中国の水資源問題の影響力(上)

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 世界中で環境問題が深刻になっている。地球温暖化問題による影響は各地で影響し、その影響での被害も大きくなっているとみられる。環境問題への対策は急務な状況だ。
 私達の生活に大きく関わってくる問題の一つに「水」資源があげられる。今後、清潔で飲用可能な「水」の存在価値・希少価値は高くなると見られている。

 この「水」資源について、世界中でも重要な問題として捉えられてきたが、中国でも歴史的に重要な問題として取り上げられてきた。水資源をどう管理し活用するかという問題は、中国の安定にもつながるという。
 中国北部は総人口の約40%が生活し、農耕地の50%があり、国内総生産(GDP)の50%以上を担っているが、総降水量の12%でしかない。一方の南部は総降水量の約80%が集中しているが、水質汚染問題は深刻な状況だという。

「水」の管理が不安要素の一つ

 こうしたことから、清潔な水を利用するためには、水資源をコントロールし、効率よく活用していかなければならない。
 しかし、その水の管理・整備や水利用の仕方がうまくいっていない。
・浄水施設の検査がごく稀にしか行われていない
・106の検査項目全てについて検査能力のある施設は35主要都市の浄水施設の40%に過ぎない
・独立した水質管理機関がわずかしかなく、ほとんどの水質検査は浄水施設の内部検査という形で行われている
・検査結果について、地方政府の情報公開が進んでいない
・浄水施設から一般家庭に届くまでの老朽化した水道管で生じる汚染は、水質検査には反映されない
などといったことから、水に関するいくつかのデータに差が出てくるという。そのため、人々が安心して利用するための安全性・基準が明確ではない。
 水に関する評価や報告、問題も出てくる。
・国内7つの主要河川とその支流の約4分の1が農業用水にも工業用水にも適さない(環境保護部の報告)
・中国の地下水の90%は汚染されている(国土資源部地質調査局の2013年1月のリポート)
・2012年の河川水の40%、地下水の55%が飲用に適さない
・浄水処理された水でさえ、直接飲むのは安全ではない
などという報告や声が多く出ている。水は安全に利用できるのか、それとも危ないのか、などという猜疑心が高くなってしまう。
 しかし、現実問題として、水汚染の問題は大きいといえそうだ。
 水汚染の影響は、人間の免疫系や生殖能力、神経系に有害で発癌性のある有機化合物を含んでいるとされるため、10~20年後に影響が出る恐れがあるという。2011年には土壌から重金属を吸収した穀物が1,200万トンに達しているとされ、国土の10%が重金属で汚染されていると、2012年に環境保護部と国土資源部が表明した。

 こうした問題に対する対策は厳しくなりそうだ。
 2007年に、中国の水資源危機のコストはGDPの2.3%に相当し、このうち1.3%は水不足によるもので、残りの1%は水質汚染の直接的な影響だと、世界銀行は指摘している。そして、水不足が深刻になれば、その影響も大きくなる。北京では2009年に水不足により49の工場が閉鎖されている。こうしたコストは、水不足が拡大するにつれ増大する。
 問題は経済発展を遂げつつ、どう対策を講じていくか。対策だけでは経済発展は難しいが、経済発展ばかりに重心を置けば、環境は深刻になる。北京は2013年3月、気候変動や工業開発、大規模な水力発電により、1990年代以降、国内の河川の半分以上が「消失」したと発表。影響力の大きさがうかがえる。

 昨今の先進国の経済危機による失速。そして、新興国の経済発展により、一見、新興国の姿が煌びやかに見えるが、新興国の内部では様々な問題を抱え、そして、その問題は世界共通の問題だったりもする。
 最も勢いを見せた中国でも、国内で「水」問題という深刻な問題を抱えている。

(続く)

【参考資料】

・「中国の水資源不足と環境汚染問題――米議会における証言から」
(FOREIGN AFFAIRS REPORT 2013 NO.9)

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