環境問題はたえず進んでいる(3)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 地球温暖化の影響は、人々の感じるほどになってきた。
 それに伴い、環境への関心は高まり、環境対策への訴えも活発になってきた。

 環境を良くするためには、どうすべきだろうか。
 その環境対策についての情報は多様にある。多くの情報により、混乱することも多々であるのだ。
 そうした環境対策についての情報のヒントとして、これらのことも頭に入れておきたい。

「環境版「うま過ぎる話」」
ロバーロ・サミュエルソン(本誌コラムニスト/Newsweek 2009.7.15)

 アメリカが環境問題に本格的に取り組み始めたのかもしれない。
 2009年7月現在で「世界、そしてアメリカのエネルギー消費の約8割を占めている化石燃料(石油、石炭、天然ガス)は人為的に発生する二酸化炭素(CO2)の最大の排出源」である。
 「6月26日に米下院が可決した法案では、CO2を主とする温室効果ガスの排出量を05年比で30年までに42%、50年までに83%削減すると定めている」。

 「米エネルギー情報局(EIA)の試算では、30年のアメリカの人口は07年より約25%増えて3億7500万人になり、軽量自動車の数は27%増の2億9400万台になる」。「経済規模は7割も拡大して20兆ドルに達し、エネルギー需要はますます強くなる」という。
 「EIAは、環境保護や再生可能エネルギー利用の拡大も計算に入れている」。「07~30年の間に太陽光発電は18倍、風力発電は6倍になり、新モデルの乗用車や小型トラックの燃費は50%向上する」。「家電製品の消費電力も少なくなる見込みだ」という。「エネルギー価格の上昇も消費量を抑える要因になるだろう」。
 「それでも30年のCO2排出量は推定62億トンで、07年から4%増える」。「太陽光・風力発電は合算しても電力全体の5%しかならない」。
 つまり、「下院の目標を達成するには、排出量を約35億トンに抑えなければならない」。

 「米環境保護局(EPA)の調査では、1世帯当たりの負担は最低年98ドル(政府の補助金で高いエネルギー価格の一部が相殺される前提)」。「1世帯の平均人数が2.5人とすれば、1人1日ざっと11セントの負担になる」。
 「問題は、この試算が現実離れした前提の上に成り立っていること」。「景気循環はまるで度外視」。「経済は常に『完全雇用』状態にある」。「過去の成長率を根拠に将来も堅調な経済成長が続くことを想定しており、大きな変動にも経済はすんなり適応すると見込んでいる」。「化石燃料が高騰すれば、消費者は速やかに使用量を減らし、新しい『クリーンなエネルギー』がどこからともなく現れる…」。
 「発電所や工場が排出するCO2を回収して地下に貯留する削減法はコストが未知数」である。「この技術が商業化に至らなければ、アメリカの電力の5割を担う石炭火力発電所は温室効果ガスの排出を続ける」。「もしくは原子力発電所に転換する必要に迫られる」。
 しかし、「電力不足や停電は経済活動を停滞させ、成長を妨げかねない」。

 「アメリカ経済の化石燃料離れ」が進んでいる。「マサチューセッツ工科大学(MIT)の試算によれば、50年の時点で国内の交通に必要なエネルギーを国産のバイオ燃料で賄うためには『現在の総農地面積を超える200万平方キロの農地』が必要だ」という。「アメリカは食糧の純輸入国になってしまう」。

「エコノミスト」を読み解く そろそろ現実の話をしないか? 33
「本当に温暖化を止めたいならCO2より先に減らすべきもの」
山形浩生(COURRiER Japon 2010.2)

 環境を考える上でも、大きな視点、違った視点は大切である。
 「人為的地球温暖化のうち、二酸化炭素からくるのはたった半分だ」という。「残りはその他各種の源、例えばハイドロフルオロカーボン(HFC)、黒色炭素(すす)、メタン、窒素化合物などによって生じている」。

 「農業が生み出すメタンや窒素化合物は、人為的温暖化の10%ほどを占める」。「そのほとんどはウシやヒツジの腹から出てくる」。「これは、交配プログラムやガスを出しにくい食事で削減できる」。

 「黒色炭素は北極圏やヒマラヤの氷河で大きな問題となる」。「それは雪や氷を溶かし、したがって太陽からの熱を吸収する傾向を高めてしまう」。「これは地球温暖化の要因の8分の1から4分の1を占める」。「何世紀も大気中にとどまる二酸化炭素とはちがって、これは数週間でなくなる」。「だからこの排出を減らせばすぐに違いが出る」という。
 「黒色炭素は、ディーゼルエンジンや、薪やウシの糞を燃やす旧式のストーブから出る」。「発電所や工場からの大規模排出を扱うのに適したメカニズムは、農民たちの調理手段にほとんど影響を及ばさない」。「村民たちに、安くてきれいなストーブを提供すれば、ずっと効果がある」というのだ。
 さらに、「HFC―二酸化炭素の1440倍もの地球温暖化能力を持つ工業用気体―も有力な候補だ」。「CFCと同じく、これはごく少数の産業プロセスで生み出され、その排出を削減するのは安くて簡単だ」。「アメリカ、メキシコ、カナダなどの数ヵ国は、HFCをモントリオール議定書の枠組みで扱うという考え方に賛成を示している」。

 「オゾン層破壊をもたらすクロロフルオロカーボン(CFC)の利用を止めるモントリオール議定書」がある。「モントリオール議定書は1987年に施行され、もともと12年でCFCを半減するのに成功してしまった」。「そして副作用として、地球温暖化にとっても巨大な便益をもたらしている」。「CFCはオゾンを破壊するだけでなく、温室ガスでもあるのだ」。「2007年の調査によれば、モントリオール議定書は二酸化炭素換算で1890億tの排出を削減した」。「京都議定書は100億tほど削減しただけだ」。
 「モントリオール議定書が京都議定書よりうまく機能したのは、問題が手に負える規模で、対象となる気体も性質や出所が似ていたからだ」。

「温暖化対策議論に波紋 米・スイス研究チーム 気温上昇鈍化「原因は水蒸気の減少」」
田中泰義(毎日新聞 2010年1月29日(金))

 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、「20世紀後半の気温は10年当たり0.13度上昇した」という。「00年以降も温室効果ガスは増えているが、気温上昇はほぼ横ばい」。「このため『上昇は人間活動が原因である可能性が90%以上』とするIPCCの分析を疑問視する見解が出ている」という。

 「今世紀に入って地球の気温上昇が鈍化した原因は上空の水蒸気が減少したためとする分析を、米国とスイスの研究チームがまとめた」。
 「研究チームは二酸化炭素(CO2)と同じように温室効果ガスを持つ水蒸気がかかわっていると考え、人工衛星と気球で上級の水蒸気濃度を調べた」。
 「それによると、成層圏(約10~50キロ)の水蒸気が増え、1980年からの20年間の気温上昇率は30%増だった」。「だが、その後の10年間は水蒸気が10%減り、気温上昇率も25%減だった」。「本来0.14度高くなるところを0.10度に鈍化させる効果をもたらした」という。

 「水蒸気は(太陽光をさえぎる)火山噴火と同様、気温の変化に影響を与える」。「しかし、CO2などの排出増がなければ気温上昇は説明できず、IPCCの結論は変わらない」。

「地球を覆い尽くす宇宙ゴミの雲」
フレッド・グタール(サイエンス担当/Newsweek 2009.9.9)

 環境問題は何も地球だけの問題ではない。
 「ロシアが93年に打ち上げたコスモス2251」。「97年、米通信大手モトローラー社のために打ち上げた通信衛星イジジウム33」。2009年「2月10日。現役の人工衛星の衝突」した。
 「コスモスとイリジウムの重量はそれぞれ500キロ以上」。「それが秒速7.5キロで衝突した結果、『宇宙ゴミ(スペース・デビル)』の巨大な雲(デブリ・クラウド)が発生した」。
 「この雲の内部には直径1センチ超の破片が10万個含まれている」。「たった1度の事故で、低地球軌道(高度700~900キロ)の浮遊物体は30%近く増加した」という。

 78年、「当時の有人宇宙船や通信衛星は、使用済みロケットをそのまま捨てていた」。「燃料を使い切らずに捨てる場合も多かった」という。「軌道上で自動的に爆発してデブリを増やすロケットもあった」。「宇宙飛行士がうっかり手放したボルトやレンチもデブリになった」という。
 「特にひどかったのが旧ソ連だ」。「70~80年代、ソ連が米海軍の艦船追跡のために打ち上げた偵察衛星は32基」で、「いずれも動力源として小型の原子炉を搭載していた」。
 「91年にはコスモス1934が廃棄されたコスモス296の破片に衝突」。「96年にはフランスの偵察衛星セリーヌが欧州宇宙機関(ESA)の使用済みのアリアン・ロケットにぶつかった」。「97年にはアメリカの気象衛星が、02年にはロシアの衛星がデブリに衝突した」。
 「05年にはアメリカと中国の使用済みロケット同士が衝突」。「07年にはESAの静止気象衛星メテオサット8とNASAの上層大気観測衛星(UARS)が、それぞれデブリとぶつかった衝撃で軌道から押し出された」。

 「軍事衛星や気象衛星など、政府が運用する衛星も増えている」。「現在、低地球軌道を周回する人工衛星は900基」で、「その1つがデブリにぶつかる可能性は2~3年に1度とみられている」。
 「たとえ人為的な『ゴミのポイ捨て』が完全にストップしても、デブリは今後何百年も増え続ける」という。「デブリ同士が高密度で宇宙空間に存在するため、衝突が連鎖反応的に繰り返され、デブリ・クラウドが加速度的に拡大するという」のだ。

 「シミュレーションの結果、人工衛星同士が衝突すると数百の破片が高速で飛び散るという驚くべき予測」がある。
 「00年までに、人工衛星同士の衝突は他の宇宙空間の事故を上回るペースで増え始める」と予測される。
 「特に心配なのは、小型原子炉を積んだ旧ソ連の人工衛星2基だ」。「国際宇宙ステーション(ISS)も、いつかはデブリ衝突のリスクにさらされる恐れがある」。「地球の引力で、ISSが周回する行動350キロの軌道までデブリが降下し始めているからだ」。
 「専門家の間で『ケスラーシンドローム』と呼ばれるこの事態を回避するため、NASAはヒューストンのジョンソン宇宙センターに軌道デブリ・プログラム局を設置」。
 「同局の地道な努力で、宇宙に進出した国々の『ゴミ捨てマナー』は改善しつつある」。「現在はどの国も使用済みロケットを大気圏に向けて切り離すか、最低でも燃料タンクを空にするようになった」。
 「それでもデブリ・クラウドは拡大し続けた」。「旧ソ連の原子力衛星は、放射性物質の液体金属燃料を宇宙に放出した」。「大気圏への再突入時に燃え尽きることを期待したのだが、実際には硬化して約10万個の金属球になった」。「サイズは地上から探知できないほど小さかったが、他の人工衛星に深刻なダメージを与えるには十分だった」。

 「中国の西昌宇宙センターから中距離ミサイルが発射されたのは07年1月11日」。
 「ミサイルは高度約850キロまで上昇した」。「そこで下段ロケットは大気圏に向けて切り離され、ミサイル本体は廃棄された気象衛星『風雲』に命中」し、「衛星は粉々になった」。
 「10センチ以上の破片は2500個」。「この爆発で低地球軌道上のデブリは約40%増えた」という。
 「中国政府は軍事技術の高さを見せつけたかったのだろうが、結果的には世界で最も無責任な宇宙汚染国として批判を浴びることになった」。「たった1度の人工衛星破壊実験で、それまでの10年間の努力を台無しにしてしまった」。

 「現在、地球の周囲に浮かぶ直径1センチ以上のデブリは推定約75万個」。「そのうち半数は低地球軌道にあり、人工衛星の約半分もここに集中している」。「危機感を募らせたNASAやESA、国連などの関係機関は、デブリから人工衛星を守るさまざまな対策を協議」。
 「例えば人工衛星にシールドを設置するという案」がある。「これは直径1センチ未満のデブリには使えるかもしれないが、それより大きな物体には効果がない」。「もっと有望なのは衛星に障害物の回避機能を持たせる案だが、そのためには余分な燃料が必要になり、衛星の重量が増えて打ち上げコストが高くなる」。

 「米宇宙監視ネットワークは現在、レーダーと世界各地の望遠鏡を組み合わせて5~10センチ以上の物体を監視し、最新の位置情報を定期的に更新している」。「それでもチェックできる物体の数は1万3000個程度にすぎない」。

 「衝突の予測には数百メートルの誤差が生じる可能性が高く、衛星に回避行動を取らせるためには、大量の燃料が必要になる」。
 「例えば中小規模の物体には、地上からレーザー光線を発射して上方の軌道に『押し出す』方法が検討されている(最終的には元の軌道に降下してくるが、その対策は将来の世代に任せる)」。
 「もっと大きな物体に対しては、特殊な宇宙船を飛ばしてデブリを1個ずつ回収し、もっと地球に近い軌道に移すという案が出ている」。「そうすれば、やがて大気圏に再突入して燃え尽きるというわけだ」。「宇宙船から『投げ縄』のような装置を発射してデブリを捕獲し、現在の軌道の外に放り出すというアイデアもある」。
 「いずれにせよ大量のデブリを除去するには、莫大な金額のロケット燃料が必要になる」。

参考記事

・「一人辺りどのくらい出してるかで比べないと・・・」/世界って不思議で面白い事がいっぱい!
・「1990年比25%削減は主要国のCO2削減合意の前提あり。テレビ各局は正しく伝えよ。」/市民新聞
・「90年比25%減には重税と規制、社会主義政策の全てが必要」/温暖化対策
・「エコがエゴになった日」/私は害になりたい。 ~iZa!本家~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)