クラスター爆弾の不発弾問題の現在

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 第2次世界大戦から使われ始めた、数千個の子爆弾を内蔵するクラスター爆弾。その子爆弾が不発弾となって、後世に恐怖を残すという問題が深刻になっている。

 2008年に日本やイギリス、ドイツ、フランスなど107カ国の賛成で、「オスロ条約」(クラスター爆弾禁止条約)が採択された。
 条約は批准から8年以内の廃棄、10年以内の不発弾除去を定め、使用や開発、貯蔵や委譲(輸出)を禁止しており、現在83カ国が批准している(署名は112カ国)。さらに、爆弾投下国には、被害国の不発弾除去に対する技術、財政や人的な分野の支援を「強く要請」している。
 しかし、この条約に大量保有国のアメリカ、ロシア、中国、イスラエルは署名していない。

 クラスター爆弾の不発弾問題を抱えているラオス。
 ベトナム戦争中の1964~73年に、アメリカ軍は2億8,000万発ものクラスター爆弾を投下したという。そして、現在も国内に7,500万発の不発弾が残っており、広島県ほどの広さが不発弾問題に悩んでいるとされる。NGO(非政府組織)によると、累計5万人が死傷し、2011年にも99人が死傷しているそうだ。
 昨年に不発弾を除去できたのは、56平方キロの約8万発分とされ、面積で全体の0.6%に過ぎないという。
 アメリカは条約には批准していないが、昨年、不発弾除去に900万ドルを拠出したという。しかし、ラオス政府は不発弾除去や被害者支援には、年5,000万ドルが必要と見積もっているが、国際社会からの支援は計3,000万ドルに留まっているとされ、不発弾除去問題はまだまだ解決されない見通しだ。

イラクやシリアでも、問題は深刻に

 2003年のイラク戦争では、アメリカ・イギリス軍により、最大200万発のクラスター爆弾が投下されたという。
 イラクは今年5月に条約を批准したが、不発弾問題は深刻な状況。さらに、クラスター爆弾の投下地点は2,200ヵ所に上り、いまだに新たな投下地点が見つかる状況だという。
 さらに、イラクの治安は不安定で、被害者支援など国際社会の支援は、テロの頻発で停滞する状況になっている。

 そして、現在、ニュースでよく話題になっている内戦状態のシリアでも、クラスター爆弾の使用問題が取り沙汰されている。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」によると、昨年8月からの半年間に約120ヵ所で、約160発のクラスター爆弾が使用されたという。さらに、その後も使用が続いているとされ、不発弾問題は今後、さらに問題となりそうだ。

 クラスター爆弾の不発弾問題を前に進めることはなかなか難しい。除去作業は少しずつの地道な作業が必要だが、爆弾の使用をやめなければ増える一方になる。
 兵器としてのクラスター爆弾の役割が大きな理由に挙げられ、大量保有国が条約に加盟しない理由につながっている。クラスター爆弾の効果が使用する側にメリットがあるのだろうが、同時に、使用により地域や人々に後世に続く深刻な問題となっている。

【参考資料】

・「クローズアップ2013 クラスター禁止条約 イラク批准 除去へ 進まぬ国際支援 ラオスなお7500万発 資金調達 NGOに限界 大量保有国は署名せず 内戦のシリア 使用今も」
(毎日新聞 2013年6月5日(水))

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