クラスター爆弾禁止への流れはどうなったのか(上)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 地雷のように、戦争や紛争が終わっても地域に不安を残す、クラスター爆弾の不発弾。この不発弾が市民を殺傷しているクラスター爆弾の廃絶に向けたクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)第1回締約国会議が、2010年11月9日から12日までラオスの首都ビエンチャンで開催され、廃棄の「加速」をうたったビエンチャン宣言や、発効から1年以内に不発弾処理を開始する目標を定めた行動計画を採択した。
 努力目標ながら「1年以内」と期限を設定し、被害国には不発弾の除去活動計画の実行を、保有国には具体的な廃棄計画の策定などを求めた。さらに、新たに「同爆弾の危険を知らせる教育」という表現が加えられた。特に被害者支援や被害国の不発弾の除去に関しては、行動計画で提示された66項目のうち、21項目を割き、加盟国が積極的に支援していくことも明記。締約国会議に被害者支援や、除去・廃棄技術の調整機能を持たせ、加盟国間で不平等が起こらないように配慮する内容となった。

 ようやくクラスター爆弾問題が動き出そうとしている。しかし、状況はまだまだ深刻で、ここからが大変だ。
 非政府組織(NGO)「クラスター爆弾連合」によると、クラスター爆弾による死傷者が最大8万5,000人にのぼるという。従来のNGOの調査では最大約6万5,000人とされており、被害がより深刻な実態がわかった。しかも、同爆弾が使われた少なくとも39か国・地域のうち約4分の1の9か国で除去作業が行われていなかったという。
 死傷者の確定数は1万6,816人だが、潜在的被害が多く5万8,000人から最大8万5,000人にのぼるという。09年は10か国・地域で100人が死傷。
 オスロ条約の10年8月の発効後も74か国がクラスター爆弾を保有し、子爆弾は10億発を超える。これまで15か国がクラスター爆弾を使用したとされてきたが、調査では少なくとも18か国が使ったことがわかった。さらに、17か国で生産が続いている。
 そうした中、8年以内の廃棄を定めるオスロ条約発効を機に20か国が廃棄に取り組み、うち6か国が完了。16か国が製造への投資を禁止する意向だ。

不発弾問題が深刻なラオス

 落とされた爆弾の数が人口比で最も多い国がラオス。1953年の独立後、米国とソ連が介入して激戦が繰り広げられたベトナム戦争に巻き込まれ、20年以上にもわたって激しい内戦が続いた。ベトナム戦争で米軍により投下されたクラスター爆弾で09年に33人が死傷するなど、戦後35年たっても不発弾に苦しめられている。
 そのラオスで、米政府に対して不発弾撤去や被害者補償への本格的な取り組みを求める声が高まっている。内戦中、米軍は各地で大量の爆弾を投下。米軍のB52爆撃機が平均8分の1回の頻度で爆弾を投下したという報告もある。しかも投下されたクラスター爆弾の約30%は不発弾だったという。
 ラオスでは少なくとも2万人が不発弾の犠牲になって命を落としたという。不発弾の撤去作業は今も行われているものの、現在の作業ペースだと後3,000年かかるという推計もある。
 10年6月、ベトナムでは米国主導のもと、不発弾の撤去などに今後3億ドル(約250億円)を充てる計画が示された。それに対して、ラオス国内での不発弾処理に関しては、10年690万ドル、11年700万ドルと桁違いに少ない。また、犠牲者への補償金に関しては、米国は事実上1ドルも支払っていない。
 ラオスのシェンクワン県では、各国の民間団体が支援して結成した不発弾被害者の治療費を負担する組織があり、09年からは日本の「難民を助ける会」も治療費に加わった。だが被害者や家族の生活費まで支援する枠組みはない。ラオス政府の不発弾対策組織「UXO(不発弾)ラオ」のシェンクワン事務所は、日本の元自衛官が中心となって組織する「日本地雷処理を支援する会」(JMAS)の技術指導を受けて除去作業を進めている。
県内では不発弾事故が毎年50件起き、約20人が死亡、約30人が負傷している。不発弾のうち約6割がクラスター爆弾だという。94年からの16年間で除去が終了し、安全が確認されたのは全県の0.4%に過ぎない。米国は爆撃地点の資料を提供しているが、資料にないところからも不発弾が発見されるという。
 こうしたことから、不発弾除去が進まず、同国に重い足かせになっている。

(つづく)

<ピックアップ記事>

・「クラスター爆弾」/The only one earth

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)