マスコミの明暗(2)

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 現在でも大きな影響力を持つマスメディア。
 そのマスメディアは厳しい状況であるが、マスメディア自身の働きにも、マスメディア自身にも厳しい現実が突きつけられている。
 マスメディアへの懸念が取りざたにされ、マスメディア自身が岐路に立っている。

「ジャーナリストに危険な国」

 「エリツィン氏が台頭してソビエト連邦が崩壊した1990年代初めは、ロシア・ジャーナリズムの黄金期だった」。「大衆は新聞スタンドに行列を作り、ジャーナリストを信頼し、多くが議員に選ばれもした」。
 「しかし、エリツィン氏が退任する90年代終わりには、既に冬の時代に入りつつあった」。「報道の自由が縮小されたこともあったが、経済の急速な悪化により発行部数が急減したことから新聞社の経営が苦しくなり、次第にプーチン政権に利用されるようになっていったのである」。「多くのメディアが一部の大金持ちに買収され、クレムリンに都合のよい記事を書くジャーナリストだけが生き残れる暗黒時代が訪れたのである」。
 その1つの例がイズベスチアである。「イズベスチアは独立系の新聞で、1990年代には大きな影響力を持っていた」。「かつてはエリツィン元大統領がゴルバチョフ政権を倒す原動力にもなり、第一次チェチェン紛争を批判した数少ないメディアでもあった」。
 しかし今日、同紙は「プーチン首相の古き友人が株を持ち、プーチン氏の言いなりの記事を載せている」。「イズベスチアは、ロシア・ジャーナリズム崩壊の象徴になってしまった」。

 ロシア・ジャーナリズムは危機的状況である。「ロシアのジャーナリストたちは、脅し、襲撃、そして殺人さえ恐れなくてはならない」。「これまで20人ほどのジャーナリストが暗殺されている」。
 「それでも危険を冒して調査報道を続けるジャーナリストたちはいるが、そのようなレポートを載せる新聞や雑誌はコントロールされてしまう」のだ。

インターネットが道を開くかも

 しかし、明るい兆候もある。「急速に発達しているオンラインによる報道は、クレムリンの手が回りに」くく、「ウェブサイトを使った報道に対し、政府の支配下にあるテレビ局が対抗しようとしても、なかなかうまくいっていない」。
 「2007年時点でも、ロシア人の約25%がインターネットを利用しており、かつては反政府系の新聞しか扱わなかった軍の乱用やチェチェン紛争、崩壊した健康保険システムに関する記事は、新しいメディアでは頻繁に扱われている」というのだ。

 ただし、インターネットという扉が開き、新たな道が開いたわけだが、安心してはいられない。そのインターネットでも監視体制を強化させている中国という例もあるからだ。

<参考資料>
・メディアを裁く! 第195回 CJR 特約
「暗殺さえいとわぬ ロシアのジャーナリスト弾圧」
(SAPIO 2010.3.31)

「民主化したのにメディアへの攻撃」

 「世論調査機関ラティノバロメトロによると、独裁政権よりも民主制を支持する国民は5年前の54%から57%に上昇した」という。

 しかし、民主性を悪い形で利用しようとする場合がある。「高い支持率をバックにした支配者は民主的プロセスを逆手に取り、国民投票を呼び掛けて憲法改正や制度の変更を計画」。「そしてメディアを攻撃し続けている」。
 「目的は政権の永続を図り、体制批判をかわし、政敵を脅し、報道への信頼をなくすため」で、「米州新聞協会は最近、この流れは『検閲の新たな領域』だと非難した」。

 「攻撃の先頭に立つのはベネズエラのチャベス大統領だ」。「彼は多くの独立系テレビ局やラジオ局を閉鎖」。「さらに『メディアの犯罪』を阻止する法案を議会に無理やり起草させた」。「しかし『犯罪』の定義が曖昧で、『事実でない意見』を活字にしたり放送したりした報道機関を罰し、『社会の規制』に従わせることができるものだ」。
 「これと似たような言論弾圧の法律が、過去2年間でボリビア、エクアドル、ニカラグアで成立している」。「全て、チャベス率いる左派系9ヵ国から成る米州ボリバル同盟の加盟国だ」。

<参考資料>
・「民主化したのにメディアへの攻撃」
(Newsweek 2009.12.9)

「メディア業界でマイノリティーが減少している理由」

 「メディア業界の人種の多様性をめぐっては、以前から問題視されてきた」。「この業界が白人のエリート階級で占められているため、社会情勢を中立的で客観的な立場から映し出せないのでは、と危惧されてきたのだ」。

 「米国勢調査局によると、アジア系米国人、ラテン系、黒人、ネイティブアメリカンなどのマイノリティーは現在米国の総人口の約3分の1を占め、42年には半数を占めるという」。
 「しかしメディア業界でマイノリティーが占める割合はこれより低い」。「さらに不況の影響で、多くの新聞や雑誌が発行を停止し、マイノリティーの雇用が減っている」という。
 「例えば今年、テレビ局で働くマイノリティーの割合は前年の23.6%から21.8%へと減少」し、「ラジオ局に占める割合も11.8%から8.9%へ減少した」。「マイノリティーのジャーナリストたちの多くが正規雇用されていないことも、彼らが解雇される理由の一つだといえる」。

 「メディア業界における人種的多様性が失われている」。

<参考資料>
・「メディア業界でマイノリティーが減少している理由」
ボストン・グローブ(USA/COURRiER Japon 2010.1)

「政府の顔色をうかがうテレビ局」

 「韓国のテレビは、新聞のように特定の広告主にしばられることなく、報道内容がリベラルだと評価されてきた」。
 「しかし、最近では李明博政権がテレビ局への圧力を強めており、これまでの報道姿勢を維持しづらくなっている」という。「また、人事への介入も少なからずあるため、保守的な幹部が保身に躍起になっているのだ」。

<参考資料>
・「人気MCが突然クビに… 政府の顔色をうかがうテレビ局」
時事IN(韓国/COURRiER Japon 2010.1)

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