○○の時代 アメリカの国防費削減が与える影響は

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 ヨーロッパの時代からアメリカ時代へ。そして、21世紀の主役はアジア太平洋地域になりそうだ。そして、そこには中国の存在も大きい。しかし、問題要素も多い。台湾海峡や朝鮮半島の有事。こうした不安要素はアジアの国々だけではなく、アメリカやヨーロッパなど世界にも影響が出る可能性がある。
 その中でも今、中国の存在感が強くなっている。特に軍事拡大が目立つ中国だが、その実力はアメリカに比べるとまだまだ低いとみられるが、航空戦力と海軍力で優位に立つ米軍に対抗するため、ミサイル、潜水艦、人工衛星破壊行為、サイバー戦の能力を急速に強化している。その背景には、通常戦力の整備を進め、米軍が西太平洋の紛争に介入するのを抑止することが挙げられる。

 中国の軍事拡張はアジアの国々でも懸念が出ており、アジアにおける不安をかき立てている。そんな中、中国への懸念を持つ国々はアメリカの存在感を意識している。ただし、全面的にアメリカに依存という形ではなく、中国ともうまくやろうという姿勢だろう。
 アジア太平洋地域は、40年間にわたり、ほぼ一貫して経済成長を続け、民主主義を拡大させてきた。その背景には、アメリカが深く関与したことで成功したということがある。第二次世界大戦後の地域安全保障を支え、経済的成功の前提となる安定をつくり上げてきた。しかし、このアメリカの軍事力と同盟関係が果たしてきた役割について、あまり注目されていない。
 現在、この地域のパワーバランスに変化が生じようとしている。中国の軍事拡張など周辺国との間で警戒心が強まっている。そこには、中国経済の拡大の勢いとアメリカ経済の危機の要素が大きく絡んでいる。アメリカの経済危機は国防にも大きく影響し、国防費の削減の声が強くなっている。これにより、アメリカと中国の関係にも大きく影響することになっている。つまり、アメリカが軍事力を弱体化させようとしている一方で、中国は軍備の近代化を急ピッチで進めている。

アジアが不安定になれば、暴走するところも

 アジア太平洋地域の経済発展により、日本、台湾、韓国、中国、シンガポールなどの国々はアメリカと世界の重要な貿易パートナーになった。しかし、この地域では域内貿易も海上輸送に頼ることが多く、多くの物資が重要な交通の要衝を通過する。マレー半島とスマトラ島の間のマラッカ海峡には、世界の貿易量の40%が集中している。
 このように、海上交通の安全を確保する力を保ち、船舶の自由な航行を維持することは、民間の商船にとっても軍の艦艇にとっても重要である。ただ現在、中国の海への管理範囲が広がりつつあり、周辺国との衝突の問題が大きくなりつつある。

 そして、この地域が不安定になることで、有事に危険性が出るという。つまり、不安定になることで、外交と経済に大混乱を引き起こす可能性が高いという。そして、極端なケースでは、アメリカの力が弱くなれば、中国以外の周辺国の抑止力対策が急速に進む可能性があるという。その対策として、比較的安価な抑止力として核兵器の保有が挙げられる。一つの国が核兵器保有に至れば、周辺にドミノ現象で核保有が広がっていく可能性が高い。

 このようなことから、アメリカの力が弱くなれば、不安定要素が拡大し、経済から外交から、大混乱の要素が増える。
 アメリカはイラクから撤退し、アジアに注視した体制に移行しつつある。しかし、国防の削減は、軍事力の削減にもつながる恐れがあると指摘されている。アメリカと中国のパワーバランスが崩れることは、これまでのやり方が通用しなくなるかもしれないことでもあるかもしれない。安定してきた部分には、アメリカによる安定への行為が深く関わっていることは、受け止めるべきだろう。
 これまでのアメリカによる体制には、メリットとデメリットがあっただろう。恩恵もあり、問題もあった。中国による体制が強くなった場合、どんなことが出てくるのだろうか。
 秩序を保つためには、ある程度の制約が出てくるが、その制約が適当かどうか、見つめ直す時期に来ているのかもしれない。

【参考資料】

・「国防費削減の大き過ぎツケ」
J・ランディ・フォーブス(米下院軍事委員会・即応性小委員会委員長)(Newsweek 2011.11.9)

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