コストをどう減らして、普及させるかが課題の再生可能エネルギー

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 再生可能エネルギーの行方が厳しくなりそうだ。
 原発問題で(原発の)稼動停止により、火力を急いで動かす結果になった。しかし、経済を支えるためにはエネルギー供給は必要だが、火力は二酸化炭素排出による地球温暖化問題となるデメリットがあり、日本のエネルギー政策に大きな打撃を与えている。
 こうした中、再生可能エネルギーのクリーンさが注目され、日本でも世界でも急ピッチで進められることになった。昨年7月、日本で再生可能エネルギーによる発電の買い取り制度が始まった。これまで、再生可能エネルギーは、技術の確立ができていないことやコストが高過ぎることなどの理由からなかなか普及が進まなかった。しかし、3・11の原発問題により、再生可能エネルギーが注目され、急ピッチで取り組まれ、買い取り制度もスタートした。
 だが、今、その制度に大きな壁が立ちはだかっている。

 ヨーロッパは再生可能エネルギー政策では最前線を走っている。先の買い取り制度もこのヨーロッパの制度を参考にしたという。特にドイツがこの分野で先行しているが、そのドイツで今、買い取り制度に対し、厳しい声が高まっており、それはヨーロッパ全体でも強まっている。
 買い取り制度は、再生可能エネルギーにより発電された電力を全て買い取るというもの。そうした制度により、再生可能エネルギーへの投資も増加し、この分野の技術も拡大し、さらなる技術と整備が進み、自然環境に(比較的)良いエネルギーで電力を普及させていくものだった。
 しかし、今、ドイツ、ヨーロッパではこの制度によるリスクが表に出てきた。買い取り制度により、再生可能エネルギー分野の進歩は確かにあった。問題は買い取った価格が電気料金に上乗せされる形で、消費する国民や企業へと請求されることだ。
 当初はある程度のコストは理解できただろうが、買い取り価格が無尽蔵に膨らんでいくことが、国民や企業に大きな負担となってきている。現在、各国は買い取り価格を下げる動きも見せているが、それでも発電量増に伴いコストは膨らんでいるという。

国民、企業への負担の影響はどこまで

 国民や企業が払う電気料が増えることで、経済に与える影響(の懸念)が大きくなっている。こうしたコストが増え、国民や企業の負担が増えていけば、企業は海外へと移るケースも増え、国民の生活も打撃を受ける。
 ヨーロッパもアメリカも経済状態は依然として厳しい中で、この打撃の影響でさらなる危機に発展する可能性もあるという。
 この制度により、再生可能エネルギーが注目され、この分野への投資が増え、技術や整備の競争も起こった。これによる技術の進化やコスト削減といったことも起こり、この分野の技術や設備などは進歩した。そのため、この制度を廃止することは、この分野の普及を止めてしまう危険があるという声もある。

 今後、日本でも同じ問題がいずれ出てくることになるだろう。現在、原発事故による影響での電力使用料の価格上昇が問題となっている。これだけでも国民、企業は大きな影響を受けている。日本もまだまだ経済状況は安定していないことから、ドイツ、ヨーロッパで起きていることが日本でも問題となる日は近いかもしれない。
 この問題に対し、どこまで人々は耐えられるだろうか。新しいことにはある程度のコスト負担は仕方がないだろう。しかし、環境と経済、生活が複雑に絡み合った上体で、それらの負担がどこまで耐えられるかどうか、難しい問題だ。ただ、特に低所得者に対しては、このコスト負担はさらに厳しい環境になるということだ。

【参考資料】

・「欧米 陰る太陽光発電 独大手に続き米でも破綻 買い取り価格が左右 価格、日本でも綱引き 全量買い取り 業界希望出そろう」
(日本経済新聞 2012年4月4日(水))
・「独の再生エネ戦略が混乱 負担膨張に国民反発 普及コストの視点欠く」
(日本経済新聞 2012年11月21日(水))
・「メルケルの闘い 2 風力発電 いばらの道 送電線 環境保護派が反対」
(毎日新聞 2013年5月15日(水))
・「欧州で太陽光発電 急減速 電気料金上昇、企業・家庭に不満 独など買い取り抑制 世界の新規能力 減少 13年見通し 普及拡大期のコスト増課題」
(日本経済新聞 2013年7月12日(金))
・「太陽光市場 活況 買い取り制度開始、メガソーラー続々 2015年問題見据え メンテ機器も強化」
(毎日新聞 2013年7月25日(木))
・「廃棄時も環境に優しく 太陽光パネル 環境相、指針策定へ 大量処分に備え」
(日本経済新聞 2013年7月31日(水)夕刊)
・「独、再生エネ制度で対立 市場価格に委ねて 電力事業者 普及促進団体 買い取り制維持を 格差是正や財政健全化 政策課題、複雑に」
(日経産業新聞 2013年10月1日(火))

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