サイバー戦争が具体的に活発化(下)

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 日本はどうかというと、今春から13都道府県の警察に「サイバー攻撃特別捜査隊」が新設され、ITや語学の能力が高い人材を集め、政府機関や企業に対するサイバー攻撃の情報収集、事件捜査を行うという。
 さらに、政府はサイバー攻撃を想定し、自衛隊にサイバー防衛隊を新設させる。今年度内に約90人で発足し、情報収集や監視、シミュレーション訓練、防衛策などが検討課題となる。(深刻な)サイバー問題が発生した場合、実際にはミサイル攻撃などと同じように安全保障会議で決めるとみられる。
 そして、政府は情報セキュリティ政策会議で、サイバー攻撃への対策強化を盛り込んだ「サイバーセキュリティ戦略」を検討。通信事業者がウイルス感染の疑いがある電子メールなどを発見した場合、通信情報を解析できる案が出た。
 具体的には、そういった場合、情報を解析した上で、メールを開かせないための注意喚起や通信の遮断ができるようにするというもの。技術的には十分可能だが、憲法が保障する「通信の秘密」に抵触する可能性があり、事業者からはルール整備を求める声が出ている。憲法は通信の秘密を保障している他、電気通信事業法は事業者に対して通信の秘密を守ることを義務づけている。
 政府の体制としては、内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)を専門職員の採用や権限拡大などで強化し、2015年度をめどに「サイバーセキュリティセンター」(仮称)に改組するという。

インターネットにつながっていなくても危険

 各国でサイバー問題の対策が活発に動いている中、日本も早急な対策をうたなければならない。国家レベルの問題に発展しているサイバー問題だが、私達の身近なところから、大きな問題も数多くあるだろう。
 2010年、イランのウラン濃縮施設の制御システムを一時不能に追い込んだ「スタックスネット」というウイルスが話題になった。ウイルスを仕込んだUSBメモリーを施設付近に置き、これを拾った職員のパソコンが感染して、別のUSBメモリーなどに感染が広がり、最終的に核施設の制御システムへと。監視モニターに偽装データまで表示させたという。
 この「スタックスネット」は、アメリカとイスラエルが共同開発したとされるが、今は流用され、世界の新たな脅威となっているという。
 この事件は、インターネットに繋がっていない工場設備の制御システムもサイバー攻撃から無縁ではいられないことを意味している。実際、日本でもウイルスが原因とされる生産ラインの停止が起きており、産業機械も攻撃されるということだ。
 問題は、国家間のサイバー戦争は、経済活動の麻痺を狙い工場や発電所などが格好の標的になるということだ。

 サイバー戦争は現実的に脅威になっている。現実世界での戦争にも取り入れられ、さらには、平時でのトラブル発生も問題となり、社会システムの大混乱を発生させるほど、深刻な問題となっている。
 現に、インターネットにつながっていないところでも、被害が出る問題が発生しており、今後はインターネットが欠かせない世の中になっていくことから、サイバー問題はさらに深刻な存在になりそうだ。便利な世の中になる反面、サイバー攻撃による混乱や監視社会といった問題とどうバランスをとっていくのか、大きな課題が出てきている。
 そんな中、国際的ルールや各国での対策が早急に取り組まれているが、サイバー問題は今でも様々なところで、知らないうちにしかけられているかもしれない。

(終わり)

【参考資料】

・「サイバーウォーズ 1 米中、新次元の覇権争い」
(日本経済新聞 2013年6月17日(月))
・「サイバーウォーズ 2 オフィスも戦場」
(日本経済新聞 2013年6月18日(火))
・「サイバーウォーズ 3 第2の「現場」」
(日本経済新聞 2013年6月19日(水))
・「サイバーウォーズ 4 工場を守れ」
(日本経済新聞 2013年6月20日(木))
・「サイバー犯罪 事後追跡も 政府、戦略案で態勢強化」
(毎日新聞 2013年5月22日(水))
・「サイバー防衛 自由か安全か 怪しいメール 事業者が解析 「通信の秘密」巡り議論 「防衛隊」新設 自衛権の発動 焦点」
(日本経済新聞 2013年5月22日(水))

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