アメリカの今度の戦略は

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 アメリカのイラク政策は困難を極めている状況である。
 イラクに対するアメリカの行方にしろ、アメリカの世界的な戦略にしろ、注目すべきとことは数多くあるだろう。

 グアンタナモの問題も。

「国家再建を担うプロ軍団」
アダム・クシュナー(Newsweek 2009.4.22)

 当初のイラクの政策は悲惨なものだった。
 「兵員規模はイラクの治安を維持するには、不十分だったし、復興に必要な知識を持つ専門家もいなかった」という。これは極端な例かもしれないが、「そのため重要な仕事が経験の乏しい共和党系の官僚や、連合国暫定当局(CPA)がかき集めた人材に委ねられた。財務の経験ゼロの20代の若者たち(保守系シンクタンクへの就職希望者のなかから適当に選ばれた)が、130億ドルの国家予算の運営や、首都バグダッドの証券取引開設を任された」という。
 その政策の結果は惨憺たる結果を招いた。「各分野の専門家からは批判の声」が吹きだし、「さまざまな分野の専門家を訓練し、紛争地に派遣する制度の必要性にアメリカ政府が気付いたのはこの時」だという。
 そうしたことから、「05年、国務省に『復興および安定化担当調査官事務所』が誕生した」という。

 「08年7月、連邦政府のさまざまな部門から専門家を集めて『文民対応部隊(CRC)』を創設した。CRCはいわば専門家の派遣会社のようなもの」で、「紛争地の政府を支援するためにいつでも専門家を派遣できる体制を整えた」ものだ。
 このCRCがうまく活用されればいいのだが。
 そのCRC待機部隊であるが現在準備中で、「財務省からは金融政策のプロを、国務省からは植物学者…というようにさまざまな人材をそろえ、不測の事態が起きれば即座に必要な専門家を送り込むことができる」というものだ。
 うまく機能すれば効果的かもしれないが、問題点はないのだろうか。
 「CRCは世界のさまざまな地域で不測の事態が発生した場合に備え、具体的な対応策を用意している」という。
 CRCの体制・制度の狙いは、「アメリカが他国の安定化に取り組む際に『柔軟にスムーズに活動できるようにし、適切な技能を持つ文官を確保しておくことだ』。「機能不全国家は冷戦後の世界を特徴付ける大きな問題」である。「確かにこれまでも統治機能が失われた地域はあった」が、「経済が統合され、通信手段や大量破壊兵器の製造技術が共有されるようになった現在は、無政府状態の地域が致命的な問題になり得る」。
 それを「回避する最善の方法が、いつでも現地に飛べる有能な専門家を手元に確保しておくこと」である。
 ただし、機能性を持つ有能な集団でも難しいものであるだろう。

 そのCRCの人員は「専従メンバー250人、待機部隊2000人」で、「2億5000万ドルという予算規模(軍に安定化を任せるよりは安上がりだという)」。

「天才ゲーツの米軍改造大作戦」
ファリード・ザカリア(国際版編集長/Newsweek 2009.4.22)

 アメリカでは「ここ数十年、敵の性格や費用対効果、国防以外の分野の予算は一切無視され、最新の兵器が次々と発注されてきた」。
 常に最新の兵器になることで、軍事的な有利な状況を保ってきた反面、予算面が負担が大きい。
「国防予算の大部分は軍の『欲しいものリスト』に基づいて編成されるが、問題はそのリスクの大部分が冷戦時代に作られた」ということだ。
 それはつまり、時代・ケースに適応していない。

 「米空軍が保有する約135機のF22」が製造されている理由は、「その工場が44州に散らばっているせい」だという。「ゲーツは今回の予算見直しで、F22の追加発注を停止する方針を明らかにした」。
 さらに、「米海軍の『欲しいものリスト』にも切り込み、駆逐艦の発注計画を縮小するとしている」が、「現在11ある空母打撃群(空母1隻を中心とした戦闘艦のグループ)を今後31年間で10に減らす程度」だという。
 ちなみに、「アメリカが現在戦っているイラクとアフガニスタンでは、F22は1機も使用されていない」という。
 「ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、戦闘艦が300隻しかない海軍は『あまりに小規模で危険だ』と懸念」としめしている。

 そうしたことから、ロバート・ゲーツ米国防長官が、「4月6日に明らかにした国防予算の見直し計画は、あらゆる反対派を団結させている」。
 ゲーツの改革は始まったばかり。
 「ゲーツは冷戦後のアメリカの軍事戦略を現在の戦争を基準に見直すという、必要不可欠なプロセスに着手したにすぎない」。しかし、「F22は不要と判断されたにもかかわらず、米空軍はまだ1兆ドルを費やして次世代型戦闘機F35ライトニングⅡを2443機も調達するという」。

 軍事面でスマート化がうたわれる。つまり、「もっとスリムで費用効率の良い軍事力で対応」ができるというわけだ。
 「米海軍は11の空母打撃群を有するが中国はゼロ」。「アメリカの09年度の軍事予算は6550億ドルだが、中国は700億ドル、ロシアは500億ドルにすぎない。アメリカの国防予算の超過額だけでも、中国とロシア、イギリス、フランスの年間軍事予算を足したよりも多い。
 これを見ると、確かにアメリカの軍事面は大きいことがわかるが、スマートにすること、縮小することは妥当なものなのか。

DAYS審査員 特別賞
「イラク 米軍捕虜収容所」
デイビッド・フォースト(DAYS JAPAN 2009.5)

 イラクのグアンタナモだけが問題ではない。
 「アメリカの捕虜収容所は世界各地にあり、グアンタナモはその中で最もよく知られているが、規模としては小さく、最盛期でも数百人が収容されていたに過ぎない。一方、イラク南部にあるキャンプ・ブッカははるかに大規模で、最盛期には2万人が収容されていた」という。「彼らはイラク人や外国人のテロ容疑者で、多国籍軍治安部隊の掃討作戦によって捕らえられた」という。
 「これらの施設は怪しげな法律に擁護されていたばかりでなく、最高度の機密事項として扱われていた」という。

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