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北米(経済) Archive

環境問題はたえず進んでいる(1)

 環境問題は日々、話題の上がる一方だ。
 これまで私たちは、地球という土台を引っ掻き回してきた。資源を使い、科学技術を発達させ、多くの恩恵を受けてきたわけだ。
 しかし、資源が変化をすれば、自然も大きく影響され、環境は変化する。
 その変化の影響のせいか、地球温暖化が叫ばれるようになった。

 地球温暖化を食い止めるために、二酸化炭素(CO2)の削減を掲げる国々が増えている。
 果たして、地球温暖化は食い止められるのか。

「CO2排出戦争が始まった」
シュテファン・タイル(ベルリン支局/Newsweek 2009.7.15)

 アメリカが環境問題に本格的に動き出したか。
 「バラク・オバマ米大統領は温室効果ガスの排出削減に関してリーダーシップを取ると宣言」した。「6月26日には、包括的な地球温暖化対策をうたった『米クリーンエネルギー・安全保障案』が米議会下院で可決」した。

 「6月にドイツのボンで開かれた温暖化対策の枠組みに関する国連作業部会」では、「20年までに温室効果ガスを90年のレベルから25~40%削減するという目標に関して意見がまとまらないまま、閉幕」。
 「この数値目標は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の科学者が地球の平均気温の上昇を2度までに抑えるために必要な数値として算出したもの」だという。
 しかし、「全ての問題について意見がばらばらだという」。
 「交渉のテーブルに載せられた各国の提案は、どれもこの数値から程遠い」。「京都議定書から離脱したアメリカは、20年までに05年比で14%削減という目標を打ち出している」。「だがそれは、排出削減量の基準に用いられることが多い90年レベルに戻すだけのこと」だ。
 「麻生太郎首相は6月10日、日本の温室効果ガス削減の中期目標として20年までに90年比で8%の削減を目指すと発表した」。「だがこの数字は、京都議定書での削減義務に比べて2ポイントしか増えていない」という。
 つまり、各国の提案は、基準にマッチしていないということだ。
 「EU(欧州連合)が提案する90年比20%削減さえ、国連が掲げる目標には届かない」という。「最もEUは他の国が相応の削減に同意すれば30%削減に変更する構え」だ。
 「中国は07年にアメリカを抜いて世界最大の排出国になったが、削減を完全に拒否し、先進国に排出量40%の削減を求めている」。さらに、「先進国が途上国の排出量削減のためにGDP(国内総生産)の1%を拠出することも要求」。
 「先進国の政府は、自国の企業が厳しい排出規制に従うことで製造コストの上昇に直面する一方、排出削減義務のない中国のライバル企業が勢いづくことを懸念している」。
 これは、途上国が消極的な態度のもう一つのデメリットだ。

 「アメリカでは、エネルギー集約型産業や労働組合、斜陽の鉄鋼業地帯の利益を代表する議員が特別な保護を要求」。「オバマと米議会が構想している排出権取引制度が導入されれば、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い企業は排出権の購入が義務付けられる」。
 「アメリカが考えている温暖化防止の枠組み」は、「鉄鋼、アルミニウム、セメントのような国内のエネルギー集約型産業には大きな排出枠を与え、事実上、適用除外という格好になるだろう」。
 「アメリカでの温暖化問題の議論では、雇用と競争力に関する不安の比重が高まっており、今後も産業保護を求める声は減らない」。「ヨーロッパの政治家は、中国とアメリカが温暖化ガスの排出削減に同意しなければ、貿易制裁を科すべきだと考えている」という。

 「先進国が今まで温室効果ガスを排出し続けてきたのは確かだ」。「しかし途上国の産業化が急速に進んだ今、途上国が温暖化防止に消極的なままでは世界全体での排出量は減らせない」。
 「最も埋め難い溝は先進国と途上国の間」は、「97年に採択された京都議定書では、貧しい国は規制から除外されていた」。「だがその後10年の急速な工業化によって、中国や他の新興国の排出量増加を大幅に抑制しない限り、地球規模の排出削減はおぼつかないことが明らかになった」。
 「途上国にすれば、先進国に追い付き、貧困から抜け出すには経済を成長させ続けるしかない」。
 要するに環境対策に途上国をうまく取り組む案が必要である。

 しかし、「中国の交渉担当者は、中国の国民1人当たりの排出量は先進国に比べてごく僅かだと主張」。
 さらに「新興国の大半は削減目標の設定を拒否」し、「排出量の増加ペースを落とすことにも消極的だ」。

 「中国は表向きは排出削減を突っぱねているが、最近は環境問題を真剣に考えるようになっている」。
 「06年に新築建造物に対するエネルギー効率規制を導入」し、「省エネ効果の高い断熱資材、冷暖房や照明設備の使用などを義務付けている」。「07年には遼寧省や吉林省など大気汚染が深刻な都市での火力発電所の新設を禁止した」。「財政省は現在、環境税の導入を検討している」という。
 「中国はG20(金融危機を機に集まった20ヵ国・地域の首脳会議)のメンバーとして、ようやく国際舞台で建設的かつ責任ある役割を果たす第1歩を踏み出したところだ」。「4月にはIMF(国際通貨基金)の融資機能を強化するため400億ドルの拠出を約束」。「ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国にも成長維持のための融資を申し出た」。
 中国が環境問題に取り組み始めたわけで、良い兆候だろう。

 「欧米の専門家らは、中国で最悪の汚染源は国内向け製品の工場であることが多く、輸出品はむしろ近代的で効率化された工場で製造されているケースが多いと指摘する」。
 「自動車と家電のエネルギー効率では、中国は既にアメリカを追い抜いている」。「中国の車の燃費基準は1リットル当たり15キロだが、アメリカでは12キロだ」。
 問題は中国国内ということだ。

 「アメリカが輸入する『炭素集約型』製品で最大の割合を占めるのは中国製ではなくヨーロッパ製だ」。「環境規制が競争力に与える影響がそれほど大きくないことも、多くの研究で明らかにされている」。
 「EUは05年に、政府がCO2などの排出枠を企業に設定する『キャップ・アンド・トレード方式』による排出権取引システムを導入した」。「だが国際エネルギー機関(IEA)によれば、域内の重工業の競争力に影響は出ていない」。
 「09年5月のピュー気候変動センター(ワシントン)の試算によれば、12年までに1トンのCO2ごとに15ドルの負担を強いられることになっても、脅威にさらされる製造業の雇用は最大0.2%だ」。「企業が進出先を決定する際、環境規制はほとんど、あるいはまったく考慮されないとの調査結果もある」。「最も重視されるのは市場へのアクセスで、その次は人件費だ」。
 「ドイツの化学産業のように、環境規制をクリアするための効率化が、競争力の強化につながったケースもある」。

 「温暖化防止をめぐる対立を解消する方法」として、「富裕国が途上国の排出削減を支援すること」があげられる。「中国は先進国がGDPの1%を貧困国に提供することや、環境関連の技術移転を求めている」。
 「だがGDPの1%というのは、OECD(経済協力開発機構)加盟国で考えると約4000億ドルに上る」。
 「より実現性が高いのは、国際的な排出権取引システムを通じてコストを民間に移転する方法」。「例えば先進国の企業が排出枠を守れなかった場合、排出枠を下回った中国などから超過分を購入しなければならない」。
 「既にEUは域外との排出権取引を認めている」。「年間の市場規模が約1億トンとされる世界のCO2排出権取引市場で、約3分の2の排出権は中国企業から供給されている」という。

 「EUは90年に比べてCO2の排出量が9%減ったことが自慢だが、欧州環境庁が5月に発表した報告書によると、削減分の半分は汚染物質をまき散らしていた旧共産圏の工場が89年以降、相次いで閉鎖されたことが直接の原因だ」。
 「ヨーロッパが05年に導入したCO2排出権取引システムが、排出削減にどれほど貢献したかも不透明だ」。
 「例えば排出量を22%削減したドイツ」。「大きく貢献したのは建設業界だが、これは厳しい規制やエネルギー価格の高騰などのせいで老朽化した建物の省エネ化を図る改築ブームが起きたためだ」。
 ヨーロッパの削減対策の実績はこれからが見極めどころか。

 今「欠けているのはリーダーシップだ」。「重要なカギの1つは、排出削減を途上国にとって魅力的なものにするために、先進国がどの程度コストを負担する気があるのかをはっきり示すこと」だろう。
 「12月には、12年に失効する京都議定書に代わる温室効果ガス排出削減枠組みの合意を目指し、約200ヵ国の代表がデンマークのコペンハーゲンで気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)を行」われたが、結果はご存じだろう。
 しかし、まだ間に合うかもしれない。すぐに行動を起こせば。

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アメリカはどうなってしまうのか(下)

 超大国アメリカ。これからの時代はアメリカの時代だとはいえなくなってくるだろう。
 新興国の台頭が目立つアメリカ、これからの課題はどういったものがあるのだろうか。

アメリカよ、どこに行く 32
「バーナンキの未完の使命」
ポール・クルーグマン(COURRiER Japon 2010.2)

 世界的な金融危機に陥った現在、その解決の出口を模索中である。
 アメリカの「昨年11月の非農業部門の雇用者数が前月比でわずか1万1000人減にとどまったとする、12月発表の雇用統計の見かたを改めるべきだ」という。

 「景気後退が始まって以来、米国が失った800万人分の雇用を計算に入れるだけでは充分ではない」。「米国の人口が増えている以上、月10万人を上回るペースで、さらなる雇用を創出しなくてはならない」。
 「これは米国が毎月大量の雇用を創出しない限り、完全雇用に近い状態に戻ることはないという事実を示している」。
 「米国は今後5年間で約1800万人分、つまり月30万人分の雇用を創出する必要がある」というのだ。

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アメリカはどうなってしまうのか(中)

 超大国アメリカ。世界でも一番の大きな影響力を持つアメリカが、今、大きく揺らいでいる。
 しかし、揺らいでいても、今も大きな影響力を持つアメリカですが、そのアメリカの抱える問題と現状はどうだろうか。

「オバマびいき報道の危うさ」
ロバート・サミュエルソン(本誌コラムニスト/Newsweek 2009.6.17)

 「大統領の権力がきちんと監視されてこそ政治は正しく機能する」。「だがオバマに対するチェックは緩い」かもしれない。
 「ワシントン・ポスト紙、ニューヨーク・タイムズ紙、テレビの3大ネットワーク、公共テレビ局(PBS)、および本誌の1261本の報道を検証」したところ、「オバマに好意的なものが42%だったのに対し、批判的なものの割合は20%だった」という。「ブッシュ(好意的は22%)やクリントン(同27%)とは対照的」な結果になった。
 さらに、「報道の内容にも違いがある」。「オバマの場合は人柄や指導力を扱うものが44%を占め、ブッシュ(22%)やクリントン(26%)のほぼ2倍で、政策に関するものはそれより少なかった」。
 「インターネットのニュースサイトなどに調査値省を広げても、結果に大差はなかった」という。さらに、「ジョージ・メイスン大学が行った別の調査でも同様の結果が出た」という。
 「ピュー・リサーチセンターが行った研究によれば、メディアのオバマびいきの傾向は大統領選挙中に始まった」という。

 「オバマに『批判的な』報道といえば民主党議員との戦術的な対立や一部の支持基盤からの批判止まり」で、「重要課題の検証は軽視されている」。
 「オバマの主張には矛盾が多い」という」。「財政支出の拡大を要求する一方で医療費抑制を唱え、財政赤字が拡大基調にある中で財政規律を回復するという」。「そんな矛盾だらけの主張を、メディアは額面どおりに受け取っているように見える」。
 「メディアは世論に弱いから、支持率の高い大統領は好意的に扱われる」。「ピュー・リサーチセンターによればオバマの支持率は63%」。

 「ジョンソンがケネディから引き継いだ経済政策は70年代にスタグフレーション(不況下のインフレ)を招いた」。「メディアは政権に対し敵対的になるべきではないが、懐疑的な姿勢は保つべきだ」。
 しかし、このバランスが難しい。

 ちなみに、「議会予算局の試算では、連邦予算のGDP(国内総生産)比は08年の21%から19年には25%近くに上昇する見込み」で、「これは第二次大戦後の平均を大きく上回る」。

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アメリカはどうなってしまうのか(上)

 超大国アメリカ。アメリカの時代が過ぎようとしているのか。
 アメリカが揺らいでいる。

 金融危機の大きな被害は全世界を苦しめたが、アメリカ自身、大きな打撃を受けた。
 アメリカがこれまで果たしてきた役割は、この先、同じようにはいかないであろう。

 そんなアメリカを追う。

「草食化するアメリカ人」
ラーナ・フォルーハー(ビジネス担当/Newsweek 2010.1.20)

 金融危機により世界中は混乱に陥っている。各国はそれぞれ対策を講じた。
 震源国アメリカでは「自動車販売や鉱工業生産が増加し株価も堅調に推移するなど、最近の経済統計には明るい兆しが多い」という。

 しかし、アメリカの未来は明るいとは言えないかもしれない。「金融危機という大きな衝撃があったせいばりではなく、世界経済の勢力図が塗り替えられてしまったために、アメリカ経済が回復を続けたとしても、アメリカの消費者はもはや世界の支配的勢力ではなくなってしまったからだ」。
 「今後勢力を伸ばして強くなるのはむしろ、中国やインド、ブラジルといった主要新興市場」だろう。「ドルは引き続き弱くなり、アメリカの労働者は国外の低賃金労働者とますます激しい競争にさらされる」。
 「『大きな政府』や規制強化がトレンドで、ひょっとすると保護主義の再来も懸念される中、投資マネーは引っ込んだまま」である。
 それに「大企業と平均的な労働者の経済格差が拡大している」という。「株価が上がる一方で、失業率は数十年ぶりの高水準のまま」である。「最も強気の経済学者たちでさえ、今後何年も高止まりすると考えている」。
 「そもそも、大企業の利益の源泉の1つは国内での人員削減や雇用の国外移転だ」。「一方、アメリカの新規雇用の最大の創出源である中小企業は、金融危機で真っ先にお金が借りられなくなり最も大きな打撃を受けた」。
 「現在は非常に珍しい時代だ」。「19世紀に近代経済が誕生して以来、金融資本主義と実体経済がこれほど断絶したことはない」という。

 ただし、「風力発電などいくつかの有意義なプロジェクトに、銀行がまったく投資しないわけではない」。「だが銀行は実業に投資するよりも、複雑な金融商品を開発して金融機関同士で投資し合うバーチャルな世界にのめり込んでいる」。
 「こうして資本活動と労働が切り離され、失業率が高止まりした結果、賃金だけでなく人間までが萎縮してしまっている」。「多くの調査によれば、失業者は地域や社会から引き籠もりがちだ」。「そしてその隣人は失業を恐れて働きまくり、やはり地域社会から引き籠もる」。
 「親の失業は、子供にも大きなダメージを与える」。「学校の勉強で後れを取るようになり、留年し、不安生涯を患う子供もいる」。「大恐慌のときは、教会や地域センターなど市民団体が今より活発だったから、不況が社会に与える打撃はある程度緩和されたのだが」。

 「多くの専門家が懸念するのは、アメリカと中国の貿易摩擦や通貨摩擦だ」。「保護主義的な政策を取れば、大恐慌のときのように不況を悪化させかねない」。

 「国際的な基準でみると、アメリカの階層間流動性は70年代以降低下しており、現在ではイギリスやスウェーデン、デンマークよりも低い」。「つまり金持ちの家に生まれた子供は金持ちに、貧しい家に生まれた子供は貧しい一生を送る可能性が高まっている」という。
 「アメリカ人は一般に格差に対する許容度が高い」。「だが大不況後の時代には、それも変わるかもしれない」。「もはや新卒の若者が親よりいい生活をすることは期待できず、中小企業も苦しんでいる」。

 そうした中、「明るい希望」がみられる。「アメリカの製造業は、昨年来のドル安と生産性の大幅な改善に救われるかもしれない」。「経営コンサルタント会社マッキンゼーの推計によれば、ドル安が10%進んだだけで、100万人の雇用創出につながる」という。
 「昨年来のドル安のおかげでアメリカの輸出は10~13年に年11%のペースで増える見込みだ」という。

 「アメリカは、過去70年間で最悪の景気後退を経験したばかり」。
 「50年代に育ったアメリカ人にも、はっきりした特徴がある」。「ベビーブーム世代の彼らは楽観的」で、「常に上昇志向で、限りない成功の可能性を体現してきた」。「収入を上回る消費をすることもしばしばだが、それは将来はもっと収入が増えると信じられたからこそだ」。
 「全米の平均失業率10%に対し、20~24歳の若者の失業率は15%を超える」。「統計によれば、失業率が1ポイント上がるごとに、大学新卒の初任給は6%下がる」。「給与のスタート台が低くなるので、その影響は今後数十年にわたって続く」だろう。

 さらに、「平均失業期間が長期化することで未熟練労働者が増えるのも極めて大きな問題だ」。「70年代以降のアメリカ人の賃金水準は比較的安定してきたが、大不況世代はこの30年間で初めて賃金が減る世代になるかもしれない」。
 このようなことから、「私たちの生き方は、若いときの衝撃的な体験(素晴らしい体験でもいい)に大きく左右され、生涯影響を受け続けるという」のだ。
 「全米経済研究所が1972年から2006年のデータを検証した昨年9月の報告書によれば、たとえそれがたった1年間でも若い時期に厳しい経験をすると、中核の価値観や態度が根本から変わってしまうことがあるという」。

 「他の多くの研究でも、景気後退期に育った人はリスクの少ない保守的な資産運用を好むだけでなく、実際に儲ける額も少ないことが分かっている」。「仕事も安定志向で、所得再配分と市場に対する政府の介入を支持する傾向がある」。
 「逆説的だが、それでいて彼らは公的機関に不信感を持ち、ひょっとすると人生そのものにも懐疑的で、成功は努力より運のたまものだというヨーロッパ的な信念を持つ傾向がある」。「失業経験が悲惨であればあるほど、彼らはより悲観的になり社会とも疎遠になる」。
 「政治的には、時代の雰囲気や時の指導者によって右か左化の一方に走りやすい」。「大恐慌はアメリカのニューディール政策も生んだが、ナチスの第三帝国も生み出した」。
 「統計的には、アメリカは09年夏に景気後退期を脱却している」。「だが多くの人々は、07年12月に始まった戦後最長の景気後退と08年9月以降の金融危機で、アメリカ人の心理と行動が永遠に変わってしまったようだと考えている」。

 「個人の貯蓄率は最低だった08年と比べて4倍の4.5%に上昇した」。「経営コンサルティング会社アリックスパートナーズの調査によると、アメリカ人は今やそれでも安心できず今後は収入の15%を貯蓄したいと考えているという」。
 「アリックスパートナーズの調査の回答者の半分は、株式投資を一切やめてしまった」。「あと3年は株を買わないと答えた人も過半数に達した」。「経済は金融危機前の水準を回復できないと思う人の比率は43%だった」。
 「全米経済研究所が72年以降の不況時に成人を迎えた18~25歳を調査したところ、多くが『人生の成功は努力よりも運で決まる』と考える傾向があり、政府への信頼も乏しいことが分かった」。
 「努力よりも運だという若者の考え方は、実体経済にも悪影響を与える」という。
 「努力よりも運だと考える人は仕事に精を出さない傾向がある」。「それは生産性を下げ、経済成長の足を引っ張る」からだ。
 「裏を返せばそれは、『なせば成る』と信じて全力疾走してきたアメリカ人が、1歩引いたところのあるヨーロッパ人よりも長い間高い成長を実現してきた理由なのかもしれない」。

 「全米産業審議会は最近、アメリカの雇用満足度が過去20年間で最低であることを示す統計を発表した」。
 「現在のトレンドが続けば、大不況世代はますます大恐慌世代に似てくるだろう」。「例えば才能ある大卒の若者は、民間企業の就職するより公務員になることを選ぶだろう」。「理由は昔も今もこれからも、そこには雇用があるからだ」。
 「多くのコンサルティング会社は、消費者は家族や友達と費やす時間にもっと価値を見いだすようになるとの調査結果を示している」。「厳しい時代を経験すると、人間は互いに優しくなるという指摘もある」。

 「カネのことを考えるだけで、人間は痛みに鈍感になり、助け合ったり見知らぬ人と結び付きを持とうと思わなくなる」。
 「80年代の世代がお互いを踏み台にして出世しようとしたのと違って、今の世代は立ち止まって他人に手を伸ばすようになるかもしれない」。

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オバマ大統領への評価は(From Newsweek 2009.4.15)

◎「大虐殺の後 骨の山から説く ルワンダの希望」
エリス・コース(本誌コラムニスト)

 「15年前の4月6日、ルワンダのジュベナル・ハビャリマナ大統領を乗せた飛行機が撃墜された。これを機に狂気じみた虐殺と残虐行為が始」まった。

 しかし、「最近のルワンダには楽観的な空気が溢れている」という。それには「国の再建に熱意を燃やす人も多いが、彼らには皆、ある種の焦りが感じられる」という。

 だが、ルワンダの状況はまだまだ困難な状況には変わりない。
 「ルワンダの状況は安全な復興とは程遠い。和解というより、怒りをどこかに押し込めている印象も受ける」というのだ。

 そんな中、ある人物Aの活動に注目したい。
 Aは「身寄りを亡くした子供のために全寮制の学校を開くこと」に取り組んだ。「01年に開校し、今やルワンダでトップクラスの学校となっている」という。
 「ジェノサイド(集団虐殺)の加担者には、責任を求めて悔い改めることを促す」という活動を行っている。さらに、「『和解村』をいくつもつくり、被害者と加害者の共存も目指している」という。

 「かつて敵同士だった住民の間に信頼関係を築くためのカギは何か」。その答えの一つは「何があろうとも人生は続いていくと人々が悟ること」だろう。それは、「過去ではなく、未来に生きるのだと。さらに強い信仰があれば、わが子を殺した相手さえも受け入れられる」というのだ。
 しかし、そうはいっても困難なことには変わりはない。

 ただし、一つ明るいニュースは、「憎悪と復讐の連鎖は、少なくとも一時的にでも断ち切れること」である。「憎しみの暴走を止める強い意志は、同じように『壊れた』状況にある国に希望を与えるはず」であるからだ。

「米世論調査 オバマ人気はチェンジなしだが」

 今後の経済に希望の光が出てきたのかもしれない。
 「Newsweek誌が行った世論調査によると、経済は今後1年間で良くなると答えた人は47%に上り、3月の37%から上昇」したという。一方の「悪化すると答えた人は同29%から22%に低下」したという。

 この結果の背景には、オバマ人気もあるのかもしれない。

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アメリカ経済の行方(From SAPIO 2009.4.8)

世界を読むための情報羅針盤 第94回
「米露外相会談の「あり得ないロシア語ミス」が示す”冷えた両国関係”」
佐藤優

 「ロシアは大変なタフネゴシエーターだ」という。「約束をしても『約束を守るとは約束しなかった』と言って凄んだり」して、「無理難題を吹っかけてくることがある」という。
 「天然ガス・石油開発利権のシェアをロシアがより多く得ることが本音でも、それを直接口に出さないのがロシア式交渉術で、事態を変えるために環境という変化球を投げて」くる。
 ロシア人は自分が味方と思う国にはこういうネチネチした交渉はしない」という。「『オレたちの分け前をもっと寄こせ』と端的に交渉する」というのだ。
 このことは、ロシア(人)の性格が出ているのだろう。これを理解することはロシアを理解することの土台となる。

 米露関係はなかなかよくならない。冷戦時代から米露の競争が続いている。そんな米露関係であるが、ロシアではこういった内情があるようだ。
 「ロシアでは米国共和党に対する信頼感が強い」という。「民主党と比較して共和党が『力の外交』の信奉者で、ソ連時代を含め対露強硬論をとっている」という。

 その理由に、「ロシアが南オセチアとアブハジアの『独立』を一方的に承認し、グルジアの領土保全を破壊したことに対し、米国は口先では避難したが、現状を容認した」。これは、つまり「『力の論理』の信奉者であるが故に共和党は『棲み分け』を重視する」という。「『力の論理』の信奉者であるロシアも、このような共和党の現実主義外交を好む」のだ。
 一方の「米国民主党は、自国と見解が異なる国との関係においても対話を重視する」という考え方であるが、「自由や民主主義という基本的価値観をめぐる問題については、妥協しないところがある」という。「従って、米国に民主党政権が生まれると、最初は米露(ソ)関係が改善するという希望が生まれるが、しばらくたつと米国の人権干渉に対してロシアが忌避反応を示すようになる」というのだ。
 このようなことから、「オバマ民主党政権の対露外交もこのパターンを繰り返す」のではないかという。
 米国の共和党、民主党、ロシアの考え方を比較することは重要であるだろう。

 さらに、不安な要素がある。「外交官の基礎は語学力」である。「米国国務省のロシア専門家のロシア語能力に不安」があり、パフォーマンスをする場合、「米国国務省の担当者が、ロシア外務省の友人をもっているならば、『これで大丈夫か』と意見を求めることをする」。
 今回、ロシア語の表記でミスがあった件から、「米露間の事務(官僚)レベルでの信頼関係が十分構築されていない」ことがあげられる。「こういう状況で難しい交渉をまとめあげることはなかなかできない」のが現実なところだ。
 米外交官の能力(基礎)が低下し、さらに米露の信頼も十分に構築されていない。これからの米露関係を注視する必要があり、暗い見通しである。

新世界大戦の時代
「アメリカ経済はふたたび「怒りの葡萄」の季節を迎える」
落合信彦

 「『100年に一度』の経済の悪化は、1929年10月24日の『ブラック・サーズデイ』(暗黒の木曜日)が引き金となった世界大恐慌と比較されることが多い」が、この時代環境と現在ではどうだろうか。
 今回の世界的な金融危機における不況は深刻な状況である。
 よく過去と比較されるのだが、「1929年10月24日から大恐慌が始まったわけではない」。「不況(recession)が恐慌(depression)に進化し、さらに世界に波及して大恐慌(the Great Depression)へと発展」。「その「到達点は、1933年の中頃と言われる」という。
 「つまり、最悪の状態になるまでに4年近くの歳月を要している」ということだ。
 「今回の金融危機は、昨年の9月15日が発端とすればまだ半年」しかたっていない。「株価がピークを迎え、サブプライム危機で下がり始めた07年10月を起点としても、まだ1年半しか経っていない。また大恐慌時代の失業者率は25%近くあったが、現在のアメリカは8.1%である」。
 要するに、

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私たちの食の安全の背景(From DAYS JAPAN 2009.4)

現場から メディアの社会的責任」
国際青年環境NGO A SEED JAPAN エコカルプロジェクト

 ある「シンポジウムで、『マスメディアをCSRから変えるのは難しいのでは』、『市民がマスメディアを変革することをあきらめてはならない』など、事例やデータを交え、複眼的な立場からメディアCSRの妥当性について話し合われた」。
 そして、「マスメディアには『報道のCSR』として5つの責任が発生することが整理された。
1.取材における責任(記者は現場に赴き、偏りなく取材し、背景分析も加えた記事を制作するという責任)。
2.編集における責任(編集責任者がどのような意図で番組を企画、編集したかを明らかにする責任)。
3.株主・広告主との関係における責任(株主・広告主の利益を損なう恐れがある場合に起こる圧力から独立を保つ責任)。
4.視聴率に関する責任(視聴率を上げるための演出や加工に関する透明性を担保する責任)。
5.視聴者との関係における責任(視聴者および取材対象が発する声に真摯に応え、情報を公開する責任)。」
 これらのことは、メディア・ジャーナリズムでも重要なことで、倫理的にも当てはまるだろう。それは、一つの基準といえる。

 しかし、これは日本ではまだ定着していなく、「NHKが環境報告書を発行している以外、現在どの大手テレビ局も環境報告書もCSR報告書も発行していない」のが現状である。

 「メディアのステイクホルダー(利害関係者)には「知る権利」を持つ市民だけでなく、戦争や環境破壊など人為的な理由で人知れず殺される「被害者」たちも存在する」。
 「世界人権宣言が「いかなる人種も抑圧から逃れ自由を得る権利」を保障する中で、メディアは「その理念を遂行する責任を負う」存在としての期待と権利がある。つまり、戦場や占領地で抑圧される立場の権利を守る期待と権利がある」ということである。
 それだけ、メディアの影響は大きく、責任も大きい。理想論かもしれないが、上記のことは心に刻んでおく必要があるだろう。

アジアから私たちへ Vol.1 「マグロ」
石井正子

 「フィリピンに「マグロの首都」と呼ばれる都市」がある。それは「ミンダナオ島南端ジェネラルサントス市」のことだ。「同市にはモロ湾、スル海、セレベス海で収穫されるマグロが一挙に集められて水揚げされる。同市を中心としたフィリピンのマグロ漁獲量は1980年代に東南アジア第1位となった」。そして、「2004年現在、アジアでは台湾、日本に次ぎ、インドネシアに並ぶ」までになった。
 「日本は80年代後半から同市より生鮮マグロを輸入している。98年には、日本のODA(政府開発援助)で製氷施設、冷凍冷蔵庫、加工場を備えた漁港も完成」している。
 そのフィリピンは、日本にとって重要な地であり、日本の食を支えており、その背景を探る。

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クリントン包囲網!?(From SAPIO 2009.3.25)

「誰も金融パニック渦中の「心理経済学」をわかってない」
大前研一

 不況時と好況時では感覚が違うだろう。それは、全体でもそうであるが、個人を見てもあてはまる。
 「1人1万円ずつ配った場合、消費マインドが浮ついている時(バブル時)は7500円使うが、凍てついている時(現在)は3500円しか使わないことが過去の経験からわかっている。あとの6500円は貯蓄や借金の返済などに回ってしまう」そうである。
 状況に対応して、使い方も違い、安心ラインに入らなければ保守的になってしまうものである。

 そんな変化をさらに大きな視点で見た場合、こんなこともいえる。
 「ケインズ経済学以降のマクロ経済理論はすべて「平時の経済理論」である。パニックに対応できる「有事(緊急時、非常時)の経済理論」は存在しない」。
 これまでの経済理論は、基本に平時ということがあてはまったいたのかもしれない。それが、緊急時や非常時といった場合には当てはまらないのはそれに適していないためで、緊急時や非常時の理論も考える必要があるのかもしれないということである。

「知ったかぶりケインジアン オバマミクスが引き起こす「第4の危機」」
小幡績

 経済状況はまだまだよくならないかもしれない。
 「今回も底を打つまでにはまだまだ時間がかかり、今は坂道の半分も転げ落ちていない段階」だという。「今回は世界同時不況なので外需に期待はできないし、仮に外需が起っても、アメリカには輸出するものがあまりない」というのである。
 要するに、まだまだ、下降は続くということか。来年(2010年)までが我慢との分析もあるが、果たして2010年までに上昇に転じるのだろうか。

「早くも始まったホワイトハウス「お家騒動」 「ヒラリー潰し」の陰湿なる内幕」

 「クリントンに対抗する「大物ライバル」たちが、次々と外交政策の要職に任命された」という。「外交政策において、あれだけ大きな政治的名声を誇り、その国務長官就任が注目されたクリントンの力が弱まりつつある」というのである。
 クリントンの暴走を抑えるためなのか。バランスの問題なのか。

 まずは、「国家安全保障会議のリーダーであるジェームズ・ジョーンズ国家安全保障補佐官」があげられる。

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環境大国アメリカに!?(From Newsweek 2009.3.18)

「ロシアは経済危機で蘇る」
オーエン・マシューズ(モスクワ支局長)

 金融危機で世界的に不況の中、ロシアの影響力が増している。
 ロシアの「今年の経済成長予測はマイナス2%だが、マイナス10%のウクライナを筆頭に旧ソ連の国はどこも大打撃を受けている。ロシアはこの好機を逃すまいと、融資をしたり金融支援を申し出たりしている」という。
 そうして、「その政策は実を結びはじめ、十数年ぶりにロシアはこの地域での影響力を取り戻しつつある」という。「ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は2月、ロシアから20億ドルの融資を受け入れた後、ロシア主導の防空防衛システムを国内に構築することに合意した」。さらに、「ロシアから20億ドルの融資の申し入れを受けたキルギスも2月、NATO(北大西洋条約機構)軍のアフガニスタン派兵の物資供給拠点となっているマナス空港の米空軍基地を閉鎖すると発表」した。
 こうしたことから、ロシアの戦略、ロシア側の策がうまくいっているように見える。

 ロシアのこうした戦略は他の国にも影響を与えている。

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