アメリカと中国がぶつかる、今後の世界情勢

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 中国の軍事力増強の話題が多くなっている。アメリカでも日本でも軍事縮小が話題になるのに対し、中国は軍事拡大の勢いが激しくなっている。それに伴い、周辺国などは中国の方向性に強い関心を持たざるを得ない状況だ。
 中国がそれほどまでに軍事力を強めるのはなぜだろうか。SAPIO(2011.5.4/11号)の「「中国の標的にされた」とアメリカは自覚した」の記事がヒントになる。

 中国が軍事力拡大の転機となったのは、1996年3月のアメリカ空母2隻の台湾付近への出動があげられる。当時、台湾の総統選挙で李登輝氏の当選を巡り、中国側としては台湾独立の気運が高まるという懸念材料が大きくなる出来事が起こった。そこで、それを抑えるため、中国は台湾近海に向けて3発の弾道ミサイルを威嚇発射。さらに強硬な軍事行動を取ろうとした。しかし、これに米側は当時のクリントン政権が急遽、空母2隻を台湾近海に起こり込んだことから、中国のこれらの行動を抑制した形になった。
 中国側にとってアメリカの空母は挑発的で危険な動きだったが、対抗能力は何もなかったため、折れるしかなかった。この事件により、それからの中国の軍事能力拡大へとつながったという。つまり、今後、中国が引き下がるという事態を二度と起こさないために、アメリカに対抗できるだけの軍事力を構築する決意を固めたのだ。
 現在、世界の中でも突出しているのはアメリカである。そのアメリカの軍事力は他国にとっては大きな存在であり、同時に脅威でもあるだろう。
 中国はそのアメリカを意識しているだろう。そのことから、中国は2007年2月に人工衛星を破壊するミサイルを発射、成功をおさめた。これは、米軍が軍事作戦で人工衛星の通信や、偵察の機能に全面依存することを熟知しての動きだといえる。

超大国アメリカとぶつかる方向に

 それでは、中国が軍事力拡大させる理由として、他にはないだろうか。
 1989年6月、天安門事件は世界中に衝撃を与えた。中国の人民解放軍は共産党中央の指令により、多数の自国民を殺す結果となった。共産党はその労苦に報い、かつ軍の忠誠を保つために、軍の意向に応じる形で軍事力増強へと進んだという見方もある。
 20年前まで後進国といえるほど発展の遅れていた中国が、急速に近代国家へと向かっていく過程では、軍事面でも全方位の能力を備える必要がある。それに加えて天安門事件での軍隊が果たした役割への報奨、台湾への抑止、そして中国の海外での権益擁護などが軍拡の要因になったということだ。
 そして、中国がグローバルな活動を広がるにつれ、軍の任務も広がり、さらなる拡大へとつながっていく。つまり、中国は国際活動を広める大国となったため、軍事力も自然と強化することになった。

 これらのことから、
・中国が軍拡へと向かう方向には、アメリカ自体が標的として位置づけられている
・中国の軍拡は日本や台湾に大きな影響を及ぼし、その背後のアメリカのアジア政策とぶつかり、さらにはアメリカが主導する現行の国際秩序への挑戦
といったことが、軍事力拡大の大きな理由といえるかもしれない。
 中国は台湾やその他の地域の領有権を確保するためには、米軍との対決をも想定。そのため、サイバーや宇宙の攻撃能力を高め、米軍が依存する衛星や情報システムの破壊を図るなど『非対称戦争』への準備で米軍の意欲を削ごうとしているという。

【参考資料】

・「「中国の標的にされた」とアメリカは自覚した」
古森 義久(ジャーナリスト)(SAPIO 2011.5.4/11)

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