○○の時代 アメリカのアジア戦略におけるオーストラリアの存在

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 アメリカの時代が続くのか。中国が勢いをつけてきたことで、アメリカの時代が終わろうとしているのか。そんな時期の現在。アメリカと中国の関係が世界中で大きな話題になっている。
 アメリカは過去10年間、イラクやアフガニスタンでの戦争を経験し、軍事的敗北と国力の浪費を繰り返してきた。一方、中国は経済、外交、軍事戦略など、ほぼ全ての政策でアメリカの優位を突き崩す勢いで、急速な拡大をみせている。

 アメリカはイラクからの撤退し、アジアを意識した軍事戦略に移行し始めている。そこで、オーストラリア北西部を中心とする軍事協力の強化を打ち出している。アメリカとオーストラリアが結んだ協定により、米軍はオーストラリア国内の基地、特に飛行場の使用や、艦船の寄港と演習について大幅な自由を認められ、海兵隊の小部隊を駐留させることになった。つまり、米軍はインド洋方面への潜在的な出撃拠点の基礎をオーストラリアに築いたといえる。

オーストラリアが重要な位置づけになる、3つの要素

 なぜ、オーストラリアに興味を持ったのか。
 3つの重要な点があるようだ。
 1つ目は、中国のミサイルが届かない作戦上の安全地帯の候補になること。これまでの米軍基地がある、日本、韓国、グアムは中国のミサイルの射程範囲で、さらに万が一、中国が米軍と戦うことになった場合、これらの基地は初期段階で狙われる可能性が高いという。そして、東南アジア諸国も射程範囲になるため、この地域も選択肢とはなりにくい。東南アジア諸国は中国に警戒心はあるものの、中国と険悪な関係は避けたいため、米軍を受け入れるまではいかないとみられる。
 2つ目は、インド洋がキーポイントになる。中国はインド洋に面していないため、この海域では外部勢力に過ぎない。しかし、中東産の原油をはじめとする海上貿易の多くをインド洋に依存しているため、中国にとってはインド洋は重要な海域である。インド洋を押さえるということは、戦時には中国商船の航行を阻止または船舶を破壊し、平時にはそのリスクを意識させることで、中国の勢力拡大を防止することにつながるという。これは、中国は戦力の引き離し効果を生むとみられる。これらのことから、インド洋と西太平洋の間に位置するオーストラリアは、地理的にも重要で、比較的短期間で作戦準備が整う主劇拠点とし、インド洋での中国商船などの防止に効果がありそうだ。
 3つ目は、オーストラリアはインド洋と太平洋の両方に面し、背後に南極大陸があり、多くの島にとって国土の北側を守られている、という地理的条件で恵まれている。これは、オーストラリア政府が明確な思考を持ち、持続可能な範囲で国防予算を大胆に増額すれば、より独立した戦略的位置が手に入るとみられる。しかし、オーストラリアと中国は強い経済的結び付きがあるとみられ、オーストラリアがより独立した戦略的位置を手に入れられれば、中国に良い関係を気付き、アメリカ優位が厳しくなる可能性があるため、オーストラリアを同盟国として離反させない狙いがあるとみられる。

 以上3つの重要点がオーストラリアの注目度が高まっている理由に挙げられている。ただ、こうした動きは、アメリカの弱体化のあらわれだという声も出ている。中国伸長により、米軍優位の構造がほころび始めたというのだ。
 他にも、中国の勢いは強く、今後は中国と付き合っていかないといけないということで、アメリカは中国に懸念を持つ諸国の用心棒の役割をさぐっている、という声も。
 オーストラリアの米軍駐留のニュースは話題になった。果たして、その狙いは。世界の情勢は今後どうなっていくのだろう。

【参考資料】

・「オバマの冷徹な中国包囲網」
ラウル・ハインリックス(オーストラリア国立大学戦略防衛研究センター研究員)(Newsweek 2011.11.30)

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