フリーランスが重要な役割に

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 世間は本当に関心があるのだろうか。ジャーナリストが、誰かが命を懸ける価値があるのだろうか。そういった葛藤に時には悩まされながらも、多くのジャーナリストが危険な戦場へと足を運び、現地の状況を伝えている。
 そこで、Newsweek(2011.5.4/11号)の「戦場ジャーナリストの死が意味するもの」の記事で、戦場ジャーナリストの厳しい環境が窺える。

 従軍記者、特に戦場カメラマンの仕事は常に死と隣り合わせである。過去十数年間で死者数は急増しており、1992年以降に戦場で命を落としたジャーナリストは861人を超えるという(ジャーナリスト保護委員会による)。最悪だった2006年と07年には200人余りが死亡。そのほとんどがイラクで命を落とした。今年は既に報道関係者21人が死亡し、うち半数近くが写真家かカメラマンで、その多くがフリーランスだったという。
 これらのことから、戦争の混乱状態においては、どんなに熟練した戦場ジャーナリストといえでも安全ではないことがうかがえるだろう。現在の紛争の前線では民間人も軍人もなく、戦場ジャーナリストは拉致され、命を狙われる。

 それだけ危険な仕事であるわけで、戦場取材を経験すると、たとえ生きて帰っても大きなダメージを負う人が少なくない。トロント大学のアンソニー・ファインスタイン教授(精神医学)はこれまでに、戦場取材の経験を持つ約350人のジャーナリストの精神状態を調べた。おおよそ3人に1人に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が見られたという。
 その背景には、当事者であることと観察者であることの緊張関係があげられるという。人々の苦しみを目の当たりにしながら、助けの手を差し延べられないことが戦場ジャーナリストたちの精神を痛めつけている、というのだ。他にも、「普通の世界」で生きる友人たちに戦場で見たことをうまく説明できず、どうして繰り返し戦場に赴くのかを理解してもらえないため、孤独感に苦しむ人も多い。さらに、自分が戦場で経験した出来事の重大さが分からなくなる人もいるという。

厳しい環境の中、知るべきことを伝えてくれる存在の大切さ

 フリーランスの環境は決して芳しくない。過去10年間にわたって、既存メディアに広がった経営難で、主要新聞社は国際ニュースの記事を減らす傾向にある。調査によると1998年以降、アメリカでは新聞18紙と新聞社2社が国外支局を閉鎖。ここ数年は最も権威ある新聞までも、助成金や奨学金や契約金を活動資金にして、世界を飛び回るフリーランスのジャーナリストに頼るようになった。
 これは、報道カメラマンの「日雇い労働者化」が進んで競争が過熱し、経験の浅い若手のカメラマンにもチャンスが広がったが、同時に十分な経験・支援と準備なしに、戦闘地域に続々入ることになった。そうした厳しい状況でも、極めて優れた仕事をしているカメラマンたちもいるが。
 しかし、彼らの仕事は減り、与えられるページ数も減り、作品はコスト削減の標的になっており、厳しい状況になっている。

 そんな危険で厳しい状況の中でのフリーランスたちの活動は、私たちが真実を知り、人間の卑劣さを垣間見ることができる。彼らのおかげで気付かせてくれること、知るべき情報や出来事を知ることができるのだ。

【参考資料】

・「戦場ジャーナリストの死が意味するもの」
ジョシュア・ハマー(Newsweek 2011.5.4/11)

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