イスラエルのイラン空爆はどうなるのか?(下)

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 イスラエルのイランの核開発施設への空爆は、イラン国民にも当然、影響するだろう。ただし、いい影響かどうかはわからない。もしかすると、イラン民衆を現在の保守派指導層の下に団結させ、最終的に核開発プログラムを放棄させるのに必要な体制変革の芽を摘み取ってしまうかもしれない。つまり、空爆がイランの反体制派の立場を損なうのか、それとも彼らの大義を強化することになるのか、どういう展開になるのか、読みにくい。
 そして、イラン空爆はイスラエルにとっても、世界にとっても、更なる問題に発展するかもしれないということだ。それは、イランに対する現在の国際社会の構図を崩すことになる可能性があることだ。現在、イランは国際制裁により追い込まれている。しかし、空爆でこの構図が崩れた場合、数年後、イランが核開発を再開した時、今と同じ国際制裁の構図ができるとは限らない。
 さらに、イスラエルの空爆は長期的な紛争に発展するかもしれない。長期的な紛争に発展した例として、1982年のレバノン侵攻が挙げられる。パレスチナ解放機構(PLO)の脅威を取り除くことを目的とするレバノン南部への侵攻作戦は当初2日で終了すると想定されていたが、実に18年にもなり、ヒズボラという新しい敵をつくりだしてしまった。

対米、対EU、対世界と緊張関係になっても、空爆しようとするイスラエルの立場

 イランの核開発問題は確かに問題で、アメリカやEU(欧州連合)なども、イランが核開発を行うことは反対している。しかし、空爆の実行には賛成はしていない。もし、空爆を実行すればアメリカやEUとイスラエルの関係は厳しいものになり、さらに紛争に巻き込まれ、介入せざるを得なくなれば、イスラエルとワシントン(アメリカ)、EUとの関係は大きく緊張することになる。
 しかし、イスラエルはヒズボラとの間で長期的な紛争が起きるリスクが高いことから、ヒズボラとの紛争はイランが核兵器を獲得する前に済ませておく方がいいという。それに、「イラン攻撃はヒズボラとの紛争をはやめるだけだ」という声もある。ちなみに、ヒズボラのスポンサーであるシリアは混乱しており、ヒズボラの状況はいいとはいえないという。

 このようなことから、イスラエルによるイランの核開発施設への空爆が与える影響は、様々な想定がある分、読めない展開も出てきそうだ。イランの核開発を遅らせることができるかもしれないが、弊害も出てくるだろう。攻撃による影響は、攻撃の長期的な影響、イスラエルの市民防衛体制問題、攻撃後の撤退戦略、対米関係に与える影響、エネルギー市場への影響、イランの国内政治に与える影響、世界的な外交的な影響……など、様々な問題が発生する恐れがある。
 イランの核開発問題は周辺地域にとっても、世界的にも深刻な問題なため、どうイランの核開発を解決していくのか。世界の国々の対応が注目され、イスラエルの動きが今、注目されている。
 イランの核開発問題は今年はまだまだ緊張状態が続きそうだ。果たして、どういう展開になるのか。

(おわり)

【参考資料】

・「イスラエルのイラン空爆後、何が起きるか」
エフード・エイラン(前イスラエル政府官僚)(FOREIGN AFFAIRS REPORT 2012 NO.4)

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