中国が抱える「水」という国内問題

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 経済発展に伴い、中国の存在感が高まっている。そして、現在、領土問題など、中国は周辺国、世界の国々との衝突が問題となっている。そうしたことから中国の強硬な行動への警戒感が、周辺国や世界へと広がっており、今後の中国の動向に注目が集まっている。

 そんな中国だが、国内では大きな問題を抱えている。その問題の一つが「水」問題だ。
 中国北部は降水量の乏しい乾いた大地が広がり、慢性的な水不足に悩まされている。全体の約4分の3の農地があるが、農地はそれだけ水が必要な存在だ。一方、南部は水資源が豊かであるが、大河の氾濫といった問題を抱えている。北部も南部も、「水」によるそれぞれ違った問題を抱えているわけだ。
 これに、経済発展による弊害が後押しした。改革開放政策により、首都・北京や天津といった都市への人口流入による歪みの拡大が生じ、高度経済成長期により工業分野での水の需要が増加した。その結果、生活スタイルも変化して、水の消費量も増加。そこに、環境破壊による水汚染問題が加速した。
 水問題は中国にとって大きな悩みの種になっている。

 そうした問題に対して、中国は南水北調という計画を打ち出した。南水北調とは、南の水を北に調達するというプロジェクト。長江から東線と西線、中央線の3本の運河で水を運ぶ計画だ。つまり、水資源における南北の格差を、運河により平準化させようというものだ。
 この計画が具体的に検討されるようになったのは毛沢東時代だったが、実際に基本調査が始まったのは90年代半ばで、着工は2002年12月。沿岸部を通る東線は既に完成し、その西側を走る中央線は間もなく開通するとされていたが、工期が延長されたという(2010年時点)。

計画のデメリット

 計画がうまく進まないのには理由がある。
 事業費のコストが大きくなりすぎたこともあるが、環境への影響への不安視も大きい。中国の河川は黄河に代表される濁流が多く、清流は稀少である。その中で、青い清流の長江は、中国人にとって水資源の象徴的な存在となっている。つまり、この長江の流れを人工的に変えることによる悪影響への懸念が大きいということだ。
 実際、流水量の減少が生態系に影響を及ぼす可能性がある他、洪水や干魃を引き起こす可能性もある。さらに、水量の減少問題の可能性もあり、流量、水位、流れの速さなど水環境全体が悪化する恐れもあり、その結果、汚染物増加、魚類の棲息環境破壊にもつながると予想される。

 この計画の問題として、これらの恐れがあるが、この計画による水質汚染に対する対策をどうしていくのか、という問題が立ちはだかっている。
 計画により、南から水を運んできたとしても、運んできた水が汚染されていては使えない。しかし、北部の死活問題となっている水不足をどうするか、という問題が今、大きな壁になっている。

 中国は水問題を抱えている。経済発展著しい中国国内で重要な問題となっているわけだが、これは世界各国内でも問題になっていく恐れが高く、今後、水問題は世界的な問題になってきそうだ。
 その一つの兆候に、「水」ビジネスが注目され始めていることが、その不安のあらわれにもなっている。問題を解決するための策は必要だが、その策が違う問題を生み出すこともある。そうしたことをカバーした多様な策を考えないといけないだろう。

参考資料

・「中国メディアの「裏」を読む! 23 長江にメスを入れた巨大事業は 積年の水不足を解消するか?」
(COURRiER Japon 2010.1)

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