「水」の争奪戦が熾烈に

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 二酸化炭素排出による地球温暖化……など環境問題に注目が集まったのは数年前。問題は今でも続いており、世界各国で温暖化対策を進めようと取り組みが始められている。
 その取り組みの一つが京都議定書だが、後継となる正式な取り決めの行方はまだ不明確な状態で、今後の取り組みの代名詞がおぼつかない状況になっている。
 地球温暖化の原因は何も二酸化炭素排出だけではない。様々な原因がつながって、問題を深刻にもしている。この地球温暖化の影響は深刻な状態を巻き起こす。地球の温度が上がれば、北極、南極の氷が溶け、海面が上がり、低い陸地は海になってしまう。当然、低い陸地に住んでいる人々への影響が出る。この他にも、大気の異常気象が発生し、台風など自然災害が増えることにもつながっていく。

 地球温暖化だけでも様々な影響が出るといわれるわけだが、今後の問題の一つになるのが「水」だ。
 日本で生活していると、水道の蛇口からは滞りなく「水」が流れ出す。それぐらい、「水」の存在は空気と同じように当たり前のようになっている。しかし、世界の「水」事情はどうだろうか? 生活に使用できる水、飲むことができる水は貴重な存在になってきている、というのが現実なところになってきている。先進国は比較的、きれいな「水」がいたるところに存在するが、発展途上国ではきれいな「水」は一部に限られてしまう。
 特に、発展途上国ではきれいな「水」を確保するのはかなり厳しい状況だといえ、同時に「水」の争奪戦も熾烈だ。「水」を巡る問題は何もアフリカだけではない。中東やアジアなどにも広がっており、「水」を巡るトラブルも多い。川の上流部分でダムを作ればダムを作った国は潤うかもしれないが、川の下流にある他の国はダムの影響で水を得る量が減るかもしれない。そうなれば、使用できる水はさらに限られてしまう。
 しかも、近年、発展途上国では経済発展で工業化や人口増加、生活のための水消費などに伴い、水の需要は高まってきている。その分、水の争奪戦は高まっているわけだ。

「水」資源の需要と供給のバランスが悪化して、トラブル・争奪戦が熾烈に

 アフリカの水問題は年々深刻になり、各国の利害調整が急務となっている。水資源の調整は上流国と下流国の双方にメリットがなければ対立の要因になってしまう。工業化と人口増加で水の需要は増加する一方だが、供給可能な水資源は気候変動や河川の汚染などで減少傾向にあるという。
 米政府は3月に世界の水問題に関する報告書を発表した。それによると、今後10年間で水不足になり世界各地で国家や地域間の緊張が高まる可能性があるという。その影響は、河川の上流が下流域の国に圧力をかける目的で、意図的に水量を制限する「武器」として水が利用されることにもなるかもしれない……などといったことからトラブルは増えていく恐れがある。
 さらに、国連や米政府の予測では、2030年の世界の水需要は6兆9,000億立方メートルで、現在よりも4割増えるそうだ。特にアフリカでは人口増加などで深刻になりそうだ。ちなみに、アフリカの年間人口増加率は2.3%と、アジアの2倍以上のペースで加速。2100年のアフリカの人口は11年の10億人から36億人に達する見込みだという。

 このようなことから、「水」問題はトラブルにもつながり、人々の生活にも大きく影響する。さらには、「水」の争奪戦は環境にも影響するだけではなく、地球温暖化など他の環境問題が水に大きな影響を与えるかもしれない。つまり、物事はつながっており、一つの影響が関係する他の物事に影響し、ひいては遠い存在の物事にも影響することになる。
 問題が深刻になりつつある一方で、新しいビジネスにもつながっている。つまり、「水」という商品が今後、大きな需要になるという。しかし、きれいな「水」はこれまでよりも手に入りにくいものになっていくかもしれないし、最大量がこれまでより減少するかもしれない……。

【参考資料】

・「中東・アフリカ諸国 水利権、紛争の種に 人口増・工業化が背景 利害調整難しく」
押野真也(カイロ)(日本経済新聞 2012年5月14日(月))
・「世界で緊張高まる可能性」
(日本経済新聞 2012年5月14日(月))

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