲げ、変えようとすることができるのだろうか。

つづく

<参考資料>
*1 日本経済新聞 2008年11月6日(木)『欧州、関係立て直し望む』
*2 毎日新聞 2008年11月6日(木)『各国首脳 期待の声 「ムード先行」慎重論も』
*3 日本経済新聞 2008年11月6日(木)『FTA批准や対北朝鮮で不安 韓国』
*4 日本経済新聞 2008年11月6日(木)『米新大統領に期待と警戒 ロシア、早くも揺さぶり ミサイル配備表明 対米批判明確に』
*5 毎日新聞 2008年11月16日(日)『オバマ氏への期待「無邪気なことだ」 カストロ前議長 指摘』
*6 毎日新聞 2008年11月8日(土)『オバマ大統領誕生へ―――世界のメディアは』
*8 毎日新聞 2008年11月7日(金)『イラク 米軍早期撤退に懸念 オバマ氏公約 治安に不安も』
*9 毎日新聞 2008年11月21日(金)『イラン 「オバマ熱」冷め慎重に 米との対話 就任後の姿勢注視』
*10 毎日新聞 2008年12月5日(金)『プーチン氏 米次期政権に期待感 「首相会見」 露大統領復帰の憶測』

<参考記事>

・「【米大統領選挙】祝バラク・オバマ」/gujin blog

・「オバマ大統領が開く世界を妄想する」/戦争に負けた国

・「んー、アメリカ大統領選の報道姿」/freedomの「ん( )」なブログ

・「Presidential Inauguration 2009」/写楽 in Yahoo

・「第286号 転換の時代」/日々通信 いまを生きる

米オバマ大統領が誕生 「チェンジ」は達成されるか (1)

 2008年11月4日、アメリカ大統領選挙が実施された。
 9・11テロ後、アメリカはアフガニスタンとイラク戦争で泥沼化し、いまだにその泥沼から這い出せないでいる。そんな中、さらにアメリカに追い討ちをかけたのが、リーマン・ブラザーズの破綻。この破綻がきっかけで、金融業会も大混乱に陥ってしまった。
 戦争に、金融危機に、アメリカの地位・信頼は失墜しており、ブッシュ政権の支持率はどん底の結果に陥っている。そんなブッシュ政権の共和党の不利の中、ジョン・マケイン上院議員は大統領選挙で、共和党候補となり、バラク・オバマ上院議員と大統領選を迎える結果になった。
 民主党の変革の勢いはすさまじいものがあったが、予想に反して、共和党のマケイン氏の勢いもあなどれなかった。というのも、戦争や金融危機といったことで、共和党が不利な背景の中、マケイン氏は健闘した。民主党の予備選挙で、オバマ氏とヒラリー・クリントン上院議員との戦いは史上最長のもつれになり、一方、マケイン氏は先に予備選挙に勝利し、一足先に大統領本線へとこまを進めた。

 さて、4日、アメリカで大統領選の投票が開始され、この結果、当選したのは、民主党のオバマ氏(47)。オバマ氏は4日深夜、地元イリノイ州シカゴで「変革が訪れた」と勝利演説を行い(*1)、となり、来年の2009年1月20日に第44代大統領に正式に就任(*2)することになった。任期は2013年1月までの4年間(*2)。
 結果内容は、オバマ氏の獲得選挙人数は「365」、マケイン氏は「173」。オバマ氏は「28州と首都」、マケイン氏は「22州」をそれぞれ制した(*3)。
 全米約1万8千人から回答を得た米メディアの出口調査によると、オバマ氏の男性からの支持率は49%で、マケイン氏の48%とほぼ並んだ。女性はオバマ氏56%、マケイン氏43%。オバマ氏の黒人の支持率は95%、ヒスパニックは66%に達する(*4)。
 年代別にみると、オバマ氏がマケイン氏にリードを許したのは65歳以上の高齢者のみ。30歳から60歳代前半までは小差でマケイン氏をかわしたほか、18歳から29歳の若者は66%がオバマ氏を支持し、32%のマケイン氏とは倍以上の大差がついた(*4)。
 白人全体のオバマ氏の支持率は43%。マケイン氏は55%。18―29歳の白人に限ると、オバマ氏の支持率(54%)はマケイン氏(44%)を10ポイント上回った(*4)。
 所得階層別では、年収1万5千ドル(約150万円)未満のオバマ氏の得票率は73%で、マケイン氏の25%を圧倒。1万5千ドル以上3万ドル未満の層でも60%の支持。20万ドル以上の富裕層もオバマ氏への支持は52%に上り、マケイン氏の優位は10万ドル以上20万ドル未満の層など一部に限られた(*4)。

 今回の大統領選挙には様々ね記録が破られた。
 まずは、オバマ氏が当選したことによって、米国建国の1776年以来、初めての黒人大統領(*2)が誕生することになった。これに関しては、アメリカ史上最も大きな衝撃となるニュースだといえる。そして、投票率であるが、64.1%(米ジョージ・メイソン大がまとめた推計値)と、過去最高水準を記録した模様。これまでの最高は、(記録が残っている)1960年以降で、ケネディ大統領が当選した60年の大統領選の63.8%(*5)、推定投票者数は1億3660万人で、過去最高だった04年の1億2230万人を大きく上回る見通し(6日付け)(*1)。48年間の破られていなかった記録が破られた形となった。なお、AP通信は、1908年の65.7%が過去最高だったと報じている(*5)。
 さらに、期日前投票に関しては、AP通信が3日、期日前投票状況を26州を対象に集計した結果、2440万人を超えた。全米の期日前投票者数は当日投票を含めた投票総数の30%強を占めると予測され、前回04年の22%から大幅に増える見込み(*6)という結果を、選挙序盤に見られた形。
 今回の選挙の特徴として、オバマ氏が共和党の牙城とされた南部に食い込んだこと(*3)があげられる。ブッシュ大統領は00年と04年に南部14州を総なめにしたが、オバマ氏はこのうちバージニア、ノースカロライナ、フロリダの3州を奪取、バージニア州で民主党が勝利したのはジョンソン大統領以来44年ぶり、ノースカロライナ州ではカーター大統領以来32年ぶり(*3)。さらに、オバマ氏は、前回04年に民主党候補ジョン・ケリー上院議員が勝利した19州と首都を守った上で、共和党のブッシュ大統領が勝利した31州のうち9州を奪取、民主党は「指定席」とされるカリフォルニア、オレゴン、ワシントンの西海岸3州に加え、西部のコロラド、ネバダの3州を共和党から奪取(*3)した。

 今回の大統領選は多くの人々に影響を与え、期待度が高いことをうかがわせた。オバマ氏の地元イリノイ州などで投票待ちの長い列ができ、ニューヨーク州ディクスビル・ノッチ村では、投票総数21のうちオバマ氏が15標を獲得し、マケイン氏の6票を上回った。この村での結果は全米の動向に影響はしないが、これまで共和党が圧倒的に強く、民主党候補が最後に勝利したのは1968年(*6)ということからも、オバマ氏の勢いがうかがえ、国民の期待が高いことがわかる。ちなみに、ブッシュ大統領は過去2回とも大差で勝利(*6)している。
 そして、勢いは続く。オバマ氏は04年にブッシュ大統領が勝利したオハイオ、バージニア両州などを奪還。得票率は52%で、民主党候補が5割を超えた(5日午前までの米メディア集計によると)のは76年のカーター氏以来(*1)。7日には、米大統領選で勝敗が決まっていなかった二つの州のうち、南部ノースカロライナ州で民主党のオバマ上院議員が勝利。同州で民主党が勝利するのは1976年ぶり(*7)。14日のAP通信の報道で、米中西部ネブラスカ州で大統領選の開票作業が終わり、民主党のオバマ次期大統領が選挙人5人のうち1人を獲得した。同州での民主党の選挙人獲得は1964年以来となる。残る4人は共和党のマケイン上院議員が獲得。14日現在の獲得選挙人数は、オバマ氏365人、マケイン氏162人(*8)となった。 そして、19日、中西部ミズーリ州でマケイン氏が勝利し、全米50州と特別区の首都ワシントンの集計がすべて終了した(*3)。
 こうした結果、民主党はクリントン前大統領以来、8年ぶりに政権を奪還(*2)した。

 今回の大統領選には、オバマ氏、マケイン氏の他にも消費者運動家のラルフ・ネーダー氏やリバタリアンのボブ・バー元共和党下院議員ら10人以上が第3党から出馬したが、第3候補の支持率は今回、1%以下で大勢に影響しなかった模様(*6)

 大統領選に伴い、米連邦議会選も行なわれているが、こちらはまだ最終決着がついていない。
 20日現在、上院(定数100で任期6年。2補選を含む35議席改選)は非改選分も含め、民主党58、共和党40、未決着2。下院(定数435で任期2年。全議席改選)は、民主党255、共和党175、未決着5となっている。民主党は76年の選挙を最後に、60議席以上を獲得していない(*9)。

 今回の米大統領選は多くの期待と影響を与えた。アメリカ国民の選挙に対する思いは、オバマ氏の「チェンジ」に大きく影響され、改革しようとする力が大きくなっている。同時に、大統領選は、アメリカ以外にも大きな影響を与えている。日本はもちろん、ヨーロッパからロシアから、中東、アフリカ、アジア、そして、アメリカに近いキューバにも。
 その各国の反応は、アメリカの大統領選挙ではなく、世界の選挙のような雰囲気にもなっているから驚きである。アメリカから世界に影響を与え、世界からアメリカにも影響を与えている。選挙の流れを見ても、波乱万丈な展開、そして、その結果、多くの歴史的な衝撃の記録がうかがえた。

 果たして、この選挙が転機になり、オバマ氏の「チェンジ」が改革へと導くことができるだろうか。

つづく

<参考資料>
*1 毎日新聞 2008年11月6日(木)『内政・外交を大転換 米大統領選 オバマ氏勝利宣言 「この国の真の力は武力ではなく、民主主義に由来する」』
*2 日本経済新聞 2008年11月6日(木)『オバマ氏、大統領選勝利宣言 米経済再生に余力 「変革の時、到来」 政権移行へ準備加速』
*3 毎日新聞 2008年11月22日(水)『民主、9州奪取 オバマ氏365人 地滑り的大勝 米大統領選 集計終了』
*4 日本経済新聞 2008年11月6日(木)『2008年米大統領選 オバマ氏 幅広い層が支持 女性56%、ヒスパニック66% 白人の若者も過半 出口調査』
*5 日本経済新聞 2008年11月6日(木)『投票率最高に 64%、米大推計』
*6 毎日新聞 2008年11月5日(水)『08年大統領選 アメリカの選択 「期日前」空前の3割 「民主支持」優勢に 最終投票率60%超えか』
*7 毎日新聞 2008年11月9日(日)『ノースカロライナ オバマ氏接戦制す』
*8 毎日新聞 2008年11月16日(日)『ネブラスカ州で選挙人1人獲得 民主、64年以来』
*9 毎日新聞 2008年11月22日(土)『議会選は未決着 民主の「上院安定多数」焦点』

<参考記事>

・「オバマ氏の勝利」/ハゲのブログ

・「勝利の後、次期大統領バラク・オバマは、シカゴのグラント公園で、大勢のサポーターと話します。 」/英語仏独伊・葡・西音読器 ReadPlease &『戯曲』

・「1438 オバマ氏、勝利の演説/日本はどうする/保健分野もよろしく」/ビギナーズ鎌倉

・「election」/スピーチカフェonsite

北朝鮮はどう向かう?

 北朝鮮問題の6カ国協議が5月末に開かれようとしています。停滞していた協議がようやく動き出そうとしています。

 しかし、北朝鮮問題はまだどうなるかわからない状況です。

 6カ国協議がうまくいかず、不調になり、そして、米朝2国間協議へと米国が応じました。しかし、その米朝2国間協議も順調ではないまま、米国の譲歩で持ちこたえている模様です。その間に、韓国には選挙が行われ、親北政策を行ってきたノ・ムヒョン大統領から反北とはいかないものの、厳しい対応をとるイ・ミョンハク大統領へとうつったのです。

 この出来事は、北朝鮮にどう影響を与えたのでしょうか。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は14日、韓国の李明博政権の北朝鮮政策が「反民族的で反動的だ」と非難、この政策を変えない限り南北関係は「破たんする」と警告する論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。

(産経新聞より抜粋 http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080415/kor0804150103001-n1.htm)

と、北朝鮮からの韓国のイ・ミョンバク政権に対して、厳しい非難が出ました。

 この北朝鮮の対応は何をあらわしているのでしょう。

 少し前に、北朝鮮は、厳しい反応をしていた米朝2国間協議から、良い協議だったとする協議姿勢になったのが気にかかる。このことは、北朝鮮が焦っているのでしょうか。米と本格交渉になるのでしょうか。ようやく、北朝鮮との協議が進みそうな雰囲気だが。

 しかし、ここにきて、またも暗雲が出てきました。

 19日に米国と韓国と首脳会談が行われ、その会談で、米韓同盟の再定義を協議する模様だと言うのです。

 その内容は、

・韓国が在韓米軍の世界的な展開を容認する代わりに、米国は南北朝鮮の統一後も、「核の傘」を含めて軍事的な関与を続けることをうたう。今夏にもこうした考えを盛り込んだ共同宣言「米韓未来同盟ビジョン」(仮称)を発表する
・韓国側は米韓同盟を最重視するとの意思を明示し、テロなど新たな脅威に対応するため、本来、朝鮮半島に限ってきた同盟の協力範囲を世界的規模に拡 大。朝鮮半島外に在韓米軍を円滑に派遣する「戦略的柔軟性」を認めた06年1月の米韓外相合意を確認、発展させる。韓国軍も国連平和維持活動(PKO)や 国連安保理決議のない米国主導の有志連合に積極参加する
・米軍は南北朝鮮の統一後も朝鮮半島にとどまり、在韓米軍の海外展開で韓国の防衛力が低下しないよう、偵察能力や精密打撃能力などで韓国軍を支援する

(朝日新聞より抜粋 http://www.asahi.com/international/update/0414/TKY200804140240.html)

といった具合で、米国と韓国の関係が良くなる可能性が出てきたのです。

 このことに関して、北朝鮮からの反発も出てくると思いますが、これは、米朝交渉でのバランスが北朝鮮に傾いていたための、戦略なのでしょうか。

 果たして、この背景にはどういったことがあるのでしょうか。そして、この先の展開はどうなっていくのでしょう。

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