日本のマスコミの現状は

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 マスコミの問題が世界中でも問題になっていますが、日本の現実は。

「社員は記者クラブでふんぞり返り 厳しい現場は制作会社に丸投げする 「殿様報道局」」
鵜飼克郎と本誌編集部(SAPIO 2009.5.13)

 「通常の番組だと、1分作るのに1時間の編集作業が必要になる」という。「社外の編集ブースを利用するが、その使用料は1時間で1万5000円が相場で、これに編集機材を動かす編集マンの人件費もかかってくる」。これが、「生放送のニュースなら、単純にこれらの制作費が浮くことになる」。
 労力と費用がかさんでしまう通常の番組に対し、「ニュース映像なら編集作業なども粗くて済む」というわけだ。

 「記者クラブに詰め、政党や関係官庁などを回るのは社員記者の仕事」である。
 しかし、そんな記者の環境も変化してきている。「報道番組に特色を出すために長期密着などの特集もニーズが増している。番組ごとに『特集班』を編成している場合と、番組とは関係なく報道局、とくに社会部で『特集班』と組む場合があるが、実はこれらは制作会社のスタッフが中心となって作っている」という。
 「すでに一部テレビ局の社会部では、特集企画だけでなく、通常の取材現場にも制作会社所属の記者を投入しているところもある」という。

 「政治、経済、事件などの日々の動きを取材するには一定数の記者が必要で、時間と経費もかかる」。つまり、「番組編成に関係なく、報道局にはもともと固定費用がかかっている」わけだ。
 しかし、このことが「予算が削れないなら、取材したニュース素材を使って番組を作った方がオトクという発想」にいきがちになってしまう。
 「以前から夕方のニュース番組では、企画モノは制作会社に外注していたが、本丸の報道すら外部スタッフに丸投げし始めているのが実態」だという。

 制作会社の状況は本当に深刻だ。 
 予算削減の影響で、現場の制作会社は悲鳴をあげている。「かつては取材となると、記者、カメラ、音声の最低でも3人で1チームとなって動くのが常識」であったのだが、今では「ディレクターが1人でハンディカメラを持って取材に行くことが多くなった」という。
 深刻な問題は、そういった状況のため、「カメラを回しながらの取材だと、質問に集中できな」く、「相手への突っ込みが甘くなる」という問題が出てくる。
 さらに、こうした1人の単独行動が多くなることから、「取材のノウハウ、手法の伝承も妨げている」。
 科学技術の発展も厳しい状況を拡大させているのかもしれない。
 「BSやCSでニュース番組が増え、ネタもトレンドから動物ものまで際限なく報道の守備範囲が拡がっている」ことから、「圧倒的に人員が不足」しており、「限られた人員で手分けして取材」することになる。
 その結果、「散り散りになり、先輩記者と行動を共にすることがなく」なり、「先輩のやり方を見て盗んだり、取材手法の伝承ができなくなるなど、マイナス面は計り知れない」。
 制作会社の現場はかなり厳しい状況になっている。「ワイドショーで実績がある制作会社に、人材提供はもちろん、ネタや企画の提案をさせている」のが現状で、「丸投げ企画を多く、制作会社のスタッフはロケハン、取材のアポ取り、取材、編集、放送中の対応などあらゆる仕事をこなしている」という。
 時間の勝負になる報道局であるが、「限られた時間で上から厳しい要求があると、制作会社のスタッフ連中は切羽詰まって週刊誌やネットなどで拾ったネタが出ることも多い」。
 しかも、厳しいのが「統括する社員には経験と知識がないのでその真贋を見破れない」にもかかわらず、「もしそれで問題が起きればトカゲの尻尾切りにあるのは制作会社」だという。

 こうしたことの理由として「コスト削減」があげられるが、これは表向き。
 「年収2000万円台もザラといわれるテレビ局の社員に対し、制作会社のスタッフの年収は400万円前後が多い」というのが現実。
 一方のテレビ局側は「多くの場合、能力に関係なく年次によって自動的にポストが上がっていくので、能力のない者、現場をあまり知らない者ほど現場をあまり知らない者ほど現実離れした指示や命令を出し、現場は混乱し、スタッフの反発を招く」という。

 確かに景気悪化の影響でコスト削減が生じるだろう。しかし、「予算削減という割には、社員記者は記者クラブで油を売っている」という。「それでスクープがあるならまだしも、基本的には新聞社の後追いをしているだけ」だという。「朝刊を読んで、スクープがあればその内容を政党や省庁に確認する、という作業を彼らは“取材”と呼ぶ」という。これは極端な例かもしれないが。
 「テレビの速報性にあぐらをかき、他人のネタで商売をしている」といえば極端かもしれない。しかし、「社員たちはそんなママゴトみたいな仕事だけをしていて、難しい仕事、面倒な仕事は制作会社に投げてくる」わけだ。
 その端的な例が「海外の紛争地帯での取材を見れば視聴者にもわかりやすい」かもしれない。
 「“社員は危ないから行ってはいけない”と、およそジャーナリストとは言えない理由が堂々と通り、現地で取材するのは決まって契約したフリーランサーか現地スタッフ」といった状況である。

 報道が見やすいが変更する可能性が大きくなっている。
 「本来ワイドショーが好むネタを報道番組が扱うことで、お茶の間でも肩肘張らずに見てもらえるという発想」があり、「これが最近の報道番組の傾向」であるという。

「新聞、雑誌を見て東奔西走する今どきの“テレビニュース”の作り方」
本誌編集部(SAPIO 2009.5.13)

 テレビ局の放送規準として「視聴率」があげられる。その「視聴率競争」による影響は大きい。
 「特に夕方のニュースは主婦層が中心」であることから「柔らかいネタは視聴率が上がっていく」。「その後のニュースで視聴率がガクンと下がることもある」。
 ただ、「大きな事件や事故が起きたら関心も高い」ため、「予定の特集を変更してニュースに切り替えるが、普段は主婦層のニーズに応えるため堅いニュースばかりでなくてもいい」ということから、ワイドショー化するという影響が出る。

 「テレビ局には夜が明けぬうちに朝刊が届くが、そこに自局が掴んでいない情報が載っていると、デスクから早朝に電話がかかってきて、朝駆けに行くことになる。事件担当の記者なら朝イチで警察幹部宅に出向いて、新聞記事の情報をもとに当てて、相手が明確に否定しない限りは、大枠で裏取りできたということで、細かな情報を省いた後追い原稿を書く」という。
 「独自情報を探す努力はしているが、情報源が新聞ということは多い」のだという。それだけ、新聞の影響は大きい。

 テレビ局の大きな問題として、「横並び意識が強い」ということがある。
 「他局の昼のニュースを見て、夕方の番組の構成を並び替える」こと、「後追い」はもちろん、逆の場合の自局が「トップに予定していたニュースを他局が扱わなければ外すこと」もあるという。
 さらに、ひどい状態なのが、「共同通信などの通信社に高いカネを払ってニュースの配信契約を結んでいる」から、「記者が書いた原稿を通信社の原稿や夕刊を見ながら書き直すことこと」もあるという。
 「ニュースとしての重みがやや欠けても、映像にインパクトさえあればトップニュースに昇格するという」。
 「特集の企画会議に向けて、外部のリサーチ会社に情報を集めさせるのも日常」になっているという。

 「ある局では報道局全体で社員250人を超えるが、記者は社会部で40人、政治部で20人、経済部で10人と新聞の半分程度に過ぎない」という。

「NHK・総務省の天下り「地デジマフィア」が報道番組の息の根を止める」
清水典之(ジャーナリスト/SAPIO 2009.5.13)

 地デジへの移行が進んでいる現在。地デジの普及対策が盛んになっている。
 「政府自民党は15兆円規模の大型補正予算案に地デジ対策」を組み込み、「省エネ家電への買い替えに際して金額の5%分をポイント還元する方式で、テレビの場合はさらに地デジ推進分として5%、リサイクル料相当分の3%が追加され、計13%還元される」。
 しかし、不況に重なり普及率は低下している。

 地デジを普及するために生じる問題として、「家電メーカーの生産台数には限界があり、デジタル移行という一過性の需要のために、むやみに工場を建てるわけにもいかない」。さらに、「残された使用不能のアナログテレビをどう処理するのかという問題も解決していない」。
 「アンテナ工事の処理能力の問題」もあげられる。「業者のキャパシティから考えれば、これも間に合わない可能性が極めて高い。関東地区では、新東京タワーへの移行で二度手間が生じるという問題もある」という。

 地デジへの移行を強行突破する方向みたいだ。
 「アナログ対応の放送機材はすでに製造が終わり、保守部品を残すのみとなり、続けようにも続けられない状態」であるという。
 しかし、それにより、「もし仮に2割の世帯が取り残されれば、視聴者が2割減ることになる」。これは「単純計算で、民放の広告収入もNHKの受信料も2割減る」ということになる。
 「簡易チューナーやケーブルテレビで対応するにしても、少なくとも1000万世帯は取り残されるのではないか」と「電子情報技術産業協会(JEITA)は予測」。「11年までに普及するデジタルテレビは6115万台で、4000万台近くのアナログテレビが残ると予測」している。

 11年7月24日にデジタルに完全移行するのだが、「2月17日に総務省が発表した調査結果によると、地上デジタル放送の受信機を保有している世帯は49.1%で、いまだに5割に届いていないことが判明」。

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