原発の廃棄物処理の行方(上)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 モノをつくれば廃棄物が出る。原子力発電所で電気をつくれば、そこからも廃棄物が出る。しかし、この「廃棄物がどうなるか」ということが課題になっている。
 一般の廃棄物はゴミ焼却炉に行き、そこで焼却されて埋められるという運命をたどる。それでは、原発から出る廃棄物はどこに行くのだろうか。

 原発から出る廃棄物は、極端にいうと行く場所はない。現在は最終処分場までの中間的な施設、もしくはとりあえずの保管場所に行っている。一般的に考えられている方法は、廃棄物を特殊な箱に密閉し、地中深くに埋めるという方法だ。一般の廃棄物とは違い、原発から出る廃棄物は放射性物質の問題があるため、こういう形を取り、厳重に処理するわけだ。
 しかし、一部の国では進められているものの、この方法はまだ実現段階とは言えず、実際に実行するとなると、様々な問題が生じるため日本ではまだ確立されていない。つまり、「廃棄物が管理される場所の放射性物質の影響がないか」とか、地中深くに埋めるということだが、その埋める場所も災害にあわないことが前提で、そうなると「本当に災害の影響が出ないか」ということで課題が残るわけだ。さらに、埋めて終わりではなく放射性物質の影響は、気が遠くなるような長期間の管理が必要になってくる。
 そういうわけで、日本では中間貯蔵施設もなかなか確立できない状況で、最終的な処分施設はまだ実現できていない状況だ。「原発の廃棄物をどうするか」ということで、一つの希望があったのは、福井県にある高速増殖炉もんじゅであった。このもんじゅは簡単に言えば、原発から出る廃棄物(厳密に言うと、再処理したもの)を利用するからである。しかし、これも事故といったトラブル続きで、現在でも研究段階どまりで実現のめどはたっていない。
 そうなると廃棄物の運命は、前者の特殊な箱に密閉し、特殊に処理した地中で埋めて管理する方向になってくるが。

崖っぷちにきてようやく動き出した……

 そうした問題を抱えつつ、これまで原発を動かしてきたわけだが、3.11の東日本大震災により福島第一原発事故が発生し、放射性物質の問題がいきなり舞い降りてきた。原発事故により、周辺地域に放射性物質の問題が生活レベルで非常に近い問題になり、「これらの汚染問題をどうするか」が早急に求められている。
 10月29日、政府は福島第一原発事故で放出された放射性物質の除染に関し、汚染された土壌や廃棄物の中間貯蔵施設建設へ向けた基本的な考え方と工程表を福島県側に明示した。その内容は、建設場所は福島県内とし、遅くとも2012年度中に選定し14年度をめどに搬入を始めるとした。ただし、本格搬入は15年1月。貯蔵期間は30年以内に区切り、最終処分は県外で行うことも含めて進めるという。この中間貯蔵施設の運用開始は3年後をめどとし、それまでは各市町村に設ける仮置き場に保管する。
 この中間貯蔵施設の容量は、約1,500万から2,800万立方m程度で、敷地面積は約3から5平方km。除染後の廃棄物の大部分は土壌で、濃度に関係なく全てを中間貯蔵施設に保管する。枝や落ち葉は焼却し、1キロ当たり10万ベクレルを超える灰が搬入され、それ以下の灰は既存の管理型処分場に埋める。
 中間貯蔵施設には、大気と地下水での放射性物質の有無を検出する装置を設置し、仮置き場からの搬入を加速するため、小さな区画を複数作り、完成した所から搬入を開始。
 また、中間貯蔵施設への保管方法は汚染度ごとに変え、高濃度の廃棄物の場合、放射性物質の漏れを防止するために地中を細かく仕切った鉄筋コンクリート製構造物を設置し、完全に埋める。廃棄物は容器に入れ小分けにし、搬入後は蓋で覆う。
 一方の低濃度の廃棄物の場合は、穴を掘って小分けにして積んでいき、放射性物質を含んだ水が漏れないように遮水壁で囲み、搬入後は土をかぶせる。
 これらの中間貯蔵施設ができるまでは仮置き場に保管するわけだが、仮置き場は汚染土壌などを小分けにして地上に積み、盛り土をして土嚢で覆い、雨水を流入、地下水への放射性物質の漏れを防ぐ。

(つづく)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)