中国の軍事態勢拡大が加速する背景には

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 中国の行方が気になる昨今、SAPIO(2011.5.4/11号)の「古森義久ワシントン報告「アメリカの中国研究」 第1回 核戦力」の記事がヒントになる。

 中国が核兵器実験に成功したのは、東京オリンピックが開催された1964年。現在、アメリカやロシアなど公式の核保有国が大幅に核兵器を削減する中、中国だけは逆に増強しているという状況だ。
 しかも、中国の軍事態勢に多くの不信感があり、それが周辺や世界の国々に不信感を抱かせている。その特徴というのが「秘密性」。アメリカや日本のような民主主義国家と異なり、どんな戦略の下にどんな兵器を開発し、配備するかが公表されることはない。さらに、核拡散防止条約(NPT)が認める公式の核兵器保有国5か国の中でも、中国だけは保有する核弾頭や核ミサイルの数を秘密にしたまま。これは、核保有国の中で唯一核ミサイルの保有数を公表していないということもいえる。
 こうしたことから、世界の核バランスの不確定要素になっているわけだ。

 そんな中国の秘密性もあり、各国はそれぞれに中国の軍事態勢の情報収集・分析を行っている。
 イギリスの国際戦略研究所(IISS)の2010年の報告によると、アメリカなどに届く核弾頭用の大陸間弾道ミサイルを中心とする、中国の長距離戦略核ミサイルは合計90基ほどだと算定している。その他、中距離や短距離の核ミサイルも多数あるという。アメリカ国防総省の同年の発表によると、戦略核、戦術核の全てを含めての中国の核弾頭保有数を計300から400発以上と推定している。
 中国は、核兵器はあくまで究極の防御と抑止が目的であり、最小限の核戦略を保持するだけと宣言している。しかし、増強を続けている背景には、核攻撃を受けたら、必ず報復を加えるという能力を保つことで、相手の核攻撃を抑止するという政策があるからだ。だが、アメリカ側などのミサイル防衛の開発で、命中精度の高い非核の通常戦力で、中国の核戦略を壊滅する能力を高めてきたため、この政策も揺らいでいる。
 さらに、中国は戦時でも核兵器を先には使わないという「核先制不使用」の方針を打ち出しているが、中国の国防大学防務学院長という立場の人民解放軍の朱成虎将軍は、05年7月に「アメリカ軍が台湾有事で中国軍の艦艇や軍用機を通常兵器で攻撃する場合でも中国軍は米本土への核攻撃を正当化できる」と語った。つまり、先に核攻撃を使う可能性を明言したことになる。それに、基本目的は核反撃の能力を保つことで敵の核攻撃を抑止することだが、近年は移動ミサイルや潜水艦搭載ミサイルの増強により中国側の攻撃能力も高くなってきたという。

中国への懸念事項

 中国はアメリカを意識しているといえ、今後の中国の軍事態勢は要注意だといえ、いくつかの注意点が浮かんでくる。
・中国軍首脳は、アメリカ側が自国に核ミサイルを撃ち込まれることへの潜在的な恐怖が強いと考えているという。だから一部でのアメリカ都市を破壊する能力の誇示だけで、米側を抑えられると考えていること
・中国の核ミサイルの一部は、アメリカ以外のロシア、インド、さらには日本までに対する抑止や、攻撃を想定して配備されていること
・中国側が万が一、核攻撃を受けてもアメリカよりも自国の方が、その破壊に耐えることができると考えているという
・中国の長距離ミサイルは、核弾頭と通常弾頭を簡単に切り替えて装備できるような構造をしているため、最悪の事態でのミサイル発射でも相手に核かどうかわからせない可能性があること
といった点が注意すべき点になるという。

 中国の経済の勢いに伴い、軍事態勢の勢いも活発になっている。政治、経済などなど中国の勢いが世界に占める範囲が大きくなり、そこから衝突する場面も増えていくだろう。

【参考資料】

・「古森義久ワシントン報告「アメリカの中国研究」 第1回 核戦力」
古森 義久(ジャーナリスト(SAPIO 2011.5.4/11)

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