ジャーナリズムに新たな展開が

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 金融危機により世界経済が苦境に立たされている。
 同じく、報道機関も大きな影響を受け、崖っぷちにある。ジャーナリズムもしかり・・・。

 ジャーナリズムの衰退が目立つ昨今、日本でも深刻なものだ。
 報道機関の失態による影響は大きく、ジャーナリズムが揺らいでいる。

 しかし、そんな中、ジャーナリズムに新たに希望が見えてきたのかもしれない。
 ジャーナリズムの新たな展開の鍵となる試みは果たして、どんな影響を及ぼしてくれるのだろうか。

「新聞は読まなくてもジャーナリズムは大好き!?」
SFゲート.com(USA/COURRiER Japon 2009.7)

 金融危機の影響もあり、報道機関も苦境に立たされている。新聞も当然、影響を受けており、新聞の縮小が相次いでいる。
 報道機関による腐敗も問題になっており、それがさらに後押しし、苦しい立場である。

 しかし、そんな厳しい状況の報道機関であるが、「ジャーナリズムを志す学生は増えている」という。
 「南カリフォルニア大学のアンネンバーグ大学院のジャーナリズムコースでは、応募者が昨年の20%増」で、「コロンビア大学の同コースでは44%増」であるという。

 日本でもジャーナリズムを志す学生は多くなってきている。
 しかし、経営となるとまだまだ難しい状況である。

「スクープ連発で大躍進したメディア「ポリティコ」のジャーナリズム手法」
ニューリパブリック(USA/COURRiER Japon 2009.7)

 現在、ブログは常識となり、大きな影響を持つようになった。アメリカではもちろんのこと、日本でもブログは当たり前になった。そのブログを活用し大きな影響力があると認識させたのが、04年の米大統領選であった。HP(ホームページ)よりも簡単に手軽に楽しめるブログは、たちまち広がったわけである。
 ブログの流行の後には何がくるのだろうか。マスメディアも注目するところが、次の土俵である。マスメディアは現在、大変な苦境に立たされている。その参考になる流行が08年に起こった。

 それは、08年の大統領選で大きな影響力を持った「ウェブと紙でコンテンツを提供するハイブリット新聞『ポリティコ』」である。「銀行業で資産を築いたアルブットン家の御曹司で、新興メディア王としても頭角を現しているロバート・アルブットン」が創設。そして、この新聞の陣頭指揮を執っているのが、「元ワシントン・ポスト紙のジョン・ハリスとジム・ヴァンデハイ」の2人の記者である。
 ポリティコのやり方は、「著名ブロガーなどを記者として迎え、『ワシントンで物事がどう動くのか』を解説させる」というもので、「ウェブの特性を生かし、これまで選挙報道を支配していた新聞に対し、量と速さで圧倒するというのが狙い」だという。
 そうした結果、「08年の大統領選ではスクープを連発」し、「ポリティコのサイトへのアクセス数は昨年、前年比219%も増加した」という。

 ポリティコの特徴はスピード性が重要で、「議員秘書やホワイトハウスのスタッフが朝のミーティングをする前に記事をアップロードすることが記者に求められている」という。そのため、「スタッフのほぼ全員にノートパソコンと無線モデムが支給されており、どこで働いても構わないという仕組みになっている」。
 もう一つ、重要なことが、「1500ワードに収める」ようにし、記事をウェブ向けに仕立てている。「ごくまれに2万ワードの長文記事が掲載されることもある」。
 こうした報道のスタイルをとっているポリティコは、『午前を制し、午後を制す』という標語を重要視している。これは、「ポリティコ発のニュースを、人々がその日、最も話題にしたニュース」にしたいという目標があるからだ。
 そのため、「ドラッジ・リポートやハフィントン・ポストにポリティコの記事がリンクで結ばれる」ように、「リンクを日常的に広報担当の職員」を3人あてて、「ケーブルテレビのニュース番組の報道につながる」ことを狙っている。

 勢いのあるポリティコであるが、万全とはいえない。
 「創刊以来、既に12名を超すスタッフが辞めており、燃え尽きるペースが尋常ではない」ことがあげられる。つまり、仕事がきついということである。もう一つ、「大統領選時のピークに比べてウェブサイトへのアクセスが50%以上減っていること」があげられる。
 さらに懸念すべきことは、「報道のペースが速いというのは、間違いも多いということ」につながりやすい。それは「見聞きして間もない事柄を、直ぐに記事にしている」ためでもある。

 そうした問題はあるが、ポリティコが「分析を一切加えずにノンストップでニュースを伝える報道スタイルを確立したことは否定できない」。
 ポリティコは、「紙とウェブの双方で展開されているハイブリット媒体」で、「サイトへのアクセス数を増やすため、同紙は著名ブロガーたちにサイトを絶えず更新するように依頼」し、「記者の個性を前面に出す報道を奨励し、有名記者には破格の給与を払っている」という。
 そのポリティコの作戦が見事に成功し「同紙の読者は急増、08年9月のユニーク・アクセス数は460万(ワシントン・ポストのオンライン読者の約3分の1)までに達した」という。

メディアを裁く! 第182回
「デジタル技術が変える5年後の書籍出版」
コロンビア・ジャーナリズム・レビュー(SAPIO 2009.5.27-6.3)

 ジャーナリズムと経営のひずみが大きくなってきている。
 「CJRの調査によれば、ここ2年間で、1万1250のジャーナリズム関連の職が失われた」という。さらに「その多くは新聞と雑誌業界に集中している」という。

 新聞や雑誌業界は苦しんでいるが、書籍を主にしている媒体に影響は少ないみたいだ。
 「他の活字メディアと書籍の大きな違いは、もともと広告収入に依存していないこと」である。そのため、「新聞や雑誌を苦しめている広告不況の影響はない」。さらに、「書籍は定期購読者に依存していない」。
 こうしたことから、書籍は「客を維持したり、新規に獲得したりするコストを必要としない」のである。

 将来はこんな風になるかもしれない。
 「5年後の2014年には、おそらく多くの人々がスマートフォンの画面で読書するようになっている」かもしれない。「書店に本を買いに行くのではなく、ネット上で好きな本を選び、ダウンロードしてデバイスに取り込むようになっている」。「音声によるオーディオ版の書籍も発売されているかもしれない」。
 もちろん、やはり印刷された本がほしい場合もあるだろう。「出版社のサイトから表紙やページのデータをダウンロードし、それを印刷業者に送れば製本されて届けられる」ようになっているかもしれない。
 さらに、機能として「ダウンロードされた書籍には、多くの言葉にリンクが貼られる」ことになり、「クリックすれば、その言葉の説明が読めたり、ネット上にあるオリジナルのデータにアクセスできたりする」ようになる。
 「印刷された本にもデジタル機能が加わるかもしれない。小さなスクリーンが付いていて、ネットに接続できるようにする」。
 これらのことは、「本を作る著者や編集者にとっても、その世界は大きく広がっていく。コンテンツは広く、深く、そして重層的になり、情報のアップデートを簡単にできるようになる」だろう。
 ただ、果たしてそれらに人はそれらについていっているのだろうか。

—————————
<参考記事>
・「マスコミとジャーナリズムの将来」/Manoji labyrinth

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)