TPPは果たしてどうなのか(下)

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 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は「関税」だけでなく、全ての「非関税障壁」の撤廃を謳っている。そのため、デメリット(問題)として挙げられることは、
・関税撤廃で農業分野が打撃を受ける
・「混合診療」の全面解禁や株式会社の参入で公的医療保険が縮小する
・遺伝子組み換え作物の表示、残留農薬などの食品の基準が緩められる
・公共事業の発注ルールや日本郵政の簡易保険への影響
などがある。TPP加盟国は、ビジネスの「障壁」を除くために国内規制の緩和を求められることになる。
 そうした影響から、TPPは米など主要農産物を含め、全品目の関税撤廃が原則なため、有効な対策がないまま撤廃すると、道内だけでも影響額は関連産業を含め1兆円を超えるとの試算がある。
 しかし、中国や韓国の経済圏が日本経済を襲うという問題もある。米韓FTAが話題を集め、韓国の経済協定の動きが活発になっている。そうした動きから、日本の外国との経済関係に不安が出ており、TPPといった経済体制に注目が集まったりする。ただし、国によって環境は違ってくる。韓国経済の輸出に関わる割合(約45%)は日本の割合(約15%)と比べて大きいそうだ。そうした環境もあり、韓国では外国との協定が重要度を示す。

韓国の米韓FTA事情

 そんな韓国でも、米韓FTAは韓国国内でも賛否両論が強かったという。経済界は、自動車の関税撤廃による輸出拡大などの経済効果を期待し、FTAに賛成。しかし、農業関係者は生産額が減少、雇用も減るとして反対。米国との貿易規模は増えても米企業だけが利益を上げ、弱小であるほとんどの韓国企業は利益が減るという分析もあるそうだ。
 さらに、米韓FTAではこんな条項があるという。
・サービス市場を全面的に開放する。例外的に禁止する品目だけを明記する
・一度規制を緩和すると、どんなことがあっても元に戻せない。狂牛病が発生しても牛肉に輸入を中断できない
・未来最恵国待遇。今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用する
・自動車分野で韓国が協定に違反した場合、または米国製自動車の販売・流通に深刻な影響を及ぼすと米企業が判断した場合、米の自動車輸入関税撤廃を無効にする
・韓国に投資した企業が、韓国の制作によって損害を被った場合、国際投資紛争仲裁センターに提訴できる。韓国で裁判は行わない。韓国にだけ適用
・米国企業が期待した利益を得られなかった場合、韓国がFTAに違反していなくても、米国政府が米国企業の代わりに、国際機関に対して韓国を提訴できる
・韓国政府が規制の必要性を立証できない場合は、市場開放のための追加措置を取る必要が生じる
・米企業・米国人に対しては、韓国の法律より韓米FTAを優先適用
・知的財産権を米が直接規制。例えば米国企業が、韓国のWEBサイトを閉鎖することができるようになる
・公企業の民営化。つまり米国企業が、公共企業を乗っ取って料金を上げるということもありうる
といった内容だ。これは米韓FTAの中にある条件で、TTPとは違ってくる。しかし、全てが全て違うということにもならないのではないだろうか。

 そのため、TPP交渉に参加するためには、交渉力が必要だ。この力がないと交渉に参加したが最後に、TPP参加は必須になってしまう。
 TPPが国内経済・社会に与える影響のデメリットを挙げてきた。しかし、TPPは単なる経済体制だけではなく、国際的な国と国との情勢にも深く関与している。アメリカとアジアのグループとして、中国対策を行っていくというシナリオ。中国をも飲み込んだ体制。それとも、中国主導になるアジアの中でやっていくのか。
 ロシアは最近、中国との結び付きを強めているが、それは表面的で実は、日本のTPP参加を望んでいる、という声もある。
 それに、ベトナムやマレーシアが参加に動いた背景には、国内の改善も含め、中国の影響を注視した上でもある。
 それに問題は、日本がTPPに参加しなかったとしてのTPP体制がうまくいった場合、日本がこれまで享受してきた国際的な経済の流れも影響は出てくるだろう。その影響はどこまでになるのだろうか。
 ただし、TTPに参加していない国もある。このことも考慮しないと、今後のTPPへのメリット・デメリットの行方も変わってきそうだ。

 TPPだけで、これだけの影響と動きがみられるということは、今後の国際情勢にも大きな影響が出るということであるだろう。ただ、問題なのは、国際情勢、外交と日本国内の影響が深く対立することになりそうだ。

(おわり)

【参考資料】

・「記者の目 TPP交渉参加は本当に必要か」
位川 一郎(東京地方部)(毎日新聞 2011年10月27日(木))
・「ゴーマニズム宣言 日本もTPPの毒を食らうのか?」
小林 よしのり(SAPIO 2011.11.16)
・「経済観測 強い農業に必要な政府の交渉力」
青山 浩子(農業ジャーナリスト)(毎日新聞 2011年11月2日(水))
・「水説 ベトナムに続け!」
潮田 道夫(毎日新聞 2011年11月2日(水))
・「[TPP参加]で壊国する日本」
(SPA! 2011.11.15)

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