中国の水資源問題の影響力(下)

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 中国国内で深刻になっている「水」問題の対策は、管理・整備の不具合問題や利用の仕方の問題もあり、なかなか解決しない。
 そこにきて、経済発展も急ピッチに動いているため、水問題による悪影響がどうなるのか、なかなか難しい状況だといえる。そして、その影響と対応のサイクルが悪循環にもなってきている。

 海へと流れ込む河川水の4分の3は政府基準を満たしていない。さらに、沿岸地域の水の汚染度が政府基準で最悪とみなされた海域は、2011年の4万4,000平方キロから6万8,000平方キロへの30%以上拡大しているという。
 そうした影響により、沿海都市の90%が断続的な水不足に直面し、1950年代以降、マングローブの沼地は73%、サンゴ礁は80%、沿岸湿地が57%縮小しているという。
 そして、漁業にも深刻な影響を与えている。水質汚染問題により、魚が捕れなくなったことから、さらに遠くの海域まで漁業に出ることになった。つまり、国内の資源だけでは、賄いきれなくなるため、外国の資源にも目を向け始めている。そして、こうしたことが外国との衝突の問題にもつながっている。

「水」利権の衝突

 さらに、中国国内の水資源対策は国外にも大きな影響を与えることから、特に周辺国からの懸念も強く、それによる衝突も問題となっている。
 中国のダムの数は世界一で、2007~2020年に水力発電による発電能力を3倍に増やす計画。しかし、これが達成されると、中国の多くの河川は10年以内に消滅するという。これが何を意味するか。
 アジア有数の河川の多くはヒマラヤ山脈やチベット高原を水源とする。中国の発電能力増強の計画が実現されれば、そうした河川への影響も大きいことから、その河川の影響下にある地域は深刻なダメージを受けることになる。
・イルティシュ川:中国、カザフスタン、ロシア
・メコン川:中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム
・ブラマプトラ川:中国、インド、ブータン、バングラデシュ
など、中国の水や河川は周辺国にも影響し、中国国内対策の取り組みは、周辺国にも関わり、国外への影響を無視(軽視)することは国外との衝突も意味してくる。現在、中国は中央アジア、南アジア、東南アジア諸国との間で水資源の共有をめぐって問題を抱えている。その問題をさらに深刻にしているのは、中国は関係する諸国との水資源問題に対しての関係を強くしていないことだ。つまり、中国は関係してくる国に対し、あまり協力的ではない。

 中国の水資源対策は、急成長を遂げる経済と莫大な人口が必要とする水資源が不足している事態にどう対応するか、そして、環境対策にどう取り組んでいくのか、という大きな課題にぶち当たっている。
 経済成長に必要な資源、国民の生活に必要な資源、生活に必要な環境対策などの要素をクリアしつつ、周辺国や世界の国々との関係をクリアしていかなければならない。国内対策がクリアされたとしても、国外にその影響が出ればすぐに深刻な問題となって、悪影響が発生する。
 そして、それが制御下できなくなれば、対策をした上での悪影響よりも、さらに深刻な悪影響へとつながってしまう。そうしたことは、戦争や争いごとにも発展する可能性も高く、人類や地球の破滅につながってしまう。

(終わり)

【参考資料】

・「中国の水資源不足と環境汚染問題――米議会における証言から」
(FOREIGN AFFAIRS REPORT 2013 NO.9)

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