自然・海洋環境に恵まれた日本のエネルギー戦略

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 地球温暖化問題を考える上で、エネルギー問題は大きな位置をしめている。エネルギー問題が環境に与える悪影響をどのようにして低減させていくか、といったことが全世界で議論され、取り組まれている。
 エネルギー問題の一つに、私達の生活に身近な存在である電気が深く関係してくる。その電気をつくるためには、元となる資源が必要になってくる。これまでは、石油といった化石燃料が大きな位置をしめていた。そこに、原子力発電が加わり、大きな動力源となっていった。しかし、2011年の3・11による原発事故問題により、原発への視線は厳しくなり再生可能エネルギーが注目されるようになった。
 今、再生可能エネルギーへの技術や普及への取り組みが世界的に進められている。

 再生可能エネルギーを簡単にいうと、自然の中のエネルギーを使い、かつ、それを使用しても環境負荷が低く、再利用できるといったことになるだろう。
 具体的には、風を利用した風力、太陽の光を利用した太陽光、水を利用した水力といったものだ。
 日本は世界的に見ても、こうした再生可能エネルギーに関する技術や研究は高い位置にあり、最先端のグループに入るとされている。しかし、現実には再生可能エネルギー分野の普及はドイツやヨーロッパといった国が優勢になっている。つまり、日本は技術力はあるが、それを導入することができていなく、ビジネス環境的には不利な状況にあるということだ。

洋上風力の可能性

 そんな状況でも原発問題を抱え、エネルギー問題が深刻に影響している日本では、経済から環境までクリアするエネルギー戦略が急務の課題になっている。そこに、再生可能エネルギーの取り組みは重要な位置付けになっている。
 そこで、洋上風力が注目され始めている。日本は海洋国家であり、日本の海岸線は世界でも第6位(約447万平方キロ)というほど広い。その環境を利用しない手はないだろう。
 現在、風力タービン分野では、ドイツや中国が大きなシェアを握っている。この洋上風力で日本が活躍できる可能性がありそうだ。これまで洋上風力は海底の地面に固定する必要があったが、現在、研究されているのは、錨でとめて、浮く状態にする方法だという。しかも、これは日本の海底環境にも適している方法だという。
 洋上風力を普及させることにより、最大で1,570GWの発電が可能になるそうだ(過去の天候をシミュレーションした結果)。
 ただし、問題は洋上風力を進める上で、漁業関係者との関係や、海上の交通などの問題といった、海に関係する影響をクリアしなければならないことだ。
 こうした問題を考えると、現在の日本の電力供給量の3分の1から5分の1程度になるのでは、という声もある。

 それでも、エネルギー問題を考える上では、海を利用したエネルギー発電は魅力的だろう。
 洋上風力だけではなく、波力や潮力、温度差を利用した発電への方法も注目されている。日本の全ての海岸線に打ち寄せられる波の潜在的な発電能力は、原発36基分に相当するという。実際、2020年までに、140基分の風力タービンを稼動させ、1GW以上の電力供給を目指そうと洋上風力への取り組みが進められている。
 さらに、世界的に見ても、今後5年間で世界の風力エネルギーの発電量は、現在の2倍にあたる536GWに達する見込みだという。そして、2030年には世界の総電力需要の半分を賄えるという計算もある。風力発電の設置数が順調に増えて、風力タービンの最大容量を実現した場合、世界の風力発電量は最大で7.5TWに達するという。

 ただ、まだまだ安心していられない。日本は水力発電を除くと、2011年の総発電量のうち、再生可能エネルギーが占める割合は3%にも満たない状態であることだ。
 そして、今後、コストの問題や耐久性の問題、海に関係する分野との問題などが課題となっている。
 しかし、日本の抱える環境には豊富な自然環境があるということは大きなメリットであり、さらには、この洋上風力の技術は、かつて日本を支えてきた日本企業にも大きな立て直し効果があるとされ、経済効果が期待されているそうだ。

【参考資料】

・「海で発電、実証実験 政府主導、年内に候補地公募」
(日本経済新聞 2012年5月25日(金))
・「海洋再生エネ促進へ 政府案 実証実験海域を公募」
(毎日新聞 2012年5月25日(金))
・「福島沖に浮かぶ巨大な風車は日本を救うか」
(COURRiER Japon 2014.1)

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