バイオ燃料利用の懸念

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 温室効果ガスによる地球温暖化の問題が続いている。そうした中、二酸化炭素の排出を抑えようと各国、各企業は活動を活発にしている。
 その活動の中で、バイオ燃料が注目を浴びた時期があった。今でこそ、そこまで話題になっていないものの、その研究は続いている。しかし、問題は温暖化対策と経済のつながりを見なければ、思わぬ方向に事が進むことだ。

 現在、バイオ燃料を欧州航空各社でバイオ燃料を導入しようとする動きが始まったという。背景には、欧州連合(EU)が2012年に予定している航空会社への温室化ガス排出規制があるからだ。
 欧州航空各社の取り組みは、
・フィンランドのフィンエアー:7月下旬にヘルシンキ―アムステルダム間の便にバイオ燃料使用機を就航。使用済みの植物油から合成した燃料と通常のジェット燃料を半量ずつ混ぜ合わせた混合燃料を使う。
・KLMオランダ航空:9月からアムステルダム―パリ間の定期便で同種の混合燃料を使う。
・エールフランス-KLM:航空機用のバイオ燃料を開発・生産する企業「スカイNRG」を設立しており、供給体制を整えている。
・ドイツのルフトハンザ:ドイツのフランクフルト―ハンブルク間の便でバイオ混合燃料の使用を始める。
などといった取り組みが始まる。
 この取り組みのメリットの一つに、現行機種でもエンジンなどはほぼそのままでバイオ燃料を使えるため、設備投資の負担は少ないことがあげられる。

多面的な視点

 こういったことから、バイオ燃料使用により温室効果ガス問題対策が進められているが、ここで懸念事項が出てくる。
 バイオ燃料利用による環境対策は一つの方法だろう。しかし、それを優遇しすぎれば、生産する側はバイオ燃料の恩恵をもらおうと、バイオ燃料生産に特化し、生産バランスが偏ってしまう。これまでもとうもろこしといった食物の燃料化が注目され、問題になってきた。皮肉にもバイオ燃料問題が食糧危機問題に結び付いた形になってしまった。
 今回の航空会社の取り組みは、使用済み油といったバイオ燃料が対象になることから、懸念すべき点は低いかもしれないが今後、この取り組みからも問題は出てくる可能性もある。ただ、こうした対策の取り組みは行っていかなければならなく、同時に新たな対策を考えていく必要がある。
 問題点が見つかれば、それをクリアする方法を考えていく。ただし、経済的な視点など多面的な視点から見ることも必要で、環境的な視点だけでは解決されないことを前提にしなければならないだろう。

【参考資料】

・「欧州航空 バイオ燃料 離陸期に EUのCO2規制にらむ」
古谷 茂久(パリ)(日本経済新聞 2011年8月13日(土))

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