中国の原発拡大の問題点

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 東日本大震災が発生して、福島第一原子力発電所の事故により、改めて原発への注目度が高まっている。これまで世界中で原発への注目度が高まっている中、中国でも原発への注目度は高まっており、その勢いは目を見張るものだった。
 SAPIO(2011.5.4/11号)の「将来230基増設の大建設ラッシュ! 「中国原発」で危惧される「3つの不安」」の記事から中国の方向性がわかってくる。

 なぜ、中国でそれほど原子力への注目度が高まるかと言えば、経済発展に伴い、電力の需要が高まっているからだ。中国では電力供給の約7割を石炭火力が担っているほどの石炭大国である。しかし、消費量も多いため、資源可採年数は38年(09年BP統計)と推定されている。さらに、石油や天然ガスも枯渇に向かっているため、新たなエネルギー源として原子力発電への注目が高まっているわけだ。それに、二酸化炭素問題が世界中で問題になったことから、中国政府として公約した二酸化炭素の排出削減のためもある。

 現在、中国では13基の原子炉(総設備容量:1,080万kW)が稼働中。さらに中国国務院は既に32基の新規建設を承認し(内28基は建設中)、建設承認の前期作業に入った原発は38基。つまり、建設・計画中だけで計70基となり、2020年までに現在の7倍の約7,000万kWを目指している。中国の原子力発電政策は加速しており、政府は50年までに230基(3億2,400万kW)まで増やし、世界最大の原発大国となる計画を練っている。
 3月11日、東日本大震災が発生して、福島第一原発の事故が世界中に衝撃を与えた。そのため、世界中で原発に対する安全性について議論が起こっているが、中国の原発は果たして安全だろうか。

「人材不足」と「品質にムラ」

 東日本大震災の地震の衝撃から、地震対策はどうだろうか。
 現在、運転・建設中の原発は沿岸沿いに集中しているが、計画中の原発は内陸部にまで及んでいる。過去1,000年間に起きた大地震を見ると、中国にはチベット高原とその周辺で地震が多いものの、ほとんどの原発は避けて計画されているようだ。基本的に中国の原子力安全基準は、原発を納入しているフランスやIAEAの安全基準に準拠し、先進国と全く同じように建設が進められているという。それに、稼働中の原発は古くても1985年着工であり、福島第一原発のような70年代着工の旧式とは世代が違う。
 しかし、中国で地震や津波が少ないのは事実だが、台湾付近では地震が頻発しているという。上海、山東省周辺を含めると11世紀、14世紀、16世紀、17世紀に津波の記録があり、20世紀には台湾東岸にも起きている。
 さらに、中国の原発政策の懸念が浮かび上がる。中国では多数の大学で原子力工学科が設立されているが、開発のスピードが速すぎるため、特に経験を積んだ人材不足が恒常化しているという。これは、原発の増加に人材供給が追いつかなくなるという問題があり、つまり、安全な運転に支障をきたす恐れがある。
 他にも、中国で建設・計画中の原子炉は、フラマトム(現アレバ)の炉をベースに改良したCPR1000と、ウェスチングハウス(東芝の傘下)の最新型AP1000が主体で、前者の国産化率は80%に達し、後者も国産化を進めている。原子炉の部材には極めて高い品質が要求されるが、品質保証システムが十分でない上に工期を急ぐため、品質問題が度々発生しているという。
 今回の事故を受けて、中国政府は運転中・建設中の原発の安全審査を行い、計画中のプロジェクトの審査・許可は一時凍結するとの方針を示している。

 しかし、原発は推進されていくだろう。なぜなら、経済成長の伸びと電力需要の伸びは正比例し、現状でも中国の電力需給は厳しい状況だからだ。つまり、電力が止まれば経済成長も止まることになる。

【参考資料】

・「将来230基増設の大建設ラッシュ! 「中国原発」で危惧される「3つの不安」」
清水 典之(フリーライター)(SAPIO 2011.5.4/11)

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