原子力発電のトラブルの深刻シナリオ

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 3月11日14時46分、東北地方太平洋沖地震が発生。地震大国・日本ということで、これまで地震対策など行ってきたが、それでも今回の地震の影響は凄まじいものだった。地震の規模を示すマグニチュードは8.3から8.4へ、そして、最終的に9.0までになった。
 その影響は果たしてどのくらい深刻なのだろうか。DAYS JAPAN(2011.5号)の「特集 暴走する原発」で深刻な状況が語られている。

 ここ20年ほどの間に起こったことをまとめると、新潟で中越地震と中越沖地震が起こり、三宅島の噴火が起こり、富士山周辺でも地震が起こり始めた。それから駿河湾地震が起こり、阪神淡路大震災、そして川内地震、雲仙普賢岳の大噴火、桜島の噴火、最後に今年1月の新燃岳の大噴火である。
 国土地理院が1998年に調べた地殻の変動を示した図によると、日本列島全体(沖縄も含める)が動いているという。実は、2000年6月から駿河湾の浜岡原子力発電所がある、御前崎方向の全てで急に動き出したという。掛川も浜名湖のかなり名古屋に近い方も、長野県南信濃の飯田ぐらいまで、同じ時期から一斉に動き始めた。これは、小笠原諸島の方からの力がかかっているということで、つまり太平洋プレートが大きく動き出しているということだ。
 地球上の最大のプレートで、なおかつ最も早く動く太平洋プレートが、1,000kmの深さで日本列島に入っている。今回、太平洋プレートが動き、ひずみが起こっていることから、他にも連動して動くことが考えられるという。これは、ニュージーランドで10年にマグニチュード7の地震が発生した後の11年に、マグニチュード6.3の地震が起こったことからもいえるだろう。さらにそれと連動して、チリ沖の巨大地震が起こった。日本の今回の地震も同じことが考えられ、余震がしばらく続くことや、他の地域の地震が発生するといったことが考えられている。
 静岡でも地震があったが、今回動いた太平洋プレートはフィリピン海プレートの下に入り、その場所が今度の地震で大変な刺激を受けているだろう。つまり、隣にあるのは駿河湾で、もう一つの怖い東海地震が懸念されるということだ。

原発事故の流れ

 そして、今回の東日本大震災の被害は、地震だけではなく津波による被害が起こり、さらに福島原発が炉心溶融という事故にまで発展した。日本には54基の原発が存在するが、福島原発の事故により、これらの原発に対する不安が高まっている。
 今回の場合、原発の被害は揺れではなく、津波によるものだった。原発の津波対策は5mだったが津波の大きさを見ると、明治三陸地震の津波で38mあった。今回は東北地方の津波は15m、遡上高さで20m。明治時代にも38mの津波があったという。
 3月11日14時46分に地震が起こり、原発の交流電源が全てなくなった。しかも非常用ディーゼル発電機も津波を被り、使用不能になった。その前にオイルタンクが津波で抽出し、配電系統が津波で使えなくなった。
 今回、大きな問題となったのは、非常用ディーゼル発電機が使用不能になったことだ。原発は電源がないため、原子炉の水位が下がり始めた。こうした場合、原子炉隔離時冷却系が働くことになっている。緊急炉心冷却装置(ECCS)の一種で電源が全部なくなった場合を想定している。この仕組みは、蒸気と危険な熱が出ると、その熱を逆利用し、タービンを回してポンプを動かすという非常用のもの。ちなみに、こういう時の非常用バッテリーは8時間くらいしかもたない。
 そして、冷却できない状態で炉心が猛烈に沸騰し、蒸気が格納容器に流れ、炉心から出ていく。それと同時に水素ガスも出る。水素は4.2%になったら爆発する。その爆発を防ぐため、放射性物質とともに外部に放出された。事故直後から大量に放射性物質は出ており、現在も放射性物質は出ており、その結果、野菜や原乳から放射性物質が出てくることになった。

 食生活の影響はどこまで深刻なのだろうか。
 放射性物質が出ていることから、周辺地域の土壌汚染も始まっている。降り積もった放射性物質は海に大量に流れ、川にも流れる。そこで、影響するのが空気や食べ物、飲料水だ。放射性物質が風に舞って鼻から入れば、呼吸で肺に入り、組織に張り付く。そうなると、細胞のいくつかが癌になる可能性もあり、癌細胞は自然に増殖していくというケースが考えられる。
 さらに懸念されるのが、食物連鎖が起こり、濃縮されていくということだ。長崎に投下した原子爆弾をつくった所で、原子力産業の総本山である、アメリカのハンフォード再処理工場。この工場の前にコロンビア川が流れているが、ここで測定したアメリカの科学者によると、規準として水の放射能の量を1とすると、プランクトンになると2,000倍、魚で1万5,000倍、魚を食べるアヒルで4万倍となるという。つまり、私たちが食べる際は、濃縮されているということだが、果たしてこの真偽はどうなのだろうか。

原発の仕組みと使用済み核燃料の行方

 そもそも原発の仕組みはどうなっているのだろうか。
 ウランが核分裂して、水を沸騰させて蒸気を送り、タービンを回して電気エネルギーに変える。しかし熱が3分の1しか電気にならないため、3分の2の熱を海に捨てる。こうした流れのどこかで熱を奪えなくなると、原子炉の心臓部の炉心と呼ばれるところが、メルトダウンという最悪の事態になる。これが原発事故のメカニズムだ。
 原子炉の心臓部である炉心の下には、槍ぶすまのように制御棒や、いろいろな配線、配管、バルブや計器類メーカーがあるが、1基ずつ全て異なるつくりで、非常に複雑になっている。今回の事故により水素爆発が起き、内部に大変な爆風が起こったことから、配管と配線は相当ダメージを受けているだろう。2号機のサプレッションプールに破損が見つかり、そこから水が抜けていく事態になっているという。つまり、大量の放射性物質を外部に放出したわけだ。
 水素爆発が起こった4号機の使用済み核燃料プールだが、原子炉は1年ほど運転すると、燃料を取り出して交換する。そしてクレーンで移動してプールに保管しておくのだが、問題はここが爆発で被害が出ていることだ。つまり、今度はここから放射性物質が出ることになった。蒸気にはトリチウムなど非常に危険な遺伝子障害を起こす放射性物質が含まれる可能性があるという。

 これまで原発が運転されてきたわけだが、原発から出る使用済み核燃料の問題が残っていた。
 青森県六ヶ所村に再処理工場がある。ここには3,000トンの使用済み核燃料プールがある。日本中にある原子炉の使用済み核燃料は、これまで六ヶ所村に集められてきた。それで、かろうじて日本全国の原発は運転を続けてきたが、もし、六ヶ所村で電源喪失が起こったら深刻な問題になる。ちなみ、ここに80kmの断層が走っている。
 六ヶ所村のプールは3,000トンの容量があるが、今、冷蔵されている使用済み核燃料は2,827トンとほとんど満杯の状態。日本中の原子炉は大体1年で1,000トンぐらい使用済み核燃料が出るという。平常時からこの問題は残っていた。

 そして、原発の建物についてだが、大爆発を想定し、放射性物質の大量飛散を食い止めるには、チェルノブイリのようにコンクリートの石棺で覆うことになる。原子炉建屋は、地震を想定して天井が薄くなっている。つまり、天井が落ちても原子炉が壊れないようになっている。水素爆発で側壁も吹っ飛ぶような簡単なつくりとなっている。
 アメリカの「憂慮する科学者連盟」は、「今回のようなメルトダウン事故では、この福島第1原発のMARKⅠ型原子炉と呼ばれている格納容器は、異常なほど壊れやすい」と訴えてきた。
 ちなみに、原子力の総本山といえるサンディア国立研究所の最近の研究によると、こういうケースで末期的な現象に至る確率は42%と非常に高いという。

 福島原発の事故の終息が一刻も早く、解決する道筋を見つけてほしいものだ。

【参考記事】
・「特集 暴走する原発」
広瀬 隆(DAYS JAPAN 2011.5)

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