マスコミの明暗(4)

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 技術は日々、進化しているわけだが、その技術をうまく活用して、いろいろな方面に影響を与えている。
 そして、それはマスメディアにも大きな影響を与えている。

 その技術の活用、発想により、マスメディアは進化するのだろうか。
 その活用、発想によって、既存のメディアが苦戦を強いられているのも事実。しかし、回りだした歯車を止めるのは難しい。

 いかにして、発展させるのか、これからが注目である。

「地上波とケーブル×ネットが融合して」

 「視聴者の高齢化が進む中、地上波テレビのニュースはニュース専門ケーブルテレビ局やインターネットの攻勢にさらされている」。

 「ピュー・リサーチセンターはアメリカのマスメディアの現況についてのリポートで、3大ネットワークが直面する課題を『広告のニュース離れ』と評した」。「地上波テレビのニュース番組が長年高い利益を上げてきたのは、これが多くのアメリカ人にとって唯一のニュース源だったからだ」。「だが今は違う」。「視聴者は高齢化している上に関心がばらばらで、企業にとって魅力的な広告ターゲットではない」。
 「テレビのニュース冬の時代は80年代の前半、24時間放送のケーブルテレビの登場とともに始まった」。「夕方まで待たなくても、いつでもニュースを見られるようになったのだ」。「追い打ちをかけたのがインターネットだ」。「パソコンさえあれば、事件発生と同時にニュースは流れてくる」。「それもテレビ局の押し付けではなく、自分たちが見たいと思うニュースを見られる」。

 「3大ネットワークの夕方のニュースを見ている人は現在2500万人で、平均年齢は60歳を少し超えたくらい」。「かつてはテレビ局のドル箱だったが、今もニュース番組から利益を上げているのはNBCだけとみられる」。
 「時代の変化に最も素早く対応したのは、ニュースの専門ケーブル局を立ち上げたNBCだろう」。「経済ニュースを扱うNBCと、政治を中心とした従来型のニュースを放送するMSNBCの2局は、親会社であるNBCユニバーサルに大きな利益をもたらした」。
 「NBCの朝の番組『トゥデー』と夕方の『ナイトリー・ニュース』、それにMSNBCの番組とそのウェブサイトのコンテンツを制作しているNBCニューズ」は2008年、「推計で4億ドルの利益を上げた」。「ケーブル局とネットの両方で地歩を築いたおかげで、NBCニューズは中核事業であるニュース制作から最大限の利益を上げることができるようになった」。
 「NBCの人気キャスターやリポーターは全ての媒体に定期的に登場する」。「大きな事件が起きた場合、地上波の番組を中断しなくてもケーブル局やネットで報道できる」。「時間的な制約があってテレビ放映できなかったニュースはネットで流す」。

 「テレビニュースの本格的な再編が進んでいる」。「各局共に自ら変化することで、新メディアの攻勢に立ち向かう道を選んだわけだが、まだまだ新しいビジネスモデルが確立されたとは言えない」。
 「大抵の見方では、そのうちアメリカではネットがケーブルテレビに取って代わるあらゆるニュースがネットで配信される時代が来るというわけだ」。

<参考資料>
・「地上波+ケーブル×ネット=?」
フィリップ・デルブス・ブロートン(ジャーナリスト/Newsweek 2009.9.16)

「ネットは本を変えるのか」

 出版業界に、報道業界が危機的状況に陥っている。情報の伝え方がこれまで変化してきたのと同様に、今、変化の真っただ中なのかもしれない。
 そういう中で書籍はどうなってしまうのだろうか。書籍が危機的状況になるとの説もあるが、そうでもないかもしれない。
 「第1に、書籍の在り方は昔から変わっていないわけではなく、実は予想されていた以上に大きな変化を遂げてきた」。「インターネットが普及して執筆のための調査が昔と比較にならないくらい簡単になったことも、そうした変化の1つ」である。「貧しい国に暮らす書き手も先進国の書き手と同じように、インターネット上の多数の資料を利用できるようになり、いわば執筆作業の民主化も進んだ」わけだ。

 「本が一番売れる形式」は、「今のところ、その形式は紙の本かもしれないが、将来はガラスでできた本に変わってもおかしくない」。
 「ウェブ時代が到来して、私たちのものの読み方と学び方が根底から変わりつつある」。「その変化に伴い、私たちが本に求めることも大きく変わるかもしれない」。
 その一つにトゥイッターがあげられる。そのトゥイッターの特徴は「短くて、テンポがよく、ページごとに独立して読めて、外部の情報にリンクがふんだんに張ってあるような文章だ」。
 「ページごとに文章が独立しているので、著者はいつでも好きなときに記述をアップデートでき」、「新しいページを挿入しても、本全体には影響が及ばない」。
 「こういう形式は、トゥイッターのように、歴史が極めて浅く、しかも大きく変化し続けているものをテーマにする場合には極めて有効だ」。

 「ウィキペディアはユーザーが誰でも自由に執筆・編集に参加できるオンライン百科事典」である。「今日のウィキペディア全盛の時代の常識では、重要な情報は(代替可能な形態になってさえいれば)例外なく、いずれは自然に1カ所に集まってくると見なされている」。
 「こうした情報の自己組織化をかつてなく簡単で安価に実現する道を開いたのは、ネット検索エンジンのグーグルだった」。「メタデータ(執筆者名やキーワードなど、データに関する基本データ)関連技術の普及が進めば、このプロセスがさらに効率的に行われるようになるだろう」。
 「このことから、まだ暫定的ではあるが、興味深い結論を2つ出すことができる」。「第1に、代替可能な情報の断片が存在しない(あるいは存在が確認できない)場合、巨大な情報集合体を生み出すのは極めて困難だ」。
 「ウィキペディアの記事の多くが自己組織化するのは、グーグルによって情報の断片を特定し、裏付けることが可能だから」だ。「グーグル上に存在しない情報がウィキペディアにあることはめったにない」という。
 「第2に、自己組織化した情報は通常、中立的で価値判断を含まない」。「情報の価値は自動的に生まれないし、価値の付与はいまだに金の掛かる行為だ」。
 「つまりウェブは情報の自己組織化を容易にしたが、情報を評価するプロセスにはほとんど影響を与えていない」ということだ。

 「さまざまな資料や、ある主張に対する反対論と賛成論、動画や音声、読者のコメントなどへのリンクがたくさん張ってあるウェブの世界は、書籍をオンライン化する場合に学ぶべきことをたくさん教えてくれる」。
 「テキストからリンクをたどって多くの情報をチェックできるようになった」。「そうした技術の進歩に合わせて、出版社は(かつての映画会社と同じように)書籍を出版する新しい形式を考案すべきだ」ろう。

 「ウェブ時代の到来により」、「正反対の影響が生まれて、私たちがこれまで『本』に期待してきた機能をますます求めるようになる可能性はないのか」。「古きよき紙の本に対する需要がむしろ高まることはないのか」。
 「無料の情報が増え続ける一方で、膨大な量の情報を評価できなくなりつつある今、情報の価値を知りたいという切望が募っている」。
 「ハウツーを教えるテクノロジー関連の書籍なら、有効かもしれない」。
 それでは「オンライン上で情報がただで手に入るのに、引用の集積(ノンフィクションは大抵そうだ)に20ドル払う人がいるのはなぜか」。「各種の引用情報を有意義かつ読みやすい形にまとめる技術に、付加価値を見いだすからだ」。「著者や読者が参照できる資料が増えるなか、情報を寄せ集めるだけでなく総合するプロセスへの評価が高まる」。
 「優れた書籍とは、ある枠の中で完成された知的生産物だ」。「自動アップデートを繰り返す無限の存在ではないし、参照という行為に中断されるべきものでもない」。「脚注に付いている資料を参照しない限り次のページへ進めないなら、それは情報の統合に失敗した書籍ということになる」。
 そこで「既存の膨大な情報を要約して総合し、読みやすい書籍に仕上げる才能が問われる」。

 「文化は比較基準が存在しなければ進歩しないということだ」。「そして書籍は昔から、時代の思想の流れをまとめて、次の時代の基盤を用意する機能を果たしてきた」。
 「何世紀もの長い歴史を持つ紙の書籍という形式はもはや存続不可能であり、電脳空間にふさわしい新しい形式をつくり出すべき」だろう。

<参考資料>
・「ネットは本を変えるのか」
エフゲニー・モロゾフ(米ジョージタウン大学外交研究所客員研究員/Newsweek 2009.11.18)

「マードックとグーグルが」

 金融危機の影響もあり「大手活字メディアが苦境に瀕している」。「この10年というもの、ロサンゼルス・タイムズやワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズといった大手新聞や、雑誌の多くはインターネット上で記事を無料で公開してきた」。
 「ロサンゼルス・タイムズは経営不振にあえぎ、ワシントン・ポストは首都圏以外の国内支局を閉鎖」。「ニューヨーク・タイムズは編集部門の人員を約100人削減した(08年にも同様のリストラを行っている)」。

 そこで、「メディア王ルパード・マードック」が注目される。
 「マードックはここ数ヵ月、ネットでニュースを無料閲覧できる現状を強く批判してきた」。「マードックは傘下メディアの記事に関してグーグル経由での検索・閲覧を禁じたいという意向を表明」。
 「これに対してブロガーらは情報の無料化は時代の流れだと反発している」。「だがマードックが言っていることを時代遅れの頑固者のたわ言と一笑に付すわけにはいかない」。「腕利きの実業家である彼なら、情報の無料化というトレンドに流されてきた新聞業界に活を入れられるかもしれない」。

<参考資料>
・「マードックがグーグルと絶縁する」
(Newsweek 2010.1.13)

「誰でも作れる日がいつかやってくる」

 インターネットやパソコンなどの発達により、簡単に自分の主張が公開できるようになった。しかし、その反面、問題となる出来事も生じている。
 「AP通信は09年4月、インターネットでの記事の無断転載に法的手段で対抗すると表明」。

 そして、金融危機の影響によるメディアの苦境対策も。
 アメリカでは「政府による救済も議論され始めた」。「3月にベンジャミン・カーディン上院議員が提出した『新聞再活性化法案』は、新聞社を教会や学校と同じ公的存在と位置付け、税の減免や寄付金への非課税をうたっている」。「非営利団体とすることで生き残りの道を与える案だが、政府を批判しにくくなるのではないかといった反対論に当然のことながらさらされている」。

<参考資料>
・「新聞が誰でも作れる製品になる日」
(Newsweek 2009.9.16)

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