私たちの食の安全の背景(From DAYS JAPAN 2009.4)

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現場から メディアの社会的責任」
国際青年環境NGO A SEED JAPAN エコカルプロジェクト

 ある「シンポジウムで、『マスメディアをCSRから変えるのは難しいのでは』、『市民がマスメディアを変革することをあきらめてはならない』など、事例やデータを交え、複眼的な立場からメディアCSRの妥当性について話し合われた」。
 そして、「マスメディアには『報道のCSR』として5つの責任が発生することが整理された。
1.取材における責任(記者は現場に赴き、偏りなく取材し、背景分析も加えた記事を制作するという責任)。
2.編集における責任(編集責任者がどのような意図で番組を企画、編集したかを明らかにする責任)。
3.株主・広告主との関係における責任(株主・広告主の利益を損なう恐れがある場合に起こる圧力から独立を保つ責任)。
4.視聴率に関する責任(視聴率を上げるための演出や加工に関する透明性を担保する責任)。
5.視聴者との関係における責任(視聴者および取材対象が発する声に真摯に応え、情報を公開する責任)。」
 これらのことは、メディア・ジャーナリズムでも重要なことで、倫理的にも当てはまるだろう。それは、一つの基準といえる。

 しかし、これは日本ではまだ定着していなく、「NHKが環境報告書を発行している以外、現在どの大手テレビ局も環境報告書もCSR報告書も発行していない」のが現状である。

 「メディアのステイクホルダー(利害関係者)には「知る権利」を持つ市民だけでなく、戦争や環境破壊など人為的な理由で人知れず殺される「被害者」たちも存在する」。
 「世界人権宣言が「いかなる人種も抑圧から逃れ自由を得る権利」を保障する中で、メディアは「その理念を遂行する責任を負う」存在としての期待と権利がある。つまり、戦場や占領地で抑圧される立場の権利を守る期待と権利がある」ということである。
 それだけ、メディアの影響は大きく、責任も大きい。理想論かもしれないが、上記のことは心に刻んでおく必要があるだろう。

アジアから私たちへ Vol.1 「マグロ」
石井正子

 「フィリピンに「マグロの首都」と呼ばれる都市」がある。それは「ミンダナオ島南端ジェネラルサントス市」のことだ。「同市にはモロ湾、スル海、セレベス海で収穫されるマグロが一挙に集められて水揚げされる。同市を中心としたフィリピンのマグロ漁獲量は1980年代に東南アジア第1位となった」。そして、「2004年現在、アジアでは台湾、日本に次ぎ、インドネシアに並ぶ」までになった。
 「日本は80年代後半から同市より生鮮マグロを輸入している。98年には、日本のODA(政府開発援助)で製氷施設、冷凍冷蔵庫、加工場を備えた漁港も完成」している。
 そのフィリピンは、日本にとって重要な地であり、日本の食を支えており、その背景を探る。

 同市は「マグロ産業を中心に発展したといっても過言ではない。生鮮マグロを輸出するだけではなく、8つの缶詰工場がある。同市の人口53万人のうち、12万人がマグロ関連産業で働いている。毎年マグロ祭りが催され、マグロ会議を主催する」という。
 刺身用マグロは缶詰用マグロの2倍以上の値段がつくという。文字通り一攫千金である刺身マグロは「南の赤い金(Red Gold in the South)」と称される」という。
 それだけ、マグロは重要な基盤産業になっているわけで、行き先は日本ということが大きな要素になっている。

 同市の「漁港の朝は活気に満ち溢れている。遠洋で数か月操業し終えた巻き網漁船、1か月前に出港したパンプボートと呼ばれる手釣り漁船がマグロを積んで帰港する。その多くはキハダマグロ」。「重さ50~100キロのマグロが男たちの屈強な肩にかつがれて1匹ずつ船から降ろされる。台のうえに次々と横たえられたマグロは、背方にクラシファイヤーと呼ばれるストロー状の棒が差し込まれ、肉が抜き取られる。マグロは抜き取られた身質をもとにA、B、Cのグレードに分類される。その後、エビびれと内臓を除去され、A、Bのグレードがついたマグロは日本に空輸、Cと判定されたものはアメリカに輸出されたり、マニラなどの日本料理店に売られる。こうして良質の身質と判断されたマグロだけが日本人の食卓に届けられるのである」。

 ある男性(以下、A)は、漁に出るごとに毎回4~5000ペソほどを船主に借金する」という。「漁に必要な手釣りのナイロン線やフックなどの漁具の代金に加えて、留守にしている間の家族の米代などを借りる」からだ。
 「2年ほど前までは、これらの借金も漁の稼ぎから返済することができた。インドネシア地方当局と船主との合意によりインドネシア領海で漁ができたからだ」。
 しかし、「乱獲により、近海でのマグロの漁穫は減っている。漁場を遠方にのばすことはやむを得ない。当時は1回の漁で1人20匹ほどのマグロを捕獲することができた。しかし、合意が期限切れになってからは取り締まりが激しくなった。今は1回の漁で3~4匹しか釣ることができない。これでは借金が増えていく」。
 こういったことから、現地の労働者の待遇は悪いことがわかる。

 「同市やその周辺にはAのような末端のマグロ手釣り漁民が3~4万人いる」という。「すなわち3~4万人家族がA家のような生活をしている可能性がある」。
 それはつまり、不自由な食事、教育環境の生活をおくっているということだ。

 それに加え、ミンダナオ島ではいくつかの民族・宗教が存在している。
 「ミンダナオ島には先住民である少数民族とイスラム教徒、フィリピン中北部から移民してきたキリスト教徒とその子孫が生活する。同島では、少数民族とイスラム教徒の貧困の問題が著しい。マグロ産業をとってみても、船主や資金融資者はそのほとんどがキリスト教徒や華人である。イスラム教徒に関しては、先祖伝来の土地で政治的・経済的権利を奪われたことに対し、過去40年間にわたって自治権を獲得する武力闘争を展開している」。
 さらに、「雇用に関しては、少数民族よりもイスラム教徒に対する差別偏見の方が強い」そうだ。
 民族や宗教などによる格差や差別の影響が出ており、武力にもつながっている。その影響で、「沿岸部のイスラム教徒の集落の多くは、マグロ産業の末端にも組み込まれず貧困化している」という。

 「「フード・トレーサビリティ」という言葉がある。食品が誰の手によって生産・加工され、どこからやってくるのかを示すものである。食品偽装や農薬混入が相次いで発覚した昨年、消費する側の食の安全を向上し、信頼を回復することの重要性が唱えられてから、この言葉をよく耳にするようになった」という。
 日本の食のランクは、最上ランクであるといえるだろう。

 「マグロというフードロードの出発地には、1日3食をまともにとることができない貧困があった」わけだ。

 (日本では)当たり前のように消費者側目線で見がちな風潮がある。
 「食品流通の源流までさかのぼる「フード・トレーサビリティ」。流通履歴を示すことで、消費する側が安全を確認した上で、食品を選択できるという。この考え方に、消費する側の安全だけではなく、生産する側の安全を加えることはできないだろうか。生産する側の生活の危機の上に自らの食があると知ったとき、私たちにはその食品を購入するか否かの選択肢がほしいものだ」。
 消費する側も生産する側を見る必要がある。映画「ブラッド・ダイアモンド」のような問題が、食にもいえる。

「アメリカの戦略 イラク、パキスタン、アフガニスタン」
ノーム・チョムスキー

 「カナダの団体が行った世論調査では、アフガニスタン人はカナダ、その他の外国軍の駐留を支持しているという結果」が出たという。
 「タリバンは外国軍が去ったらまた優勢になるだろうと思っているのは、調査に答えたアフガニスタン人のうちのわずか20%だった」という。「4分の3はカルザイ政権とタリバンの交渉を支持しているし、半数以上は連立政権を望んでいる」という。「つまり、大多数の人々は米国とNATOによる更なる戦争に強く反対していて、非暴力的な方法に変えれば和平も可能と信じているよう」なのだ。
 しかし、他の調査も注目に値する。「タリバンの兵士たちに関する研究」で、「科学的な調査ではない」ものの、「かなり核心に迫る研究」がある。「調査の対象となったのは、全員がカンダハル地域出身のパシュトゥン人」で、「外国の侵略者を追い出す古くからの伝統に習い、彼らは自分たちのことをムジャヒディンと呼んでいる。ほぼ3分の1が、ここ数年の空爆で家族を少なくとも1人は亡くしたことがあると答えた。また、彼らの多くは外国軍による空爆からアフガニスタンの村人を守るために戦っていると答えた。世界的な聖戦のために戦っているとか、タリバンの指導者、オマール師とつながっていると答えた者の数は少なかった。ほとんどの兵士たちは自分たちが戦っているのは主義―イスラム教にのっとった政府―のためであり、特定の指導者のためではないと考えていた」という。
 さらに、「外国の介入抜きで、交渉によって和平合意に到達できるかもしれない、という調査結果がまたしても出ている」。
 現地の人々の考えを知るのは難しい。調査側のバイアスや現地の環境などが関わってくるのもある。一つの視点とみるべきだろう。

 アフガニスタン問題で深くかかわっている国が、パキスタンである。「米国とNATOがアフガニスタンで行われている戦争に必要な物資の80%が、パキスタン経由で送られている」というから、パキスタンの存在価値は非常に大きいだろう。

 「ワシントンポスト紙の報道」によると、「米国とパキスタンは、暫定合意を(08年)9月に結び、テロリストがいる恐れのあるパキスタン領内の場所を、無人機が攻撃することが黙認された。『お互いに、とやかく聞かない代わり、おおっぴらにもしない』というルールだった」という。
 さらに、「攻撃を行っていることを公的に認めたくない米国政府の意向と、米国の攻撃が政治的にデリケートな問題を生じているというパキスタン政府の不満の双方を同時に取り入れたものだった」という。
 これは、表沙汰にしたくないことから、表沙汰にすればデメリットが大きいという勝手な理由が背景にあるのだろう。しかし、こうしたことが積み重なっていけば、いずれ問題は爆発するだろう。

「現在の軍事力中心のやり方では「その結果として起きているテロリズム」によって、核武装しているパキスタンが崩壊するかもしれない」という。
 パキスタンが崩壊すれば、テロの根城となってしまい、それは恐ろしい結果を招く恐れが高い。

 イラク問題はいまだに解決のめどがたっていないのが現状である。オバマ米政権はイラクから撤退して、アフガニスタンに集中しようとしている。
 だが、そもそもイラクがこれだけ重視されたのには、何かしら魅力があった。
 「アフガニスタンで、タリバンによる抵抗運動を阻止することは米国の国益と一致する。しかし、イラクに比べると、アフガニスタンの戦略的重要性ははるかに劣っている。イラクは中東地域の地政学的な中心にあり、石油の埋蔵量は世界有数」である。
 さらに、「NATO事務総長スヘッフェルは、2007年6月、ある会議に出席した際「NATO軍は、石油とガスを西側諸国に向けて運んでいるパイプラインを守らなければならない」と述べた」。
 こういったことから、イラク重視だった背景には、資源というキーワードがあったのではないだろうか。「オバマは恐らく、何らかのやり方でイラク政府の要求と折り合いをつけていくと思われる。米国はイラクの莫大な石油資源の支配を確実なものにしようとしている。と同時に、中東全域でのコントロールを強めるために軍事基地を建設している。エネルギー資源が世界一多く産出される地域」であるからだ。
 しかし、気になることは、最近、日本国内で、この方面(資源)であまり騒がれなくなったように感じる。

特集「どこまで進む経済危機 オバマの標的にされる日本」

 米国の状況は深刻である。

 「オバマ政権の相次ぐ財政支出で、09年度の財政赤字は1兆5000ドル(約142億円)に上るとみられ、長期金利は深刻な景気後退にもかかわらず、09年に入りジリジリと上昇」しているという。

 そうした中、「オバマ政権は、2月10日3兆ドル投入を約束した。それ以前の、公的資金投入約束、および、借金額をすべて加算すれば、米国のGDP15兆ドルの80%強えを占める」という。
 果たして、成り立つのだろうか。

 「ローズベルト大統領が、ニューディールとして使った公的資金は、わずか49億ドルであった。もちろん、貨幣価値が異なるので、現在のわずか49億ドルと受け取ることは間違っているが、それでも、現在価値に直したとしても、750億ドルを超えることはまずないであろう。第2次世界大戦でも、GDPの20%を超す出費ではなかった」という。
 このことは、やはり、異常なのだろうか。当時(ローズベルト)と比べることは妥当なのだろうか。環境面など土台が違うことを考慮する必要がある。
 だが、過去からは学ぶことは重要であることは間違いない。

 「オバマ政権の財務長官のガイトナーも前任者の発言を踏襲し、「大統領は中国を為替操作国として認識している」」と発言。
 「米国に対する発言権を増す意図であろうが、中国は、米国の金融危機が深刻化した08年9月から米国際購入を増やしていた。ガイトナー発言に立腹した中国の温家宝首相は、09年1月31日、英国の華僑関係者との路のドンでの会合で「今後も米国債を買い続けるか、どの程度買うかは、中国の需要や外貨資産の安全性と価値を保つ必要性に基づいて決める」と述べ、米国債を大量に買い増してきたこれまでの方針を見直す可能性を示唆した」。
 これにより、米中の関係が悪化するのか、中国の牽制か。
 何か裏があり、中国側もそう簡単に米国への発言権を手放すことはしないであろう。

 一方で、「米国が即刻頼れるのは日本のみである」という。「オバマ政権の発足後、クリントン国務長官が初の外遊先として日本を訪れた他、麻生太郎首相が外国首脳として初めてホワイトハウスに招かれた」ことなど、「日本との関係緊密化に動く背景には、米国債の購入を要請することが狙いではないか」という理由がある。
 クリントン国務長官の初の外遊先が日本になったわけは、米国債ということがあるのも一つだろう。

 やはり、「中国に次ぐ世界第2位の米国債保有国である日本に米国債の継続的な購入を要請することが首脳会談の目的の一つ」だという。「米国債の22%を保有する中国が米国債を買わなくなればオバマのシナリオは完全に崩れる」わけだ。「日米首脳会談で日本の顔を立てた後は、米国は中国との対話を本格化させる」であろう。
 やはり、米国にとって中国の存在の方が大きいことがうかがえる。

世界のフォトエージェンシー 15
「sinopix photo agency」

 「北京の写真家、リッキー・ウォンは北京のサファリ・パークで生きている動物、鶏や羊や子牛がライオンの餌として与えられている恐ろしい様子を撮影し、世界の人々に衝撃を与えた」。P.52の写真がそれで、「ライオンに生きた動物を与える北京の八達領サファリワールドの来園者。ここでは来園者にライオンのエサになるニワトリやヒツジ、牛を販売している」という。
 生きている動物を餌にして、下のライオンへと。ここでは、これが普通になっているのだろう。すごく残酷な様子である。

営みの地球 54
「沖縄の記憶」
大沼英樹

 「1945(昭和20)年4月1日、米軍は、太平洋戦争中最大規模の45万の兵力で、沖縄本島に攻めて来た」。
 そして、6月23日、「沖縄戦が終結したとされる」。この6月23日は「慰霊の日」となった。

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