核・原発 原子力技術とエネルギー政策(上)

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 エネルギー問題はこれまでもこれからも、重要な問題となって私達に関わってくる。東日本大震災による福島第一原子力発電所事故は、原子力政策に大きな衝撃を与えた。ドイツは脱原発を決め、原発依存度が高いフランスでも反原発の声が強まるほどになった。原発政策を継続していくのか、脱原発に向かうのか、現在のエネルギー問題の課題が際立ってきている。
 エネルギー問題は様々なところに関わっており、自動車や石油ストーブなど電気以外にも関わってくる。しかし、電気一つとっても非常に大きな存在であるのも事実だ。今回、福島原発事故により日本では計画停電が実施され、それにより電気が生活のいたるところに関わってくることが改めて分かった。

 原発事故による深刻な事態は衝撃的で、原発以外のエネルギーを考える方向に傾むく国も出てきた(特に日本やドイツ)。そこで、注目されているのが、再生可能エネルギーである。
 太陽光、太陽熱、風力、地熱などといった自然エネルギーを利用した電力発電への注目が一段と高まっている。ただ、これらの技術はまだ実用段階では、特に私達の生活で手頃に利用できるまでには至っていないのが現状だ。
 これまでベースロードエネルギーとされてきた電力は、石油といった化石燃料や原発によるものだった。それらは原料があれば、常に電力を生産できるというメリットがあった。しかし、化石燃料は環境悪化の面が強いこと、原発は扱い方(災害があったりしてトラブルが生じれば)を間違えれば大変な事態になることなどといったデメリットがある。
 原発の事故がなかったら、原発への注目度は高いままだったかもしれない。そこで再生可能エネルギーが有力視されているわけだが、問題は常にエネルギーを生産できないことだ。太陽光、太陽熱、風力といった自然エネルギーは、その原料となる太陽のエネルギー、風といった自然現象が得られなければ生産ができない。そこで現在、エネルギーを貯蔵する技術が研究されている。しかし、現実には電力貯蔵コストは、電力生産コストの10倍にもなり、この技術は現実的に利用できるところまできていないというのが現状である。

原発政策による5つのポイント

 世界で原子力、グリーンパワー、再生可能エネルギーを中心とするエネルギービジネスを展開するフランスの多国籍企業「アレバ」社の最高経営責任者を務めたことがある、アンヌ・ロベルジョン氏。アンヌ氏はエネルギー政策のおいての原発について、5つのポイントを挙げている。
1:原子力エネルギーは、大規模なベースロードエネルギーを生産する上で、最も安全な技術。EPR、ケレナのような新世代の原子炉は、危機からの教訓を踏まえた安全対策上の技術を備えている。
2:原子力エネルギーは信頼できるエネルギーで、エネルギー安全保障に貢献できる。ウランの供給ネットワークは確立しており、天然のウラン資源は年間需要の20倍、つまり200年分は存在する。
3:原子力エネルギーは二酸化炭素を排出しない。
4:使用済み核燃料については立証済みの信頼できる解決策がある。アレバ社では、使用済み核燃料の96%を再利用している。
5:原子力エネルギーは経済効率からみても競争力が高い。原子力発電施設を建築するには大きなコストがかかるが、立ち上げれば生産コストは60年間にわたり安定。
 さらに、原発事業は建設に必要なコストは基本的に国内投資で、質の高い雇用が創出され、長年にわたって維持。つまり、長期的に富を生産し、雇用をもたらす産業だというのだ。これらのことから、ベースロードエネルギーとしては原発は有力で、そこに再生可能エネルギーを組み合わせることが必要だと言っている。

(つづく)

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