これからのエネルギー対策

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 環境配慮型という観点から、原子力発電によるエネルギー供給が注目を集めてきた。小さな原料から大きなエネルギーを供給することができる原発だが、デメリットも存在する。事故やトラブルが発生すれば、放射性物質などの拡散といった深刻な問題を引き起こす。現にトラブルが現実のものとなり、チェルノブイリ原発事故やスリーマイル原発事故が挙げられる。そして3月11日、日本で発生した東日本大震災では、福島第1原発の事故が現在、深刻な状況だ。
 この3月11日の福島第1原発事故がきっかけとなり現在、世界でエネルギー問題が活発に議論されている。そして、原発推進に対しブレーキをかけた国も多くある。そんな中、日本では原発政策に対し、厳しくなった。日本の電力事情は、原発が約3割を担っている。全原発を停止しても、火力や水力などでフォローできるといった声もあるが、果たしたどうなのだろうか。
 今後、原発や火力に替わるエネルギーについて、多くの議論が巻き起こるだろう。

 SPA!(2011.4.26号)の「意外とスゴイ![純国産エネルギー]の実力」の記事が参考になる。原発に替わるもの。これまでその代替えとして、注目されていたものとして、太陽光、風力といった技術が注目されていた。それらをうまく活用するヒントとして、大きく分けて、洋上風力、波力、地熱が注目される。

 世界各国では風力発電に力を入れている。2010年末には世界の風力発電設備容量は1億9,439万キロワットに達し、過去13年間の平均成長率は28%。風力発電への投資は全発電施設の新規投資の5分の1を占め、5兆円産業となっているという。
 実はこの風力に関して、日本は大きな可能性を持っている。07年の関東地方沿岸部での洋上風力の賦存量(理論的に道幹出された資源の量)は、関東沿岸から50kmの全海域を対象とした場合の総資源量は年間1時間当たり2,870億キロワット(287テラワット)。これは05年の東京電力の年間販売量とほぼ同じ。つまり、太平洋沿岸は風況が良く、大規模洋上風力発電施設は大きな可能性を秘めているという。
 さらに、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の調査によると、
①年平均風速1秒当たり7m以上、海岸から30km以内、水深200mまでの海域での風力資源量は12億キロワットになる
②①のうち、水深50mの海域の5%に着床式(海底から直接立てる形)で風力発電施設をつくった場合、1,000万キロワットの設備容量が確保できる
③浮体式(海上に浮かべる方式)で水深200m海域の3%に風車をつくった場合、3,600万キロワット。これは洋上風力発電の設備利用率30%から換算して、100万キロワットの原発17基分(稼働率80%)の発電量に匹敵する
といった具合で、大きなメリットが見込めるという。他にも、
・陸上では風の強いところでも年平均風速1秒当たり6m程度であるのに対し、洋上では1秒当たり7.5m。これは発電量に換算すると、洋上は陸上の2倍で発電コストはほぼ同じ。
・洋上では障害物もなく、風が安定的に得られる
・洋上風力は、景観や騒音等を気にしなくてもいい
・大型風車の運搬や設置が容易
といったメリットも。さらに、台風・地震・津波など様々な災害に耐えるための設計指針を07年、10年にまとめた以来、台風で破壊された風車はなく、今回の大震災でもほとんど被害はなかったという。
 課題は、陸上の風力発電所に比べて、洋上風力発電所の建設コストが高い。着床式で1.5倍、浮体式で2倍のコストがかかること。そして、日本には風力資源も技術もあるが、国の目標と支援策が課題だということだ。

 波のエネルギーを活用した波力発電も注目だ。世界が向ける波力への目は、再生可能エネルギーとして注目され、100を超えるプロジェクトが進行中だという、米国をはじめ、英国、ポルトガル、オーストラリアなどの積極的な国は、様々な助成・優遇措置を設けて産業を育成しようとしている。欧州再生エネルギー評議会は、波力発電導入量を20年には50億キロワット(5テラワット)と試算している。
 この波力も、日本には大きな潜在力があるという。日本は世界6位の領海・排他的経済水域(EEZ)があるため、日本の沖合の波パワーの賦存量は3億キロワット以上という。最近の先進的な波力発電装置のエネルギー変換効率は30%程度で、3%を利用すれば3,000万キロワット以上の波力発電設備を設置することができるという。
 この波力の魅力は、
・エネルギー密度は太陽のおよそ20倍、風のおよそ4倍とされるため、波力発電施設は設置面積が少ない
・洋上風力発電の隙間を埋めるように発電設備を設置するなど、他の海洋エネルギーと組み合わせられるという経済的利点
といったメリットがある。

 他にも注目されるエネルギーが地熱発電だ。世界の地熱発電の設備容量は右肩上がりの状況で、世界の注目度も高い。各国の設備容量は、
・米国では過去5年間に53万キロワット増加し、昨年は約309万キロワット
・インドネシアでは5年間で40万キロワット増加し、昨年は約120万キロワットと、1.5倍に増加
・メキシコ、ニュージーランドなどでも大幅増加
といった具合だ。さらに、アイスランドでは20年前から脱化石燃料社会を宣言し、クリーンエネルギーの導入に力を入れてきた。その結果、総発電量のうち約3割が地熱発電によるものとなっている。
 この地熱発電、日本の環境に適しているという。日本は世界の三大地熱資源保有国の一つとされる。地熱資源量は火山の個数に比例する。米国、インドネシアについで、日本には活火山が119ある(世界3位)。つまり、2,347万キロワット分もの地熱資源があるという。
 さらに、世界の地熱市場に占める日本製タービンのシェアは極めて高く、富士電機、三菱重工、東芝の3社の合計で、市場全体の約7割を占め、地面を掘る堀削技術、地下の高温の蒸気や熱水を探し当てる技術など、地熱発電関連技術も日本は世界トップクラスだという。
 こうしたメリットが日本の環境にあるが、昨年の日本の発電設備容量は約54キロワットと、まだまだ発展の途中だといえる。

 太陽光発電は、国内の累積導入量は09年に前年比28%増加し、電力各社も大規模太陽光発電所の建設に乗り出し、20年までに計14万キロワットが導入されるという。NEDOの予測によると、30年までに最大1億3,300万キロワットまで設備容量が拡大するという。
 これらのエネルギー資源が世界でも日本でも少しずつ注目され、今後のエネルギー問題の光となるかもしれない。
 この他にも、
・太陽光を鏡などで集めてつくった高温で、水などを蒸発させ、蒸気タービンを回転させて発電する「太陽熱発電」
・日本の森林を活かした、次世代エネルギーとしてのバイオマス(生物資源)。現在319万キロワットの設備容量のうち、生ゴミや家畜などのし尿を発酵させてのバイオガスや、建築廃材や木質ペレットなどを燃やしての発電
・海水からマグネシウムを取り出し、それを燃やして発電。そして、残った酸化マグネシウムを太陽光レーザーでマグネシウムと酸素に分解、燃料として再利用するという「マグネシウム発電」。これは、究極のエネルギーリサイクルで、無尽蔵にある太陽光エネルギーを利用し、資源を循環させるという技術。さらに、製錬、利用、リサイクル全ての過程で温室効果ガスを排出しないというメリットもある
・音や揺れのエネルギーで発電する「音力・振動力発電」
といった技術も少しずつ動き出しているという。

 東日本大震災での原発事故により、原発への目は非常に厳しいものになっている。そんな中、原発持続と原発廃止の2つの流れに分かれている。主に、新興国では経済発展の流れの影響もあり、原発政策が止めにくい環境もある。
 原発に替わるエネルギー源を求め、様々な取り組みが展開されている。

【参考資料】
・「意外とスゴイ![純国産エネルギー]の実力」
(SPA! 2011.4.26)

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