日本の行方(中)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 失われた10年と語られる混乱する日本は、まだ抜け出せていない状態だろう。
 その日本の現状はどうなっているのだろうか。

 金融危機の影響により、日本の現状は混乱を続けている。

 迷い続けている日本を見つめる。

「「生活保護の年収300万円」は果たして「弱者に厳しい国」だろうか」
本誌編集部(SAPIO 2009.7.8)

 「日本の貧困を示す指標としてよく使われる『経済協力開発機構(OECD)に加盟する国のなかで比較すると、日本の相対貧困率は世界2位』」という。
 この結果だけみると、非常に深刻である。

 この報告書で貧困層が増えたというのはおかしいのではという。。「年収の中央値(データを小さい順に並べたとき、中央に位置する値)を基準に貧困層を判断するこの方法では、所得格差が小さい日本のような国では、どうしても貧困率が高くなってしまうから」だ。
 「最も貧しい下位10%に分類される人々の年間所得を平均した統計(人口5000万人以上の国家に限ったデータ)によると、日本の貧困層の年収は1万2894ドル」。「ルクセンブルク、ノルウェーに告ぐ世界3位の豊かさ」だという。
 データが違えば、こんな逆の結果になってしまう。

 「日本は格差拡大どころか、極貧層を人口の4~5%まで絞り込むことに成功している唯一の先進国」だという。
 しかし、現実に貧困者もいるのだが。
 「医療など福祉レベルでも、日本は高いレベルを維持している」。
 「OECDが発表した『Health Data 2007』によれば、日本の国内総生産(GDP)に占める保健医療支出は8.0%と、先進国30ヵ国中では22位の低さだ」。「WHOの統計によれば、日本人の健康達成度は世界一にランキングされている」。「『少ない医療費で健康を維持できる社会』を支えているのが、日本の医療保険制度」である。
 これは、世界の中ではすごいということか。日本では大問題のことなのだが、これは井戸の中の蛙か。
 「健康・初等教育などを総合的に判断する『子どもの発達指標』(NGOセーブ・ザ・チルドレン調査07年)で日本が137ヵ国中1位になった」という」。さらに「『環境的に住みやすい国』(米リーダーズダイジェスト調査)でも12位、英国BBCの『好感度をもてる国』でも、常時ベスト3入りの日本」。2008年の「『国民の幸福度調査』(米ワールドバリューズサーベイ)では48位」だという。
 すごい結果だ。

 「日本の国民負担率(国民所得に対する租税負担と社会保障負担を合わせた国民負担の比率)は、38.9%。主要国ではアメリカに次ぐ低さ」で、「手厚い福祉政策で知られる北欧の国々の国民負担率は70%前後に達してい」る。「つまり、現在の日本は、それなりの福祉を享受しながら、負担は低くてすむという、相当に恵まれた状態」である。「ただ、その文、次世代にツケが先送りされていること」が問題である。
 つまり、日本の今の状況は結局、次世代にツケを払わせる状況であるということだ。

「基礎的財政収支 赤字 2.5倍の40兆円 今年度 国と地方 財政再建険しく」
(日本経済新聞 2010年2月6日(土))

 日本の財政状況は世界的に見ても、深刻なものだ。
 「基礎的財政収支は毎年の政策に必要な経費を借金に頼らずに、その年の税収などで賄えているかをみる指標」で、「借金に依存すると赤字となる」。

 「内閣府は5日、国と地方の財政がどれだけ健全かを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2009年度の赤字幅が過去最悪の40兆円6千億円になるとの推計値を発表した」。「赤字幅は08年度の16兆円1千億円から2.5倍に膨らんだ」という。
 「09年度の赤字幅が膨らんだのは金融危機に対応するための景気対策で歳出が膨らんだのに加え、税収が急減したのが主因だ」。「名目国内総生産(GDP)に対する赤字の比率も8.6%となり、1999年度の6.0%を上回って過去最悪を記録した」。

 さらに「内閣府は10年度予算案や最新の政府経済見通しをもとに、10年度の国・地方の基礎的財政収支も算出」。「赤字幅は33兆5千億円と09年度からはやや縮小するものの、なお高止まりする」という。
 「日本経済研究センターの試算では、11年度も36兆5千億円の赤字となる見通しだ」という。

「水を飲んで寝るか、乞食か、盗むしかない―そんな「本当の貧困」を想像できない日本人の「幸福」」
曽野綾子(作家/SAPIO 2009.7.8)

 「国家には3種類ある」。「一つ目は政治的国家」。「アメリカや中国、ロシアなど他の国に政治力を及ぼしたいと考える国だ」。「二つ目は経済国家で、経済的繁栄を第一の目的としている国」で、「シンガポールなどは典型だし、スイスあたりもそうかもしれない」。「そして三つ目が技術国家」で、「日本やドイツが当てはまるだろう」。
 「これら三つの国家にあだ名を付けるとすれば、『親分国家』『商人国家』『職人国家』といったところだ」。

 「この日本の職人国家という在り方は大変安定していると思っている」。「なかなか大富豪にはなれないかもしれないけど、きちんとした生活が成り立っている家のような国家だ」。
 メリットは安定、デメリットは大富豪は生まれにくい。
 「だからといってどんな国でも簡単にそうなれるわけではない」。「職人の集団であるためには、まず初歩的な教育の基盤が必要だ」。「国民の多くが読み書きそろばんができなければ親方の指示だって理解できない」。「国民に広く初等教育が行き渡っていることが条件になるわけだが、これは相当難しい」。「そして職人には忍耐と努力を積み重ね、自分の誇りにかけて正しい製品を作るという真面目さがなければならない」。
 これは技術国家の条件ということか。

 「電気が使える人は65億人のうち40億人くらいだと言われているが、その40億人にしても、いつもどこでも使える人は一握りだろう」。
 電気を自由に使えることは、世界では良い暮らしに当たる。

 筆者は昔から『電気のないところに民主主義はない』と言ってきた。「そういう地域では族長支配しか秩序を保つ方法がないからなのだが、つまりそれは民主主義そのものが非常に基調だということでもある」。
 これは一つの見方であるのだろう。民主主義は貴重で、当たり前に感じるかもしれないが。

 「これも南アフリカの話だが、授乳による母子感染でエイズに罹る子供が非常に多いので、私はあるとき医師でもある地元の女性代議士に会った際に『粉ミルクを援助したら感染を防ぐことはできますか』と訊いてみた」。「日本の粉ミルクは『奇跡のミルク』と呼ばれるほどすばらしい配合でできている」という。「生後10ヵ月で5kgとか7kgしかない栄養失調の赤ん坊でも、日本のミルクを飲ませると45日くらいで元に戻ると言われているほどだ」というのだ。
 「その代議士は『援助をもらっても子供は助かりません』と言う」。「なぜならミルクを溶く水が汚れているからで、『エイズを防いでも細菌性の下痢で死にます』と言うのだ」。
 日本のミルクがそこまですごいこと。しかし、その前に水の汚染という深刻な問題があり、エイズを防いでも他の病気の危険性が高いということから、環境の問題が実に深刻である。

 「極端に言えば世界中が泥棒だと疑ってかからなければ本当に必要なところに届く援助などできない」。「事前に調査することはもちろん、事後に本当に援助が計画通りに使われたかどうか監査する覚悟がなければ援助は誰かに盗まれてしまう」というわけだ。
 援助はするだけではなく、届いて、目的にかなう、使い方をされないといけない。しかし、そこまでがうまくいくことが難しい。

OUT LOOK
「天下り法人だけじゃない ETC利権と政権の行方」
斎藤美奈子(DAYS JAPAN 2009.5)

 「3月末からスタートした高速料金の割引制度」。「休日限定、自家用車限定である」条件であるが、環境対策には逆行する制度ともいえる。
 この割引制度により潤うのは「SAやPAなど旧日本道路公団の関連企業だけで、地方経済の活性化に結びつくとはいえない」という。「最大の問題はETC対応車に限定した値引きである点」だという。

 民主党は「高速料金無料化計画」を打ち出している。
 メリットとして「物流コストが下がれば国民の負担が減り内需の拡大が見込める。拘束が生活道路として利用できるため地域経済が活性化する。一般道と高速が同じ条件で使えれば渋滞が緩和されCO2が抑制できる」。といったことなどがあげられる。
 「現在の割引による経済効果は1兆7000億円」で、「無料化による経済効果は7兆8000億円という試算」もある。ちなみに、「現在の割引は2年間限定」。

 ETCに関わってくるのが「道路システム高度化推進機構(ORSE=オルセ)という財団法人」。
 「ETCを利用するには専用のカードと車載器が必要だが、車載器の製造、セットアップ、カード発行、それぞれに『上納金』が発生し、1台につき約700円がオルセに入る」という。「路側のETC専用レーンについても1基約30万円がオルセに流れる仕組み」だという。
 つまり、「高速料金の値下げはETC利権拡大のキャンペーン」ともいえる。
 そのオルセであるが、「国交省や経産省の元官僚が役員に名前を連ねる」という。
 「オルセの役員名簿には常勤・非常勤を含めて16名の名があるが、うち最終官職が明記された元国家公務員は5名だけ」で、「他11名の出身母体や肩書きは公表されていない」という。

 「高速料金が無料になった」としたら、「車載器製造メーカーやカード会社だけ」が困るわけではない。「料金所そのものが不要になるのだから、路側設備の設置運営に関連する企業も団体もすべて予定が狂う」ほどの影響が出るという。
 この「変化は劇的に大きい」ものだという。

参考記事

・「ドバイ・ショックの波紋」/カルナック遺跡
・「経済成長しない日本」/目指そう、経済成長
・「民主党政権で危ない日本経済」/今の日本でホントにいいのか・。・
・「単なるニュースショーに終わった政府の「事業仕分け」と識者の嘘」/書道家ABC版

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)