ロシアの今後は

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 ロシアの存在は無視できない。
 資源にしても、政治的にも、大きな存在になっている。

 そんなロシアのこれからはいったい。

「ニューヨーカー誌・編集長が問う 「ロシアの報道に自由はあるか?」」
ニューヨーカー(USA/COURRiER Japon 2009.5)

 ロシアにおいて、報道の位置はどうなのだろうか。
 「エリツィンが大統領を務めた90年代、ロシアでは新聞社、国営テレビ局、民間テレビ局などが未曽有の発展を遂げた」。その背景には、エリツィン自身、「報道機関に敵意を抱くことはめったになかった」ということがある。「エリツィンは共産党エリートとしてのキャリアが長く、そのことによる欠点も少なくなかった」が、報道を上手に使っていたのかもしれない。

 ロシアに画期的な報道が展開された。
 「『モスクワのこだま』」というラジオ局が創設されたことだ。
 このラジオ局が創設された背景は、「90年、ラジオ業界で働いていた数名のあいだで、モスクワに新しいラジオ局を立ち上げる話が持ち上がった。彼らの目標は、歯に衣着せぬニュース報道や討論番組を提供し、リスナーも電話で言いたいことを言って番組に参加できるラジオ局を創設すること」であった。

 その「こだま」であるが、「01年以降、同局を所有しているのはロシア政財会の権力基盤となっている巨大エネルギー企業ガスプロム」である。
 しかし、「『こだま』は現実をありのままに伝える果敢な報道活動を継続中」で、「モスクワでは毎日、100万人弱が『こだま』の放送に耳を傾けており、ロシア全体ではその数は250万人に達するという」。主に「学歴の高い中年のリスナーが多いよう」だ。
 巨大エネルギー企業ガスプロムが所有していることは、果敢な報道活動を行う上で何か影響する部分はないのだろうか。
 「当時、ロシアでは政府の方針のもと、報道の自由が拡大しており、『こだま』の登場は、その大きな流れの一部だった」。

 しかし、エリツィン後の体制は報道機関へは厳しいものになってしまう。
 「エリツィンが政界から引退し、プーチンが権力の座に就くと、ロシア政府はほどなくして報道機関への攻撃を開始」。具体的にいえば、「プーチンは財政手段や法的手段を駆使して、自分が政府に『批判的』『非協力的』と判断した新聞社やテレビ局を買収したり、閉鎖したりするようになった」。
 それらが行われた結果、「現在、『国境なき記者団』の世界報道自由度ランキングで、ロシアは169カ国中144位で、アフガニスタンやイエメンより下、サウジアラビアとジンバブエをわずかに上回る」という結果になった。
 ただし、プーチンの国内での人気は高い。

 プーチンの報道への影響は強い。
 そのプーチンは「特に重視しているメディアはテレビ」だという。「クレムリンで毎週、テレビ局の首脳陣を集めた会合が開かれ、そこでニュース報道の基本方針が定められる」という。「電波に乗せてはいけない政敵のリストが、この会合でテレビ局側に渡される」といい、さらには、「信じられない高額の報酬を支払うことで、有名キャスターや花形レポーターの忠誠心も手中にしている」という。
 「現在、テレビには生放送の討論番組やインタビュー番組は存在しない」。
 このことは、どこか日本の記者クラブに似ている。

 その影響は大きい。
 「チェチェン情勢を積極的に取材した独立系のテレビ局『NTV』は01年、創設メンバーが経営陣から追われ、その反骨精神は消滅した」という。「ロシア最大のテレビ局『第1チャンネル』は共産主義時代のように政府の政策に素直に従うテレビ局に後戻りしている」という。

「功を奏し始めた「メドベージェフ路線」」
イズベスチヤ(ロシア/COURRiER Japon 2009.5)

 ロシアの存在が大きなっている。。
 「昨年8月にグルジアが南オセチアを攻撃した際は、最高司令官として武力行使の決定を下した。西側諸国はこれ以降、ロシアが関心を示している問題については、ロシア抜きには話を進められなくなった」という。

 ロシアの「メドベージェフは大統領就任の際、4つの”I”に基づく近代化プログラムを提案していた」。「Institution(制度)、Invertment(投資)、Innovation(イノベーション)、Infrastructure(インフラ)」である。
 「近代化の必要性がなくなったわけではないが、昨今の4つの”C”に追われている」のが現状である。それは「4つの危機(Crisis)の対処」で、「南オセチアの危機、対欧米危機、経済危機、ガス危機」である。

「揺らぎ始めた”強気”路線」
イトーギ(ロシア/COURRiER Japon 2009.5)

 深刻な状況は世界もそうかもしれないが、ロシアの「今の政府は景気回復を推し進める策を提示できないのが現状」である。
 「保健社会発展省の予測によると、正式に登録される失業者の数は、2009年には200万人以上にのぼる見込み」だという。しかし、この数字を「多くの専門家は、あまりにも楽観的だとしている(公式の統計数字は、少なくとも4倍して考えなければならない)」という。
 これは危機は予想以上の脅威になっている。

 そんな中、ロシアのドミトリー・メドベジェフ大統領の支持率は高い。「全ロシア世論調査センターの統計によると、先の大統領選挙でメドベージェフに投票する用意があると答えた回答者は53%」だった。
 この支持率について、「比較のためにあげると、メドベージェフのすぐ後に続いているのが共産党党首のゲンナジー・ジュガーノフだが、彼に投票すると答えた回答者は5%」だという。
 さらに、「世論調査機関レバダセンター」によると、「昨年12月、76%の回答者が『大統領の活動を認める』」と答えており、「『首相の活動を認める』と答えた回答者は83%」であった。さらに、「昨年7月に『メドベージェフに満足している』と答えた回答者は70%」で、「『プーチンに満足している』と答えたのは80%」という結果であった。
 プーチン首相の支持率が高いことがわかる結果である。
 「国境が侵害されたとき、市民が最初に起こす自然な反応」として、「国家の指導者のもとに団結するということ」があげられることから、メドベージェフ・プーチンの対応は今のところ功を奏している。。

 「政権側は金・外貨準備高とともに、政府系ファンド『安定化基金』に巨額の資金を貯えてきた」という。保険みたいなものだろうか。
 「政府のちょっとした努力により、国民は今回の経済危機を『外からの脅威』『国の経済的主権を侵害する企て』と受け止めた」。
 しかし、「その効果は一時的なもの」であり、「政情は、早ければ今年中に急変するかもしれない」。
 なぜなら、「敵への攻撃と言っておきながらいつまでも勝利を勝ち取れないとなると、敵への狡猾さを口実にするのにも無理が生じてくる」からである。

 プーチンへの波風が強くなってきているのかもしれない。
 「ロシア連邦共産党の活動家たちは、極東の国境貿易拠点ブラゴベシチェンスク市で自動車輸入関税の引き上げに対する反対運動を組織」し、「プーチンの退陣を要求した」という。
 「与党の中でさえ、不満が表面化している」という。
 「モスクワのルシコフ市長は、知事が選挙で選ばれていた時代を思い出し、胸を痛めている」という。「ロシア西部タタルスタン共和国のシャイミエフ大統領は、自国の民族学校をロシア連邦教育省から保護しようとしている」そうだ。
 さらに、「与党『統一ロシア』の沿海地方支部は、自動車輸入関税引き上げに対する反対集会を支持」している。
 これらの不満が行動となってあらわれているが、果たしてこのプーチンへの不満はどうのレベルなのだろうか。表面上の不満をあらわしているのか。
 不満は高まったいるのかもしれないが、「野党勢力にしても不満分子にしても、現在の制度に代わるものを提案できる勢力はひとつもない」のが現状で、「そのような政党は存在すらしない」という。

「政治経済のKGB化」
エコノミスト(UK/COURRiER Japon 2009.5)

 「潤沢なオイルマネーは外資系銀行や海外の資本市場の手に委ねられ、彼らはそのマネーをガスプロムやロスネフチへ投資した」。
 「石油価格が下落し始めると、外資系銀行がロシアへ融資を停止し、ロシア経済の脆さが明白になった」。
 「ロシアの財界がロシア政府の人脈に牛耳られ、不透明化が進んでいる」という。このことは、深刻な状況で、最も重大な問題である。
 つまり、「プーチン時代から進んできたロシア政治経済の『KGB化』が、経済危機を機に加速している」というのだ。
 こうしたことから、「政府に近い人物が企業界を牛耳り、利益は彼らの懐へ、負債は国家に回される」という悪循環のサイクルに陥っている。

 「本来ならば、ロシア企業の株式がオルガルヒたちの手から債権者である外資系金融機関に渡ったところで、大した問題はない」のだが、「ロシア政府はこれを決して認めず国有化に走っている」。「企業の再国有化が進めば産業生産の成長が止まる」というのに。
 そうした結果、「ロシア企業のガバナンスは失われ、効率化、健全化は完全に停止してしまっている」という。
 ロシア政府は「疲弊した各産業を救うため、ロシア政府は2000億ドル以上の救済プランを策定したが、救済資金投入にあたって欧米のような精査は行われない」という。「ロシアの銀行に対し、外資の手を伸ばさせないために、ロシア政府は3つの銀行に500億ドルの資金投入を行ったが、そのうち2つは国家との関係が深い銀行である」そうだ。さらに「石油や天然ガスなどの『戦略的』産業にも国家資産が投入され、事実上の国営化が進んでいる」という。

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