福島第一原発事故とチェルノブイリ原発事故

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 福島第一原子力発電所の事故により、原発の脅威が日本中、いや世界中で騒がれるようになった。そして、日本政府は、福島第一原発は国際的な原子力施設事故の評価尺度INESで、チェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」とした。
 それでは果たして「レベル7」は妥当なのだろうか。

 Newsweek(2011.4.27号)の「「フクシマ」はチェルノブイリか」の記事で、福島第1原発事故とチェルノブイリ原発事故の比較が述べられていた。
 1986年4月、「レベル7」と認定される最悪の事故である、チェルノブイリ原発事故が発生した。このチェルノブイリ原発事故と今回の福島第一原発事故を比較すると、
・放射性物質放出量では、チェルノブイリが約520万テラベクレル、ヨウ素131換算で福島第一では63万テラベクレル(原子力安全委員会による)・37万テラベクレル(原子力安全・保安院の試算)
・チェルノブイリは原子炉自体が大爆発し、激しい黒鉛火災が続き、放射性物質が空高く吹き上がり、一帯に飛び散ることになった。結果、放射性物質を北半球全域にまき散らした。福島第一では全ての原子炉が地震で停止し、原子炉圧力容器自体が爆発することはなかった
・チェルノブイリでは原子炉1基だった。福島第一は1号機から4号機までが全て事故を起こした
・チェルノブイリは爆発後の消火活動で10日後には、放射性物質の漏出は終わった。福島第一では未だに1時間当たり1テラベクレルの漏出が続いているとされる
・チェルノブイリでは「石棺」と呼ばれるコンクリート製建物で原子炉を覆うしか方法がなかったが、福島第一では冷却系の復活の可能性がある
といった具合だ。

福島第一原発の懸念すべき点

 さらに、福島第一の懸念すべき点を挙げていくと、
・地震発生時、4つの原子炉にあった放射性物質の総量は6億6,000万テラベクレル。東京電力によれば、地震当時1号機から6号機にあった核燃料の放射性物質の総計は7億2,000万テラベクレルで、1カ月後には半減期が過ぎたことで1億5,000万テラベクレルに減少していることから、1~4号機の放射性物質も大きく減少しているとみられるが、大量に残っていることには変わりない
・1時間当たり1テラベクレルの漏出が続くのが数年続くとすれば、年1万テラベクレル近い放射性物質の放出が続くことになり、毎年レベル5か6の事故が1件起きる計算になる
といったことが挙げられる。

 今後の対策は
・現在1号機から4号機に残されている大量の放射性物質をまき散らさないこと
・作業の邪魔になっている高濃度汚染水を除去し、冷却系統を復活させて原子炉内を100度以下の温度に下げる「冷温停止」に持ち込むこと
というのが、チェルノブイリ超えを防ぐ道だという。

 「レベル7」と評価されたのは、国際原子力機関(IAEA)とOECD(経済協力開発機構)のINESがレベル7を「ヨウ素131で数万テラベクレル以上の外部放出」と定義しているからだが、INESの評価マニュアルは軽度の事故は、様々な角度から事象を分析してレベルを評価するが、深刻な事故ほど評価方法が大まかになるという懸念事項がある。
 今後は、どのくらい人口密度の地域にどれくらいの範囲で広がったかなど、そういう情報を加えて評価すべきだという声が出ている。

【参考資料】
・「「フクシマ」はチェルノブイリか」
長岡 義博(本誌記者)(Newsweek 2011.4.27)

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