イラクの注目すべき人物か(From Newsweek 2009.4.8)

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「リセットボタンの成功率は50%」
アンドルー・ナゴースキー(元モスクワ支局長)

 中東情勢は米国では関心が高い。イラクやアフガニスタンの問題からもわかるが、イスラエルの問題もある。
 しかし、他にも中東情勢に高い関心を持っている国がある。ロシアだ。「ロシアはイランに大量の武器を輸出しているが、核開発に関してはかなり警戒している」。もし、「イランが核保有国になると、周辺地域のイスラム教徒に大きな自身を与える可能性がある」。そして、「そうしたムードがロシアの南方に位置する旧ソ連圏のイスラム教徒に波及する恐れがあるから」だ。
 格の脅威はそれぐらい大きく、反対勢力にとっても核の魅力は大きい。

 皮肉なことに「イスラムの脅威という問題のおかげでアフガニスタンの安定は米露双方にとって重要課題になった」。
 「アメリカはイスラム過激派が欧米諸国でテロを行うことを恐れて」おり、「ロシアはアフガニスタンが不安定化すれば、タジキスタンなどロシアの周辺国がイスラム過激派によって混乱させられる恐れがある」。

 「米露両国とも核兵器削減の新たな合意を求めている。現在のような経済危機下では軍拡競争をしている余裕はないから」だろう。

「バース党の逆襲が始まった」
ラリー・カプロウ(バグダッド支局)

 イラクの現状は依然として厳しい。「イラク政府は水道や電気のようなインフラの整備に四苦八苦している。91年の湾岸戦争後、インフラを再建した技術者や専門家のほとんどはバース党員だったが、03年の米軍侵攻後に多くの優秀な人材が安全と仕事を求めてイラクを脱出」した。「その大半が今も外国にとどまっている」という。
 優秀な人材は外国にとどまっており、国内はトラブル続出で、インフラ整備はまだまだ整備されていないのが現状だ。

 それではどうしたらよいのだろうか。

 解決の一つにはバース党員がカギを握る。「35年がかりでこの国をつくり上げた技術者や専門家の力を借りなければ国家の運営はできない。彼らのほとんどはバース党員」であるという。
 そして、「すれにイラク国軍はアメリカの要請を受けて、多数の元国軍士官を復帰させた」という。

 ここに「サレハ・ムトラク」という人物がいる。「ムトラクは独裁者サダム・フセイン元大統領を支えた旧バース党員の復権を最も声高に主張してきたイラクの国会議員」である。

 ムトラクは「元バース党幹部の公職復帰と年金の受け取りを禁じる法律の撤廃を求め、バース党の非合法化規定を憲法から削除することを目指している」という。そのムトラク自身、「正直に言えば、強い指導者がいなければイラク人を導くのは容易ではないと考えるようになった」そうだ。
 ムトラクは「1月の地方選挙をにらみ、フセイン時代もずっと国内にとどまっていた非宗教系のスンニ派勢力を結集して連合会派を立ち上げた」という。

 そのムトラクであるが、「30年以上前はバース党の党員だった。だが、1977年、反政府の陰謀を計画した罪に問われた5人のシーア派の処刑をめぐって上司と衝突。少なくとも公正な裁判を受けさせるべきだと主張したが、結局5人は処刑され、ムトラクは党を追放された」。
 「その後、やはり党を追われたシーア派の元党幹部と組んで農場経営に乗り出し」、それが当たった。
 「フセイン政権崩壊後のムトラクは、新憲法起草案の起草委員会のメンバーに任命」され、「憲法の承認を問う05年の国民投票ではバース党を非合法化した規定に異論を唱えて反対の立場をよった。それでも多くのスンニ派勢力とは違い、イラク国民対話戦線を結成して同年末の総選挙に参加。シーア派が多数を占める議会で275議席中11議席を確保」した。
 このことからもわかるように、ムトラクの存在は非常に大きい。

 こうしたことから、「マリキ首相がムトラクを政界の無視できない勢力」として見ているだろう。
 ムトラクは今後のキーポイントとなる人物ということか。

「BRICsが主役 G20時代の幕が開く」
ラーナ・フォルーハー(ビジネス担当)

 「過去70年間で最悪の『グローバル』な不景気の中でも、新興国はますます自信を強めている」という。
 なぜなら、「今回の不景気が実はグローバルな現象ではないから」だそうだ。「最富裕国の経済は収縮しているが、主要新興国は成長のペースが遅くなっただけ」というのだ。そうしたことは「09年のGDP(国内総生産)はアメリカとヨーロッパが3%以上、日本は6%以上のマイナス成長になる見通し」だが、「中国は7%、インドは5%拡大する見込み」だという点からもいえるそうだ。
 果たして成長のペースが遅くなっただけといえるのだろうか。ただし、不況ありきであるという前提に陥っている見方が幅を利かせている面はあるだろう。

 確かに主要新興国BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の勢いは確かにすごい。
 BRICsのGDPの合計は、2027年にはG7(先進7カ国)の合計を上回る可能性がある」というのだ。これは「数年前の予想より約8年速いペース」である。

 しかし、そんな勢いのあるBRICsの中でもパワーシフトが起きつつある。
 「先進国に辛口批判をぶつけるブラジルとロシアは、インドや中国より大きな打撃を受けている」。「ロシア経済は好況を支えた1次産品価格の急落で大打撃を受け、09年は3%のマイナス成長になりそうだ」という。さらに、「ブラジル経済もマイナス成長になる恐れがある」というのだ。
 「ゴールドマン・サックスの予測では、11~50年のロシアの成長率は2.8%、インドは6.3%の成長が見込まれている。20年後の4大経済大国は中国、アメリカ、インド、日本になり、アジアが3カ国を占めることになる」という。

「「米政治 民主党をむしばむ銃団体マネー」

 米社会の中で影響力が非常に強い団体がある。それは銃団体である。
 「銃のロビー団体と民主党指導者との間に蜜月関係が生まれつつある」という。全米ライフル協会(NRA)と仲良くすれば、大きな利益にありつける」わけだというのだ。
 「民主党は昨年、NRAが議会の選挙資金に投じた総額約120万ドルのうち20%を受け取った」という。これは「6年前の倍以上の額」であるという。
 NRAの影響力は強大で、今後もアメリカの銃社会は続くだろう。

「中国「アメリカに甘い」自国政府に反発」

 中国国内で「中国政府はアメリカを甘やかしているだけでなく、国防をないがしろにしていると非難」が出ているという。
 そして、「オーストラリアからアフリカまで世界中から天然資源を調達していくには、中国は海軍を増強しなければならない」という主張があるそうだ。

 このことに関連して、「米国防総省の最近の報告書」では、「すでに中国は軍備増強路線を取っている」という。「軍事予算はこの8年間で倍増し、海軍はエネルギー輸送路の安全を確保するため遠洋に進出し、ソマリア沖では海賊を見張っている」。
 軍備増強に、資源獲得に、影響力を高めている。

「「小沢首相」の見えない未来」
デービッド・マクニール

 今回の小沢氏の「逮捕・起訴は『(民主党が)政権奪取に近づいている証拠』」かもしれない。
 これは、民主党政権という現実が近づいていきたという見方もできるからだ。

 ただし、「民主党主導政権の誕生がここまで現実味を帯びてくれば、民主党はどういう政治を行うつもりなのかをはっきり打ち出す」ことが必要だ。しかし、「その点が明確に見えてこない」。
 つまり、どういう政治にしたいのかがわからなく、下手をすれば、自民党とあまり変わらないかもしれない。

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