人口問題 高齢化が深刻化、人口オーナスに突入

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 国際情勢、環境など様々な問題が世界中にはびこっており、それらが相互に影響する。その問題の中には、人口の問題もある。
 先進国では若手の働き手が減少し、高齢者が増えるという高齢化が深刻な問題となっている。現在、勢いのあるのは中国やインドといった新興国の中でも人口問題が影響し始めている。
 一般に、高齢化率(65歳以上が総人口に占める割合)が14%以上を「高齢化社会」、21%以上を「超高齢化社会」という。国連の人口推計によると、2050年までに大半のアジア諸国は高齢社会に入り、中国やタイは超高齢社会を迎えるという。

勢いのあるアジアの人口問題が深刻に

 ベトナムは国民平均年齢が27歳と若い。しかし、ベトナム高齢者協会によると、2010年に全人口の9%(約815万人)だった60歳以上の人口は、2025年には18%に倍増するといい、そのペースは日本や欧米より早い。介護の需要が増加するが、民間も含めて施設の整備が進まず、さらに国の支援がないため料金も高く、高齢者の介護施設が100か所程度しかない。
 韓国では、合計特殊出生率が現状に近い1.28という低水準で推移すると、2050年の高齢化率が42.3%に達するとされ、中国や香港、シンガポールも同じ傾向にあるという。台湾では、2051年の高齢化率が37%近くに上昇すると予測されている。
 これらの問題から各国は対策を考えている。台湾では、年金財政の悪化を防ぐため、2008年に「国民年金保険」を導入し、これまで公務員や会社員に限っていた制度の対象を主婦や学生に広げ、財源を確保。インドでは、老人病棟やリハビリ施設を整備する政策を2010年に導入し、拡充するとしている。

 こうしたことから、アジアの成長力を維持するためには、年金・社会保障制度の再構築や、他国から働き手を調達しやすいようすることが必要になってくる。しかし、アジアには所得水準の向上で未婚・晩婚化が進み、出生率が低下するという構造的な問題が広がっている。
 人口問題は経済にも大きく関わってくる。そのため、問題が深刻になれば生活にも大きく影響し、悪循環に陥る恐れも高い。つまり、経済悪化がプラスになり社会保障が厳しくなる、というサイクルは、負荷が重なり破綻する。
 国の人口は一般に、経済が一定の水準に達すると出生率が下がり、生産年齢人口(15~64歳)が相対的に最も大きい状態を迎える。経済成長に最適なこの状態を「人口ボーナス」という。こうした「人口ボーナス」の利点は大きい。働き手は豊富になり、教育や医療、年金など社会福祉の負担が少なくなる。政府は税収が増加し、財政負担が軽くなり、インフラ整備や税制優遇に資金を回しやすくなり、産業の国際競争力が強化され、内需も拡大しやすい。
 しかし、この逆は「人口オーナス」といい、高齢化が進んで退職者が増え、年金などの社会コストが増加していく。税収は減り、内需も縮小しやすい。

 先進国も日本も、そして、中国やタイなどアジア、新興国も…こうした人口問題を抱えており、今後の世界情勢、世界経済などに影響する要素を抱えている。

【参考資料】

・「情勢ファイル ベトナム・中国…高齢化ハイペース 忍び寄る「老いるアジア」 対策急務 経済圧迫も」
伊藤学(ハノイ)(日本経済新聞 2011年11月28日(月))

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