こんな世界平和の考え方(下)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ロシアと中国は、核放棄の意思はほとんど示していない。通常兵器で圧倒的に優位なアメリカと対等な立場を手に入れるには、核兵器が一番有効だからだ。両国はアメリカが一方的な核軍縮に踏み切らない限り動きそうにないが、米政府にその意思は見られない。
 たとえロシアと中国、それにフランス、イギリス、イスラエル、インド、パキスタンを説得できたとしても、元核保有国のどこかがこっそりと短期間で再核武装することへの恐怖は消えない。

 国家が核武装を望むのは、自国の存続に危機感を抱くからだ。
 『核による平和』の論理は、物騒な取引の上に成り立っている。核戦争という最大の悪夢が起きる小さな可能性を受け入れることで、ややましな悪夢―通常兵器の戦争を防ぐ可能性を飛躍的に高めるという取引だ。
 それでは、『核のある世界』をより安全なものにするにはどうしたらよいのだろうか。そのためにいくつかの措置が必要になる。
 核抑止力は、どの国が核を保有しているか、つまり攻撃してはならないかを世界中が知っていなければ機能しない。だからアメリカは、各国の核保有状況をできるだけ世界中に知らせ、危険な先制核攻撃の誘惑に駆られる国が出てこないようにする必要がある。
 アメリカはまた、ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が提唱する『核の鑑識学』の発展を後押しするべきだ。この新しい学問は、誰がどこで核兵器を使っても、それを追跡して製造者や流出元を特定できるようにするもので、これによってならず者国家に圧力をかけ、核をテロリストに売るのは危険過ぎると思わせることができる。
 そして、全ての核保有国に『残存可能戦力による第2撃オプション』―つまり先制核攻撃を受けたら確実に反撃できる能力を持たせることだという。
 米政府はこれまでと同様、ロシアとパキスタンが核兵器を安全に管理できるように支援を続けるべきだという。さらに新しい核保有国が登場した場合、たとえばそれがアメリカの敵国だったとしても、同じ技術や訓練を提供する準備をしておく必要もある。

 全ての国がいざというときには理性的に行動する。
 うまくやれると確信しない限り行動を起こさない。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 『核による平和』(抑止力の平和)というのは、平和という純粋な面で言えば引っかかるが、現実的に効力はあるのかもしれない。しかし、暴走したりすれば最悪の結果につながる。理想論を言えば、純粋な平和を実現するためには、困難を極める壁をいくつも乗り越えなくてはいけない。しかも、ちょっとした疑心暗鬼や暴走で崩れてしまうプロセスだ。その平和を達成すれば素晴らしい世界が広がっているが。
 困難なプロセスを経ても平和に向けて歩んでいかなくてはならない。『核による平和』にばかり頼ることは最悪な場合も考える必要があるからだ

(終わり)

【参考資料】

・「核兵器廃絶は世界の平和を崩壊させる」
(Newsweek 2009.9.30)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)