北朝鮮問題は依然として

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 現在も北朝鮮問題は依然として深刻な状況であります。

 そうした中、アメリカ、中国・・・といった6カ国協議がどうなるか、注視する必要があります。
 それと同時に、これまでの北朝鮮の状況も深く分析する必要もあります。

 地理的にも非常に近い位置にある北朝鮮。頭痛の種であります。

「北朝鮮は孤立していない」
シーグフリード・ヘッカー(ロスアラモス国立研究所/Newsweek 2009.6.10)

 北朝鮮問題は依然として頭痛の種である。
 「06年に行った最初の核実験」では、「実験開始の数時間前に中国に事前通告された実験規模は1キロトンにも満たなかった(長崎に投下された原爆は21キロトン)」。

 しかし、「北朝鮮は07年07月に閉鎖した寧辺の核施設を再稼働。現在は再処理を再開し、使用済み燃料棒から8キロ程度のプルトニウムを抽出する作業を始めた。寧辺での再処理が完了するまでには4~6か月かかりそうだが、今後のプルトニウム抽出のめどが立ったことで今回の核実験が可能になった。追加しなければ北朝鮮が保有するプルトニウム量は4~8個の核爆弾を製造できるだけの26~50キロ程度」であったという。
 今回の実験では、「最新計器による地震観測と実施場所の地質データから割り出した規模は約2~4キロトン。ミサイルに搭載可能な弾頭の小型化へ大きく前進した可能性もある」という。

 北朝鮮の核兵器・ミサイル問題は「よく練られた計画の下で兵器の性能は確実に向上している」ため、実験には「十分に警戒する必要がある」。
 つまり、「核兵器のレベルを質量共に向上させることで『核抑止力』を強化しようとしている」。

 これに加えて、北朝鮮とイランの関係が問題に加わってくる。
 核兵器とミサイルの開発分野で、北朝鮮とイランの技術は「得意分野がずれているので、互いに補い合える。過去の経緯からみて外交面での利害も一致している」ため、両国の協力関係が拡大している。
 「北朝鮮にはウラン濃縮に必要な遠心分離機や技術が不足しているが、イランにはそれがある。北朝鮮にはウラン鉱石からウランを分離・精製するノウハウがあるが、イランにはそれが欠けている。イランが欲しい核実験データもプルトニウム生産技術も北朝鮮は持っている」という。
 「実際、北朝鮮はイランのミサイル開発に関わっている」とされ、「急速にミサイル技術を向上させつつあるイランと、長距離ロケットの発射実験を行った北朝鮮―協力すれば互いに得るものがある」というわけだ。

「世界が知らない金正日の懐事情」
横田孝(本誌記者/Newsweek 2009.6.10)

 CIA(米中央情報局)の試算によれば、北朝鮮の「08年のGDP(国内総生産)は約400億ドル(世界で96位)」だという。「韓国の統計によると北朝鮮経済はこの10年間、平均して毎年約1.5%の成長を記録している」という。同じ統計によると、昨年は2.3%のマイナス成長だったが、韓国の統計は政治的な理由で北の経済を実際より低く見積もる傾向があり、むしろ昨年もプラス成長だったとみるアナリストもいる」という。

 「この1年ほど、中国の支援によりインフラ(社会経済基盤)を向上させ、90年代半ばの洪水で壊滅的打撃を受けた鉱業施設の修復に取り組んできた。今や北朝鮮は鉄鋼業、鉱業、軽工業を原動力に復興期から成長期への移行を目指そうとしている」。

 北朝鮮の状態は「『先軍政治』の下で軍で予算面で優遇されていること」、「北朝鮮の国民所得の最大40%が軍に流れている」という。
 「イランやシリア、パキスタンにミサイルを売って年間約1億ドルの収入を得ているのは事実だが、麻薬や偽造紙幣などの闇売買による収入は微々たるもの」で、「北朝鮮は国際的な闇市場に頼って生き延びているわけではない」。

 「5年前に日本政府が制裁を導入すると、BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)や韓国、シンガポールなどとの貿易を増やして対処した。もちろん、最大の貿易相手は中国で、北朝鮮の貿易の4分の3近くを占めており、原油や工業製品を輸出し、石炭や鉄鋼、レアメタル(稀少金属)を輸入している」。
 天然資源は「中国との国境付近にある茂山の鉱山はアジア屈指の鉄鉱石の生産地といわれており、将来的には年間100万トンの鉄鉱石を産出できる可能性もある」という。
 「近年、投資先として北朝鮮に注目するヨーロッパ企業も現れている。04年には英エネルギー会社アミネックスが北朝鮮と20年間にわたる契約を結び、沿岸と沖合の油田・天然ガス田の独占採掘権を取得した。北朝鮮の安価な労働力に目を付けている企業もある」という。
 「大韓貿易投資新興公社によると、北朝鮮の08年の貿易高は前年比30%増の38億ドルに達した(うち輸入が27億ドル)」という。

 北朝鮮は「実際には150を超す国と外交・通商関係を結んでいる。EU(欧州連合)加盟国の大半とも国交がある」。
 「ロンドンやチューリヒ(スイス)、香港などの金市場で金を売ったり、ロンドンの証券会社を通じてニューヨーク証券取引所で株式を売買したりもしている。こうした取引は『北朝鮮にかなりの額の外貨をもたらしている』」という。

「北朝鮮に留学奨学金を贈ろう」
アンドレイ・ランコフ(北朝鮮問題専門家/Newsweek 2009.4.22)

 昨今、北朝鮮は何かと話題になる。核実験にミサイル発射に。
 そこで、制裁論議が活発になるわけだが、その制裁により、影響はどのくらいなのだろうか。制裁により北朝鮮に大きな打撃が与えられるとしても、問題はある。北朝鮮の貧しい国民だ。
 「制裁を科しても、大勢の農民が死ぬだけ」かもしれない。その背景には、「北朝鮮が96~99年に大飢饉に見舞われたときに分かったのは、北朝鮮の国民はどんなに抑圧されて悲惨な状況に置かれても反逆しないということ」だという。なぜなら、「彼らは権力を恐れているし、組織力がない」ことがあげられる。
 そのため、制裁を科しても、貧しい農民が厳しくなるだけかもしれない。他の方法を考える必要があるだろう。

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