福島原発事故の課題~水棺・土壌汚染・ゼオライト・原発の老朽化~

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 福島原子力発電所事故問題が続いている。そして、その事故による被害の影響に対し、多くの人々が疑心暗鬼になっている。そんな中、週刊新潮(4月28日号)で「[ワイド特集]「原発と放射能」 レベル7の機密情報」で気になることがいくつかあった。

 今回の原発事故で工程表(4月17日発表)が出された。工程表については、東京電力は原子炉冷却で放射線量が減少傾向となる状態を「ステップ1」として、3か月。そして、放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられる状態を「ステップ2」として、6か月かかるとした。
 そして、この工程表で注目されたのは、格納容器を上部まで水で満たし、炉心を外側から安定的に冷やす方法として、「水棺」を採用したことだ。現在、福島第1原発1~3号機はメルトダウン(炉心溶融)で原子炉圧力容器に穴が開いたとみられることから、汚染水を浄化して冷却水に再利用する「循環注水冷却」という方式を採る。
 しかし、「水棺」は断念しないとし、漏洩箇所が特定できれば取り組む方針だという。この「水棺」であるが、一つの疑問が出てくるという。容器は6,000~7,400トンの容量があるが、容器を水で満たした後に余震に襲われたら大丈夫だろうか、ということだ。つまり、余震などで揺れると、容器だけではなく、中の水も揺れることになる。容器の揺れに水の揺れも加わるため、容器は耐えられるのか、ということだ。もちろん、耐震設計はしているだろうが、果たして、この水の揺れは耐震設計の範囲内だろうか。

土壌汚染対策問題

 放射性物質の被害にはいろいろあるが、土壌問題もその一つ。
 人間が住むには、積算放射量が年間20ミリシーベルトを下回り、なおかつ除染された土壌を除去することなどが条件としてあげられる。しかし、その汚染された土壌を除去するといっても簡単にはいかない。
・除染のために土を入れ替えても、その汚染された土のやり場に困るという問題が出てくる
・水を流して除染する場合、大量の水が必要になる
・耕運機で土を掘り返して、表面の放射性物質の濃度を薄める方法があるが、放射性物質は雨水などとともに地中に染み込むため、表面より地中の濃度の方が高いこともある
・表面の土と地中の土を混ぜるとしても、かえって濃度が高くなってしまう(この場合、混ぜる前に地中の放射性濃度を測定するなどの対策が必要)
といった対策に対しての問題がある。
 そして、私たちが住む家の除染問題もある。家が汚染されている可能性もあるため、家全体を水などで洗い流す必要がある。その際、除染に伴って新たな対策が必要になってくる。洗浄に使った水は地面に流れるため、地面に流れて汚染させないための対策に必要になってくる。

 放射能除去対策として「ゼオライト」が注目された。ゼオライトはシリカ(二酸化ケイ素)70%、アルミナ(酸化アルミニウム)12%を主成分とし、微細な孔が無数にあいた好物だ。このゼオライトは、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質を吸着する特性を持っている。特にセシウムについては、99%を吸着するため、1979年のスリーマイル島原発事故でも汚染水の処理に使われた。
 このゼオライトだが、従来から池や川の汚染除去に利用されてきており、パウダー状にして水面に撒くと、沈降しながら水中の汚染物質を搦め捕る。ただし、甲状腺癌の発症リスクを高めるという放射性ヨウ素は除去できない。

 最後に原発自体の問題として、原発は設計基準が低かったり、汚染が進んでいたりという事情もあり、被爆線量は古い原子炉だと高く、新しいところだと低いという。
 2009年のデータでは、作業員の年間線量が柏崎刈羽では0.5ミリシーベルトに対し、福島第1では1.4。1971年に運転を開始した福島第1では老朽化が進んでおり、また配管が容器外に出ているタイプの原子炉である点からも、線量の多い理由の一つだという。

 これらのことから、今回の原発事故への対応・解決は、課題は多くあるというのが現状だといえる。放射性物質による汚染は原発周辺だけではなく、風向きなどにより関東や東北にも関わってくる。
 解決が延びれば、被害を増加することから、一刻も早く、具体的な解決の道にのる段階までいってほしいものだ。

【参考資料】

・「[ワイド特集]「原発と放射能 レベル7の機密情報」
(週刊新潮 4月28日)

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