核・原発 原子力技術とエネルギー政策(下)

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 ただし、原発政策には課題はある。まずは、3.11による事故のようなトラブルを防止することだ。原発建設が進められている国はトラブルを防止する体制が必要だ。アレバ社は原発を輸出しているが、輸出する相手国の管理体制など環境面を考慮して、原発ビジネスを行っているという。ビジネスを行い契約すれば、60年間はその相手国と付き合っていくことになるため、建設する国については設計による原子炉の安全だけでなく、厳格な管理体制・構造が必要になる。アレバ社はそれらを考慮してビジネスを行っているという。ただ、原発建設が多い中国にも関わっているとされ、中国における原発の環境には疑問符が付き、必ずしも安全だとは言い切れない。というのも、原発付近にホテルがあったり、不安要素がある。果たして、これらの不安要素とどこまで関わっているのだろうか。

アレバ社の廃棄物処理技術

 それに、原発生産により出る廃棄物の問題もある。この廃棄物の行方はいまだに問題として残っている。その廃棄物であるが、アレバ社では使用済み核燃料の96%まで再利用しているという。再処理後に再利用できるウランとプルトニウムが残り、プルトニウムは劣化ウランを混ぜることにより、利用することに成功しているという。こうした再処理だが、ベルギー、オランダ、日本、オーストラリア、ドイツの使用済み核燃料を引き受けているという。さらに、残りの4%も研究段階で、実用段階ではないが処理に成功しているという。これが本当なら、廃棄物の問題に一つの解決策が見出されそうだ。
 こうした技術は、核兵器に使用されているプルトニウムを再処理し、核燃料として利用することも成功しているという。アメリカでは、そうした兵器級プルトニウムを再転換した核燃料で、原子力による電力生産の20%が賄われているそうだ。

 これからのエネルギー政策に原発はどういう位置になるのだろうか。事故により原発に対し、厳しい環境になっている日本。ただし、今すぐに原発をなくすとなれば、代替えは可能かというと、厳しい。再生可能エネルギーはまだ実用段階では課題があり、今後の研究・推進でさらなる技術向上を求め、実用的にしなければならない。
 アンヌ氏が言うように、原発はベースロードエネルギーなのだろうか。しかし、デメリットは非常に大きくもあるため、原発に対し厳しい要素は大きい。ただ、アンヌ氏はエネルギー政策は長期的な視点で考えていかないといけないと指摘する。長期的な視点でエネルギー政策を行い、再生可能エネルギーといった自然エネルギーを高めていくことが重要だろう。
 今後のエネルギー政策にいえることは、長期的な視野が必要で、国の将来を切り開くには産業が必要で、そうした産業はエネルギーを必要とする。これを踏まえた上での、エネルギー政策を進めなければ、国や地域の発展が衰退していく可能性が高い。現状では、電力貯蔵技術が確立できていないため、これまでの石炭、石油、天然ガス、原子力に依存することになる。これまでの化石燃料や原子力といったベースロードエネルギーに替わる、新たなベースロードエネルギー、もしくは補える技術を確立しなくてはならないだろう。

(おわり)

【参考資料】

・「エネルギーの未来――「ベースロードエネルギー」と再生可能エネルギーを組み合わせるしかない」
アンヌ・ロベルジョン(アレバ最高経営責任者),クリスティーン・トッド・ホイットマン(ホイットマン戦略グループ)(FOREIGN AFFAIRS Anthology vol.34)

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