サイバー戦争勃発!?(下)

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 世界的にサイバー戦争が常識になってきている中、日本はどうなのだろうか。サイバー戦争の中でも最も攻撃に脆弱なのが日本ということになるみたいだ。
 日本をターゲットにする要因はいくつも存在する。具体的にいえば、中国やロシアは日本との領土問題で懸案事項を抱えている。北朝鮮も日本とは厳しい関係なので、サイバー攻撃を仕掛ける動機はある。これらの国々だけでも、サイバー攻撃の能力を高めているため、いつ脅威が降りかかってもおかしくない状況だといえる。
 しかし、日本がサイバー攻撃に対して明確に動けない状況にあるのは、サイバー攻撃を戦争という位置付けにすると、憲法上の問題が出てくるためでもある。それならば、サイバー攻撃を「犯罪」と位置付けて対策を強化すればいいいかというと、これにも問題はある。たいていが国外から仕掛けられるサイバー戦争に日本は事実上、手も足も出ない。
 目に見えないサイバー攻撃はミサイルや兵士による物理的な攻撃と違い、より実行しやすい攻撃手法だと言え、サイバー攻撃への備えだけでなく、法的な側面の議論を深めることは急務になってくるだろう。

欧米主導でサイバー行為の「行動規範」づくりが進められている

 NATO(北大西洋条約機構)は、
・物理的な攻撃と合わせて行われたもの
・特定の政府が行ったもの
・実害があった場合
の3条件を満たす攻撃をサイバー戦争行為とみなしている。
 サイバー戦争が熾烈になり、大きな混乱を招かないようにするために、欧米主導で行動規範の検討が進められている。脅威増大を受け、欧米の政府当局や専門家の間で国家間のサイバー戦争を予防・規制する行動規範を設けようというのだ。
 具体的には、
・国家は他国に先制サイバー攻撃を仕掛けることを控える
・電力や交通、金融など民間システムは攻撃しない
・他国に重大な攻撃を仕掛けた個人やテロ組織が自国内にいる場合、責任を持って取り締まる
などといった案だ。
 ただ、問題なのは一部の国家は通常戦力ではかなわない大国に対抗する「非対称な手段」としてサイバー攻撃を重視している模様で、行動規範への参加は期待しにくいことだ。そして、この行動規範が実効性を持つには、攻撃者を突き止める高度なインテリジェンス能力が必要になってくる。
 サイバー体制を進めてはいるものの、現状では当面、各国が手間やコストがかかっても重要な社会インフラの制御システムをネットから完全分離することや、既に潜入したウイルスの発見・対処、官民の連携強化などの自助努力を求められることになる。

 ただ、サイバー戦争は現在、どこまで進んでいるのだろうか。もしかすると、核技術のようなところまできているのかもしれない。
 サイバー攻撃で各国の中央銀行を一気に破壊してしまえば、世界を制覇できるかもしれない。例えば、中国がその気になれば、アメリカの金融システムを麻痺させたり、システムそのものを破壊することもできるかもしれない。つまり、それらの行為はできるが、それをしないのは、核保有国が核兵器を使用しないのと同じことがいえるのではないかという指摘がある。
 要するに、核による抑止力が戦争を抑え、緊張状態になっている現在、サイバー攻撃も既に抑止力や外交カードとして効果を発揮し始めているということだ。
 日々の生活の中では、サイバー攻撃と言えば、PCがウイルスに感染しておかしくなる程度に感じるものだ。しかし、もっと大きな舞台では、サイバー戦争は国の役割を機能停止させる能力を持っている。そして、私達の使っているPCが知らないうちに使われて、攻撃に参加しているのかもしれない。
 巧妙化するウイルスの侵入を100%阻止することは不可能だ。しかし、身近なところから対策は進められることは必要で、それと同時に、大きなところも進めていかなければ、サイバー戦争には勝てないだろう。
 今後、サイバー戦争は世界的に重要な項目となる。日本もサイバーシステムは進んでいるため、日本もサイバー対策は早急に進めなくてはいけないだろう。

(おわり)

【参考資料】

・「「標的型」対応難しく 三菱重サイバー攻撃 手口 年々高度化」
竹地広憲,鮎川耕史(毎日新聞 2011年9月20日(火))
・「サイバー攻撃 上 敵はプロ集団 国・企業守る「防壁」築け」
(日本経済新聞 2011年10月19日(水))
・「三菱重にサイバー攻撃 ウイルス 11拠点に 防衛・原発関連も感染 情報抽出は確認されず 防衛産業に脅威 情報管理、官民の連携急務」
(日本経済新聞 2011年9月20日(火))
・「三菱重にサイバー攻撃 防衛・原子力拠点 11ヵ所ウイルス感染」
竹地広憲(毎日新聞 2011年9月20日(火))
・「IHI・川重にもサイバー攻撃 防衛産業狙い撃ち 情報管理 対策後手に」
(日本経済新聞 2011年9月21日(水))
・「[日本企業の機密情報]が中国ネットで閲覧し放題」
(SPA! 2011.10.11)
・「サイバー戦争に日本は敗北まっしぐら」
(SPA! 2011.12.6)
・「24時間態勢で監視要請 サイバー攻撃 防衛省、関連企業に」
(日本経済新聞 2011年11月15日(水))
・「情勢ファイル サイバー戦争食い止め 欧米主導で行動規範検討 民間インフラ保護 中ロなどと溝、曲折必至」
高坂哲郎(編集委員)(日本経済新聞 2011年11月21日(月))
・「大手企業の社員が“副業”… 「人民サイバー軍」の実態とは」
フィナンシャル・タイムズ(UK)(COURRiER Japon 2012.1)
・「古森義久ワシントン報告 「アメリカの中国研究」 第9回 サイバー攻撃」
古森義久(ジャーナリスト)(SAPIO 2011.10.5)
・「あなたの知らないサイバー戦争」
山田敏弘(本誌記者)(Newsweek 2011.11.23)

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