原発の廃棄物処理の行方(下)

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 具体的な方法が示され、今後の除染への取り組みの目安になりそうだが問題は多い。
 まずは、中間貯蔵施設だが「事実上の最終処分場になるのではないか」という懸念などが出ており、具体的な建設地は決められていない。建設地が決まらなければ、環境調査や詳細設計などが進まない。
 それに、これらの除染への取り組みが「トラブルなく貯蔵が可能なのか」、「保管方法を汚染度ごとに選別する作業で被曝が増えるのではないか」などといったことが問題視されている。
 それに最終処分場については、放射性物質の量を減らすことが重要だが、一方で擬縮され高濃度の廃棄物が生じるため、こうした廃棄物の最終処分場は国内には厳しい。しかし、受け入れ先はなかなか見つからない。

放置すれば、除染の対象も膨らんでいく……

 国は当初、除染対象地域を「福島第一原発事故による追加被曝量が年間5ミリシーベルト以上の地域」とし、福島、宮城、山形、茨城、栃木の5つの県が対象となり、その量は最大で東京ドーム23杯分(2,878立方m)と試算した。しかし、自治体や市民の要望を受け、「年間1ミリシーベルト以上」に修正したところ、先の5つの県に加えて、群馬、千葉、埼玉、東京、神奈川まで広がった。
 住宅地や工場など生活や産業活動の場合に発生する汚染土壌などの量は、福島県内で1,500万立方m、それ以外の9都県で140立方mになり、森林などを含めると福島県で3,100万立方m、それ以外の9都県で1,300万立方mの計4,400万立方mと大幅に増えるという(環境省が9月18日のデータなどを基に分析)。
 環境省は福島県内で発生する3,100万立方mは、焼却によって2,800万立方mに削減できると試算しており、今後の技術開発も目指している。しかし、放射性廃棄物の量を減らす技術研究は始まったばかりで、予想通りにいくとは限らない。

 震災後の原発事故で、廃棄物の問題はさらなる深刻な状態を巻き起こした。これまでの原発から出るという廃棄物の問題だけではなく、今度は原発事故による多様な廃棄物も含めた処理の仕方を考えなくてはならなくなった。
 普通状態の廃棄物処理でも実現ができていなかったのに、さらにレベルアップした処理が求められるから非常に深刻な問題で、私たちも長期間付き合うことは余儀なくされてしまった。
 ただし、これを機に「これまでの原発の廃棄物問題をどうするか」ということも含めた取り組みを前進させないと、また問題の後回しにもなってしまう。今後の電気不足問題により、検査停止していた原発が動き出すケースが出てくるかもしれない。そうなると、再度、廃棄物の問題は大きくなっていく。

(おわり)

【参考資料】

・「福島で中間貯蔵 最長30年 汚染土壌 来年度に場所選定 政府工程表 仮置き場に3年 最終処分場は県外で」
笈田 直樹(毎日新聞 2011年10月30日(日))
・「クローズアップ2011 汚染土 先行き不透明 最終処分場、具体策なし 福島 保管工程表 中間貯蔵地選定も課題 減量技術 確立されず 県内3100万立法メートル 焼却しても1割減」
藤野 基文,江口 一,久野 華代(毎日新聞 2011年10月30日(日))
・「中間貯蔵建設地示さず 工程表 最終処分に不透明感」
(日本経済新聞 2011年10月31日(月))
・「汚染土 福島に30年 中間貯蔵工程表 最終処分は県外」
(日本経済新聞 2011年10月31日(月))

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